内容紹介

日本ディープラーニング協会   監修
ディープラーニングをビジネスに生かす知識を問われる
同協会のG検定(ジェネラリスト)   推薦図書
松尾豊・同協会理事長による「ディープラーニング技術年表」収録

ディープラーニングは確かに実際のビジネスに溶け込み、商品やサービスでの活用が始まっています。
それによって業績を向上させた企業もあれば、社会課題の解決に結びつけている会社も実在します。
その最先端の実践的な事例を紹介しました。本書に「実践編」と付したのはこうした理由からです。

本書の最大の特徴の1つが、「ディープラーニングビジネス活用アワード」の
受賞6プロジェクト全てを子細なケーススタディで紹介していることです。
日本ディープラーニング協会と一緒に、2019年春から準備を進めてきたものです。
エントリーはやや大手企業に偏重したきらいはありましたが、まさに腕自慢の実力派ぞろいでした。

大賞のキユーピーの食品加工で原料を検査する「AI食品原料検査装置」に始まって、
楽天の自動翻訳プロジェクトである「Rakuten Translate」、
荏原環境プラントが進める「ごみ焼却プラント運転自動化プロジェクト」、
水処理など流体向けAI分析のAnyTechの「水質判定AI『DeepLiquid』」、
保育園向けITサービスのユニファの「写真自動判定システムによる保育士の業務負荷軽減」、
パッケージデザインのプラグの「パッケージデザインの好意度スコアを予測するAIサービス」の6事例を本書にまとめました。

できるだけ載せないようにしたケースもあります。
ディープラーニングといえば画像認識とばかりに、熟練工の目の代替として活用する事例は少なくない。
ただその点だけを極めても、効果の最大値は当該人件費の削減分にしかなりません。
結果として幼稚園児の笑顔が増える、あるいは静脈産業の支えになる、
といった大きな社会的意義をディープラーニングには持たせたい。そんな思いで作りました。

受賞6事例を含めた計26事例を、本書ではディープラーニング活用の効果で4つに分けました。
まず「商品開発・業界構造を変える」。
その活用で商品開発やマーケティングのやり方を変えた、あるいは変えようとしている事例を紹介しました。
流通分野においてメーカー、卸、小売りの"パワーバランス"が変わる予感をさせる取り組みなどをまとめました。

次が「消費者のデマンドに応える」。近くで安いガソリンスタンドを探したい。
そんなニーズに対応する取り組みを紹介。そして「働き方を改革する」。
人の作業をディープラーニングで代替することで、より付加価値の高い働き方を進める様子などを本書でお届けします。
最後が「不正・異常を検知、社会課題を解決する」。
道路の補修検査をカメラとディープラーニングで実施する先端事例などを紹介します。

また資料的価値が高い、日本ディープラーニング協会理事長の松尾豊氏がまとめた
「ディープラーニング技術年表」そして「インターネットでいうと1998年」も収録。
全編にわたって同協会の理事が一文字ずつ、とりわけ技術的な側面からアドバイスしてくれた貴重な書である。
ぜひご覧になっていただきたい。

<主な内容>
第1章   ディープラーニングで付加価値高め   こうして稼ぐ
        --日本ディープラーニング協会 松尾豊理事長に聞く
第2章   商品開発・業界構造を変える
・キユーピー   「食品原料の異物を画像認識で検査   食の安全守るため装置は同業に外販も」
・プラグ   「パッケージデザインの消費者調査をAIで代替   商品開発のやり方ガラリ変わる可能性」
・AnyTech   「水処理施設からチョコレートまで   『流体』の品質・状態を簡単チェック」
・NTTドコモ   「店頭の商品を自動で認識   来店客の属性把握しPOSデータと連動で棚割り提案へ」
・フジクラ   「半導体部品をディープラーニングで検査   AIプラットフォーム構築し全社のIoT基盤に」
・日本たばこ産業   「コンビニのたばこ陳列を精度99%で認識   1013人超参加のコンテストで実現」
・トレタ   「飲食店で売れ筋メニューが分析可能に   ディープラーニングによるラベリング技術とは」
・Sports Technology Lab   「スポーツ選手の動きをディープラーニングで分析   チーム強化から選手移籍まで」
・ソフトバンク   「5G×ディープラーニング   高品質画像でもリアルタイムぼかし加工」
第3章   消費者のデマンドに応える
・楽天   「ストレスなく外国語を話したい   海外動画配信サービスで培った翻訳技術を活用」
・ヤフー   「安いガソリン、空いてる駐車場を近くで探したい   ディープラーニングとドラレコで」
・SMBC日興証券   「株式ポートフォリオの組み替え方を知りたい   資産総額13倍になるカラクリ」
第4章   働き方を改革する
・荏原環境プラント   「ごみ焼却施設で熟練運転員の目を代替   5倍の効率化を実現 静脈産業を途絶えさせない」
・ユニファ   「子供の『NG写真』をディープラーニングで自動排除   保育園の課題解決を支援」
・NTTデータジェトロニクス   「社食食堂のレジで自動精算   人件費の削減、そして社員の満足度を高めて社内活性化へ」
・モノフル   「トラックの人手不足問題に一石   ナンバーをAIで読み取り効率化」
・三菱総合研究所   「財務諸表の数字を読み取り自動でリポート作成   シンクタンクの"夢"に一歩近づく」
・ディー・エヌ・エー(DeNA)   「交通事故の削減支援をサービス化   AIとデータサイエンスのタッグで」
・イシダ   「ディープラーニングでパスタをつかむ   AIと機械の“せめぎ合い”から生まれた新技術」
・AVILEN   「鉄加工の図面を自動で読み解く   各種フォーマットの図面に対応」
第5章   不正・異常を検知、社会課題を解決する
・リコー     「カメラ+AIで路面の老朽化診断   事務機器からの多角化で数千万円の受注」
・日本気象協会   「降雨予測のメッシュと時間を詳細化   スパコンを使わず実現、ダム管理などに活用」
・日本取引所自主規制法人   「株の不正取引"見せ玉"に待った   証券取引所の不正検知にAI導入 世界初」
・misosil   「SNS広告でインフルエンサーの不正を暴く   フォロワー水増しをAIで発見」
・トプコン   「眼底画像から健康状態を読み解く   デバイスのデータを加工する『センシングAI』とは?」
・Ollo   「月額3万円で顔認証システムが導入可能   エッジデバイスでの高速・高精度化を実現」
第6章   先端技術の動向を知る