内容紹介
実務の第一線で活躍する“オピニオンリーダー”弁護士+リサーチャーが徹底解説老朽化したインフラを維持・更新するために、PPP(Public Private Partnership、官民連携)やPFI(Private Finance Initiative、民間資金を活用した社会資本整備)に期待する声が高まっています。空港や道路、上下水道、文教施設などでは、国や地方公共団体が所有権を保持したまま、運営に関する権利を民間に付与するコンセッション方式の導入が始まり、インフラビジネスが花開きつつあります。
しかし、課題は少なくありません。例えば、案件組成や契約実務に不透明な部分が残っており、海外を含む幅広い投資家・金融機関の参加を促す水準に達しているとはいえません。
本書は、我が国最大手の法律事務所である森・濱田松本法律事務所に所属する弁護士と、インフラ投資に関わる最先端の情報を発信し続ける三井住友トラスト基礎研究所の主席研究員が執筆。変化・発展が著しいインフラビジネスに携わる過程で培った実務のポイントを解説するとともに、市場拡大に向けて資金調達などに関わる論点を明らかにしました。
■主な内容
第1章 いざインフラ投資の世界へ
インフラ投資とは何か
インフラ投資は年金基金や保険会社に最適
インフラ投資市場の規模感
インフラ投資のリスク・リターン特性
第2章 PFIの変遷とコンセッションの潮流
ガラパゴス化していた日本のPFI
「PFI 1.0」から「PFI 2.0」へ
第3章 PFIとコンセッションの法制度
PFIとコンセッションに関する日本の法制度
欧州における制度の変遷
第4章 セクター別コンセッション事業の動向と論点
◎空港
空港事業の課題
民活空港運営法
優先交渉権者の選定手順と方法
設備投資の取り扱いなど
ターミナルビルの取得方法
リスク分担
議決権株式譲渡に関する事前承認
その他の論点
◎道路
道路事業の課題
道路事業の法的な位置づけ
特区方式によるコンセッション
コンセッション方式以外の官民連携手法
愛知道路コンセッション
実務上の論点
海外の道路事業民営化
収入源やリスクに応じて3つの種類
◎水道
水道事業の課題
民間事業者の裁量拡大と効率化
第三者委託、包括委託、官民共同出資事業化
水道法と水道事業のコンセッション
水道事業認可制度
水道法の2018年改正
利用料金の改定と徴収方法
災害などの不可抗力
◎下水道
下水道事業の課題
下水道事業における官民連携
下水道コンセッションの基本的な仕組み
下水道法との関係
事業スキーム
運営権者の業務範囲
利用料金滞納者への対処方策
管理者から運営権者への補助金交付
◎文教施設
導入実績が多い指定管理者制度
コンセッション導入の期待と動向
「公の施設」と特定の第三者による利用
文教施設の設置目的との関係
コンセッション導入目的との関係
多様なステークホルダーとの関係
専門的人材の確保
施設の種類ごとに見た実務上の論点
第5章 インフラ投資の契約と実務
◎事業実施プロセスと事業者選定手続き
構想・検討段階における官民対話
PFI法における民間提案制度
事業化に向けた検討
民間事業者の募集と評価・選定
事業者選定後の手続き
◎PPP/PFIの事業スキーム
サービス購入型
独立採算型
混合型
最低収入保証とレベニュー・シェアリング
所有権の移転に着目した分類
建設・運営を統合したコンセッションの可能性
バンドリングで事業規模を拡大
民間資金を伴わない官民連携
◎官民のリスク分担
不可抗力リスク
法令変更リスク
提供情報リスクと既存施設の瑕疵リスク
リスク分担の補償措置
◎事業期間満了前の終了手続き
終了事由
終了に伴う補償
終了時における対象施設の取り扱い
◎コンセッション方式の実務上の論点
既存施設の瑕疵リスクへの対応
更新投資による増加価値の取り扱い
運営権対価の支払い方法
エクイティ保有を通じた公共側の継続関与
セカンダリー・マーケット醸成の意義
ファンドを通じたSPC株式への投資
第6章 「PFI 3.0」の官民連携モデル
◎海外の先端プロジェクトに学ぶ
「三方よし」のアベイラビリティ・ペイメント
アセット・リサイクリング・イニシアティブ
シュタットベルケ型まちづくりモデル
公的不動産の活用に適したLABV
◎JV型官民連携モデル
水道事業や地域新電力会社
◎コンセッション方式以外の手法の追求
代表企業スイッチモデル
運営事業者選定先行型入札
第7章 PPP/PFIとインフラファイナンス
◎プロジェクトファイナンス
プロジェクトファイナンスの意義
デットストラクチャー
担保パッケージ
ステップイン
スポンサーサポート
直接協定
◎インフラファンド
上場インフラファンドの法令規則
インフラファンドの上場制度
投資対象
ストラクチャー構築上の論点
私募インフラファンド