内容紹介

暗号資産イーサリアムを弱冠19歳にして創案し「若き天才」と称されるヴィタリック・ブテリンによる"Proof of Stake: The Making of Ethereum and the Philosophy of Blockchains"の邦訳です。ブテリンがイーサリアム誕生以前からブログやフォーラムなどで発表してきた暗号資産(イーサリアム)の構想、目的、役割、機能、有用性、可能性についての書き物を1冊にまとめたものです。暗号資産のあり方を理解したり考えるうえで大いに示唆に富むのはもちろんのこと、思索家、活動家としての一面も伺えます。
巻末に「イーサリアムホワイトペーパー」および「用語集」も収録。

ヴィタリックたちイーサリアム・コミュニティが目指すのは、人類が初めて手にする「ワールドコンピュータ」の実現だ。「インターネットの再発明」というべきこの自立分散型アプリケーション・プラットフォームは、銀行口座を持たない人々に金融の恩恵を与え、抑圧された人々の解放に寄与するだろう。社会理論学者、実践家として「信頼できる中立性」を何より尊重する彼の、多くの人々に支持される思想がここに示されている。インターネットの未来の青写真だ。
――孫泰蔵氏(Mistletoe創業者)

ヴィタリックは、次世代テクノロジー社会のアーキテクトを代表する、最も重要な賢人の1人である。本書には、さまざまなブログ記事やエッセイが収録されており、web3や世界がどこに向かっているかを理解しようとする人にとっての必読書だ。
――伊藤穰一氏(デジタルガレージ共同創業者取締役兼専務執行役員Chief Architect)

本書で最も驚くべきなのはヴィタリックの先見性だろう。彼の示唆はこれから直面する問題を予見したものとも思える。本書にはさらに、彼がブロックチェーンと向き合い、時には悩み、葛藤する姿も映し出されている。技術と哲学に真摯に向き合う姿勢から多くのことを学べるはずだし、その過程をひも解くことで新たな景色が見えてくるだろう。ブロックチェーンだけではなく、技術で未来と向き合うすべての人に手に取ってほしい1冊。
――渡辺創太氏(Astar Network創業者、Startale Labs CEO)

イーサリアム・コミュニティが世界に影響を与えた革命的アイデアや技術の多くは、彼が投げかける社会課題への考察と常識への挑戦がきっかけになっている。この本でそんな「人間ヴィタリック」の好奇心と正義感を垣間見ると同時に、オープンソースソフトウェアのイーサリアムが当初のアイデアから如何に進化し続けてきたかを理解すると、ブロックチェーンやWeb3が一気におもしろくなる。
――宮口あや氏(イーサリアム財団エグゼクティブ・ディレクター)

ヴィタリック・ブテリンが善意を語るとき、専門性と慧眼に支えられたその確固としたアプローチに並ぶ者はない。不確実かもしれない新しい時代には、デジタルネットワークが本来の威力を発揮する。そのなかでブテリンは新しい世界を第一線で支える「良き人」のひとりだ。本書は一見するとオタク的だが、虚心に読めばドラマチックだ。そこに展開するのは、この世界を少しでもよくするにはどうすればいいか、という探究にほかならない。ゲームとしてもおもしろく、スリリングで、愛にあふれた稀有な存在だ。 ――ジャロン・ラニアー氏(コンピューター科学者、著述家)

【目次】
■第1部 プレマイニング
・市場、組織、通貨―社会的インセンティブを生み出す新しい手段
・イーサリアム―次世代の暗号資産と分散型アプリケーションのプラットフォーム
・自己実行型の契約とファクトゥム法
・サイロ化についての考察
・超合理性とDAO
・ブロックチェーン技術の価値

■第2部 プルーフ・オブ・ワーク
・暗号経済学と人類絶滅リスクの研究者が互いに耳を傾けるべき理由
・プルーフ・オブ・ステークのデザイン哲学
・非中央集権化とは何か
・ブロックチェーンガバナンスについての覚書
・共謀について
・フリースピーチ
・責任になった管理権
・クリスマス・スペシャル

■第3部 プルーフ・オブ・ステーク
・指針として信頼できる中立性
・良い協調、悪い協調
・予測市場―大統領選をめぐるエピソード
・いちばん重要な稀少リソースは正当性
・ジニ係数の濫用をめぐって
・通貨投票によるガバナンスを超えて
・信頼(トラスト)モデル
・ブロックチェーンがつくる都市、クリプトシティ
・ソウルバウンド

・イーサリアムホワイトペーパー
・用語集