『売り方の正解 小さなお店が生き残る50のヒント』(竹内謙礼著)は、人も資金も足りない小さなお店や会社が行うべき販促・集客法を紹介しています。本書のエッセンスをひと言でいえば「アナログとデジタルのいいとこどり」。この連載では本書のさわりや著者の寄稿記事などを掲載していきます。4回目は「看板広告を出しなさい」です。
一度作ればずっと見てもらえる
情報というのは、繰り返し伝えないと覚えてもらえない。特に店舗名やサービス名は、興味がない人は1回ぐらいでは覚えない。SNS(交流サイト)や動画で流れてくる広告も、何度も繰り返し流さなければ、お客の記憶に刷り込ませることはできない。
そのことを理解しているからこそ、大手企業はテレビやネットで同じ広告を繰り返し打っている。大手自動車メーカーしかり、大手外食チェーンしかり、長い時間をかけて音や映像とともに情報を伝えることによって、お客がその分野の商品を欲しいと思ったとき、真っ先に思い浮かべる会社になることができる。
大手企業のマーケッターは、なるべく費用対効果の高いやり方で、お客の認知度を上げようと日々模索している。しかし、それでも認知度を高めるにはお金と時間がかかる。特に小さな会社やお店は広告予算に限りがあるので、認知度をアップさせる戦略は至難の業になってくる。
そこで注目すべき広告媒体は屋外看板である。国道沿いの看板やビル壁面の看板、駅のホームにある看板など、通勤や通学途中にお客が前を通るだけで、知らないうちに情報が刷り込まれる。気がつけばお店や商品が身近な存在になっている。
屋外看板は、一度設置すればあとは勝手に情報を発信し続けてくれる。ネット広告のように管理運営のために特殊なスキルや経験を必要としない。地方や大都市圏郊外の駅看板であればコストも安く、費用対効果は高い。
手間と時間をかけず、店名や商品名をお客の記憶に刷り込ませたければ、看板広告ほど効率の良い販促戦略はない。
商品よりも人の顔を載せよう
看板広告のキャッチコピーは、できる限り短くすべきである。車の運転中や歩行中の人は、長い文章を一瞬で読み切ることは難しい。看板の文字を理解できるのは最大で10字程度と言われている。それ以上の長いキャッチコピーは看板に用いないほうがいい。
また、1枚の看板にたくさんの情報を詰め込むのもよくない。看板の情報は足すことよりも削ることが大事である。言葉が多すぎると、お客の視点が散漫になって、重要な情報に目が届かなくなる。
看板作りで大切なのは、写真やイラストを入れてお客の目を引くこと。しかし、お店や商品の写真を使っても、看板の周囲の景色となじんでしまうため、記憶には残らない。それよりは人の顔写真を用いたほうがいい。人の顔はオリジナルの看板になりやすく、口コミで広まりやすい。顔写真から人柄も伝わるので、お店や商品のイメージアップにつながる。
なお、看板からホームページへの誘導は、QRコードのみの掲載で十分である。本当にお客が興味のある商品であれば、会社名や店舗名を覚えて検索するだろうし、さらにQRコードをつけておけば、「ホームページがある」と認識してくれるので、スマホを近づけないまでも、検索窓に会社名を入力してくれるはずだ。
ひと昔前の看板のように、「検索 会社名」のような記述やホームページのURLを載せるのはスペースの無駄である。余白があるなら、文字や写真を大きくしたほうがいい。
看板広告は「出せばお客が見てくれる」と、あまり考えずに出稿する例が多い。看板という古典的な販促に真剣に取り組む人が少ないこともあって、たくさんの間違った事例が横行している。
逆に言えば、看板を使った販促には、小さな会社やお店の知名度を上げるチャンスがある。ポイントをしっかり押さえて制作すれば、チラシやネット広告との相乗効果によって、売り上げを大きく伸ばすことができる。
竹内謙礼著/日本経済新聞出版/1760円(税込み)

