内容紹介
現在はSNSを使えば、企業だけでなく一般の消費者までもが簡単に情報発信できる時代です。しかし、拡散された投稿の情報源をたどっていくと、マスコミなど主要メディアが発信した情報が少なくありません。その大きな理由は、主要メディアが情報の信頼性を担保している点にあります。だからこそ、企業は「情報の源流」でもあるメディアへの対策を十分に練り、正しい情報を伝え、記事や番組として発信してもらう重要性がこれまで以上に高まっていると言えます。万一誤った情報が拡散されれば、そのスピードと相まって、企業側では手の施しようがなくなることすらあり得ます。本書は、ソニー(現ソニーグループ)、アップル、NECパーソナルコンピュータ/レノボ・ジャパン、アドビと、世界を代表するIT系企業で広報業務を担当し、現在もその第一線で活躍する現役広報パーソンである二人の著者が、これまでほとんど語られることのなかった「メディアとの攻防」について、企業の側からその実態を赤裸々に明かしたものです。収録された全83のエピソードはどれも本当にあった話。20年以上にわたる記者や編集者との生々しい駆け引き、社内でのあつれき、成功談・失敗談から導き出された「記事や番組に採用されるためのテクニック」「メディアとの関係構築法」に加え、「企業の危機管理」に対する考え方も学べます。当時の現場の様子について、本音を交えながらリアルに描くことに力を入れているため、読み物としても楽しめる中身の濃い1冊となっています。
【主な掲載エピソード】
第1章 広報しか知らないマスコミの素顔
●「原稿確認させて」と編集部に言うと何が起きるのか
●メディア側から原稿確認の依頼、広報はどう対応する?
●「書かないで」と言っても記事が止められない状況とは
●マスコミは意地悪なのか 都合の悪い記事に抱く勘違い
●おまえに利用価値はない! スタートアップ広報の高い壁
●新人広報はトラウマに? マスコミ対応の「魔の時間帯」
●広報とメディアの間にある「筋」と「貸し借り」
●あれ、もうお別れ? 新任記者とのはかない付き合い
●記事掲載が次々続く「大波」を起こすには
第2章 取材対応こそ危機管理の要
●「何だこの記事は!」と、取材対象者に怒られないコツ
●会社の危機対応、これだけは絶対にやめて!
●テレビ取材、カメラは急に止まらない
●「アップルは携帯電話を再定義する」に学ぶ大切なこと
●今こそ大切な現場写真とスティーブ・ジョブズの「罪」
●会社をピンチに陥れる「声の大きい人」にご用心
●ソニー「音の神」はメディア対応も神だった
●広報がおしゃべりだと、ろくなことはない(らしい)
●「メモ」をめぐる記者と広報の静かな駆け引き
●取材対応者に余計なことを言わせないためのテクニック
第3章 経営者が知っておくべきマスコミ対応の落とし穴
●スクープを知らせる役員の電話で目覚めた朝は
●マスコミから引っ張りだこの経営者は何を話しているのか
●経営者が取材で気を付けたいNG発言とは
●お偉いさんから「広報はタダだから……」と言われて
●iPhone誕生で、ジョブズが期待をあおらなかった理由
●究極の危機管理バイブルは『刃牙』シリーズだった
●名物社長が退任、広報に対して言った最後の「ワガママ」
●社長がロボットに? マスコミ対応の訓練の落とし穴
●やってはいけないトップダウンの記事依頼
●初の記者会見で「新米経営者」を待ち受けるサプライズ
●危機対応で社長がまさかの一言 真に守るべきものとは
第4章 掲載を勝ち取るマスコミへのアプローチ
●初のプレスリリースで「壮大なドラマ」を書いて大失敗
●広報同士の知恵が激突する「レッドオーシャン問題」
●赤字で悲惨な姿のリリース案 怒りと悲しみの克服法
●SNSでバズった! さて、広報が取るべき行動とは
●読まれるのは10通 プレスリリース受難の時代
●広報やPR会社の「丸ごと提案」企画がなぜ駄目なのか
●厄介な無理筋ネタの売り込み 空気読まないのもスキル
●プレスリリースの「日本初」 何がいけない?
●記者からの第一印象を甘く見るな
第5章 天国と地獄が交錯するプレス発表会
●ウォークマン対iPod 発表日が重なった日、広報は?
●アップル広報はウォークマン発表をこう見ていた
●記者との真剣勝負、質疑応答こそ広報の腕の見せどころ
●発表会に誰を呼ぶか 「記者リスト」更新の裏で何が?
●派手な記者会見はマスコミからどう見えているのか
●タレントを呼んだ発表会の舞台裏で何が起きているか
●記者発表会の「誘導係」は何を考えているのか
●「日本人が殺到してくるぞ!」 海外発表会での常識
●華々しい企業同士の共同発表、その裏で泣く広報
●共同発表の案内は爆発が予測不能なニトロみたいなもの
●記者発表会での振る舞い やってはいけないワースト3
●BTSの記者発表会を検証 まねできる心憎い演出が続々
第6章 今だから言える企業広報の裏話
●「広報は華がある」は幻想 現実は泥くさく、気まずい
●外資系広報の実態 担当者を待ち受ける3つの地獄
●辛辣な言葉で傷だらけ 広報は多少厚かましい人がいい
●もう一回広報してよ 安易にてこ入れを頼む方たちへ
●安請け合いしたKPIが未達 海外で追い込まれた話
●一瞬だけど「アップルに勝利」の情報で広報が威力発揮
●マイケル・ジャクソンに泣かされた「新型iPhone」
●「厚さ1.5ミリ」のPCで大騒ぎ 訂正リリースの悲哀
●外資系ならではの悲哀 「KPI未達」となる日本の記事
●夢と勘違いがあふれる広報ライフ 即戦力は営業経験者
(ほか、全83エピソード)