内容紹介

スチュワードシップ・コードとコーポレートガバナンス・コードの導入以降、日本企業のガバナンス改革やサステナビリティ対応、非財務を含む情報開示は「量」「質」ともに大きく前進しました。しかし、その取り組みが企業価値の向上や受益者利益の拡大へどう結び付いたのかは、必ずしも十分に説明されていません。本書はこのギャップに正面から向き合い、家計資金を起点に資金が循環し成果が家計へ還元される「インベストメント・チェーン」が有効に機能する条件を、各主体の行動と成果の両面から検証します。形式対応に陥りがちなスチュワードシップ活動やサステナビリティ投資を、投資判断・ポートフォリオ運営と結び付けて実効性を高める視点も提示。さらに、三菱UFJトラスト投資工学研究所との協働実証分析と豊富なデータにより、GHG排出量、ガバナンス、人的資本、取締役会構成など多様な論点で「何が評価され、何がまだ評価されていないのか」を丁寧に掘り下げます。活動を目的化せず、企業価値向上と受益者利益最大化のための手段として問い直す一冊です。

目次


はしがき

第1章 本書の目的
 1.1 はじめに
 1.2 インベストメント・チェーンの循環強化に向けた課題整理

第2章 「質」「量」共に向上する非財務情報開示
 2.1 「 質」「量」共に向上している
 2.2 統合報告書の記載内容と企業価値
 コーヒーブレイク1 機械が読みやすい統合報告書とは?

第3章 多様化するサステナビリティ情報の内容
 3.1 サステナビリティと株価・企業価値(社会的リターンと経済的リターンの両立)
 3.2 GHG 排出の情報開示と投資戦略への活用
 3.3 スキル・マトリックスの開示に関して

第4章 変化する企業のディスクロージャー姿勢
~経営者が行う自発的開示と企業価値~
 4.1 はじめに
 4.2 情報開示が企業価値に与える影響
 4.3 決算説明会での自発的な情報開示と情報の非対称性
 4.4 質疑応答セクションでの情報開示と企業価値
 4.5 終わりに 105

第5章 サステナビリティ評価手法の高度化
 5.1 マテリアリティを考慮した評価例
 5.2 企業の人材戦略と企業文化の評価
 5.3 特許情報を活用した知的資本の評価例

第6章 資本コスト評価の高度化
 〜企業と投資家の認識ギャップ埋める工夫〜
 6.1 様々な資本コスト推定モデルの例と課題
 6.2 市場目線の資本コスト推定モデル
 (インプライド資本コストを活用した例)

第7章 サステナビリティ評価へのオルタナティブデータの活用
 7.1 従業員口コミデータを活用した企業の実際の取り組み状況の把握
 7.2 債券投資におけるサステナビリティ評価

第8章 スチュワードシップ効果検証
 8.1 スチュワードシップ効果の定量化の必要性
 8.2 効果検証を行ううえでの注意点
 8.3 スチュワードシップ効果検証モデルの例と説明
 8.4 結論

第9章 対話と議決権行使の一体運営
 9.1 議決権行使の効果分析
 9.2 議決権行使基準の“公表”による効果

第10章 実効性の高い対話検証~スチュワードシップ効果の分析例~
 10.1 エンゲージメント効果を高める対話の特徴
 10.2 継続的なエンゲージメント
 10.3 企業特性を考慮したエンゲージメント効果の評価
 10.4 まとめ

第11章 エンゲージメントへの期待~サイズ別エンゲージメント効果分析~
 11.1 中小型企業に対するエンゲージメントの意義 236
 11.2 サイズ間のエンゲージメントの特徴(経営陣との対話量)
 11.3 サイズ間のエンゲージメント効果の差異とその背景
 11.4 まとめ
 コーヒーブレイク2  サステナビリティ投資ファンドのリスク・パフォーマンスの評価例

参考文献
索引
執筆者一覧