副業が解禁になっても「なんだか怖い」と感じて一歩を踏み出せない場合も多い。堅実で慎重な人ほどその傾向が強いようだ。そこで大事になるのが「意識の変革と割り切り」。マインドセットの上手な切り替え方を、各種メディアで人気の副業評論家が教える。日経ビジネス人文庫『副業・複業・ひとり社長で年金に月プラス10万円を得る方法』(藤木俊明著)から抜粋・再構成してお届けする。
準備は早いほどいい
「老後は年金だけでは厳しい」「しかし、在職中と同じ収入を得ようとしてもうまくいかない場合が多い」ことは、皆さんよくご存じであえて申し上げるまでもないでしょう。
そこで、副業評論家である私がお伝えしたいメッセージは1つです。
「副業・複業・ひとり社長で、月10万円稼ぐような生活」を現役の今から目指しませんか。
「年金に月プラス10万円を得る(「年金プラ10」)」ことの準備は早ければ早いほどいいのです。
さあ、あなたはどうしますか。
副業は怖いもの?
副業が解禁になった大手企業のベテラン社員の方に、「この機会に副業を始めたらいかがですか?」とお話ししたことがあります。
すると「怖い」との返答でした。副業は起業と同程度のハードルだと感じる方もいます。
長い間安定した会社生活を送ってきた人には、会社に守られない副業の世界に踏み出すには、かなりの決意が必要でしょう。
「別に一歩踏み出す必要なんてないかな」と何もしない選択をするかもしれません。
「役職定年」のダメージ
しかし、そんなに遠くない時期に「一歩踏み出さざるを得ないとき」がやってきます。会社から背中を押されるときが来ます。
その前に、自分の意志で気持ちを切り替え、一歩踏み出すほうがいいのではないでしょうか?
「セカンドライフ」に踏み出すとき、一番難しいのがこの「意識の変革と割り切り」かもしれません。
多くの人は50代で「役職定年」を告げられるとダメージを受けます。
今まで貢献してきたという自負があり、仕事にプライドもあり、会社に愛着や思い入れが強い人は、「会社から必要とされなくなった」と感じてしまうでしょう。しかし、割り切れない。面白くない。
それで、定年退職後の準備にも踏み切れず、もやもやしたまま季節が過ぎていき、何も準備ができないまま定年退職が目の前に迫ってきたというのがお決まりのコースです。
会社のために本当にがんばってきた人には、酷な言い方かもしれませんが、組織なんてそんなものです。
会社と自分の関わり方を変える
それなら逆に、今後は会社との関わり方を変化させてはいかがでしょうか。
私は会社とできるだけよい関係を続ければいいと考えています。
それは従属することではなく、お互いうまく利用し合うことです。
何もしないでいると、「縁遠いと思っていたことが突然起きる」「そのときにはお金が必要になる」という事態になりがちです。
親の介護問題など、予想しない支出がどんどん増えるとともに、新しい収入の手段をつくろうとしても、それどころではない精神状態に陥ってしまうかもしれません。
不安をあおるようなことばかり書いてしまいましたが、どこかで静かにシフトチェンジをしませんか?
踏み出しづらい堅実で慎重な会社員の方に、次に、マインドセットの切り替え方を提案します。
「今日からセカンドライフ」という決意
一番のシフトチェンジは、「職場との関係」を静かに見直すことです。
辞めるのではありません。「見直すぞ!」と声高に表明する必要もありません。
静かに自分の手帳やスマートフォンに「今日からセカンドライフ」という言葉を残しておけばいいのです。
独立するとわかるのですが、毎月決まった日に給与を支給してくれる会社は本当にありがたい存在です。それをわざわざ失うのはもったいなさすぎます。
しかし、今後「月10万円」副業で稼ぎ、「年金プラ10」を目指していくときに、会社は「給料をくれる大事な存在」から「一番大切なクライアント」というように見方を変えたほうが自分の気持ちがすっきりします。
会社のために身も心もささげるというのではなく、大事なクライアントだと考えると、いろいろあっても腹は立たないでしょう。
また、社員に個人事業主として働くことを認める企業も出てきました。これは、まさに会社をクライアントとして、自立するスタイルになります。
それぞれの企業で制度は微妙に異なりますが、給与ではなく業務委託費として報酬をいただく形になり、他企業と契約して仕事を請けることを認めている場合もあります。
むろん退職してもつながりを持つのもありです。かつて私が所属していたリクルートでも、退職した社員に仕事を依頼することがよくありました。
今後どんどん働き方が変わっていくことでしょう。
会社は「メイン・クライアント」
定年後の独立を視野に入れている方にとって、正社員を離れ「業務委託者として個人事業主化」するというのは、1つの選択なのではないかと思います。
独立するときに一番苦労するのは顧客の獲得です。
なかなか顧客は見つからないものです。
たとえお客様候補がいたとしても、独立した当初は、すべてに不慣れで、うまく仕事が進められず、結果として顧客を取り逃がすこともよくあります。
しかし、今までいた会社なら仕事の内容はもちろん、取引の進め方やビジネスの慣習にもなじんでいます。
元の会社がメイン・クライアントになってくれるなら、もっとも安心です。
あえて「水くさい関係」がいい
少し気がかりなのは、もといた会社(古巣)との人間関係でしょう。
でも、私自身の経験からしても、関係はやや「水くさく」なりますが、その距離感ゆえに組織の厄介事に巻き込まれにくく、仕事に集中しやすい面もあります。
会社を離れ、個人事業主として契約し直すことの主なデメリットとしては、企業によってやり方はさまざまですが、正社員ではなくなり、社会保険もなくなることです。
ボーナスや諸手当もなくなり、純粋に仕事をした分だけの報酬をいただくことになります。
また、これまで部下だった人たちが顧客になる場合もあります。
面白くないと感じる方もいるでしょう。
これからは自分のために働こう
一方、今後働く仕組みが大きく変わる中で、正社員でいたとしても、自分の立場が急に不安定化する可能性は否定できません。
「会社のためではなく、自分のために働く」と、早く気持ちを切り替えた人のほうが制度や仕組みがどう変わろうと、強い気持ちで働いていけるのではないでしょうか。
もちろん、「すでに退職した人」には会社のしがらみはありません。今までいた会社のことを客観的に見直して、関係をつくり直すのもひとつの手です。
もしかして、未来の顧客がすぐそばにいたのかもしれません。
※副業・複業・創業に当たっては、必ず所属組織の規定などを確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
『 副業・複業・ひとり社長で年金に月プラス10万円を得る方法 』
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藤木俊明著/日本経済新聞出版/990円(税込み)

