定年退職前後の時期、多くの人が老親の問題に直面し、思わぬ出費が必要となってくる。介護、実家の処分、葬儀、お墓に関するいろいろ。特に地元を離れたビジネスパーソンには負担が大きい。そのすべてを経験した副業評論家が得た教訓とは? 日経ビジネス人文庫『副業・複業・ひとり社長で年金に月プラス10万円を得る方法』(藤木俊明著)から抜粋・再構成してお届けする。
後回しにしがちな親の問題
なぜ定年退職後にフロー収入があると安心なのか。それは多くの人が老親など親族の問題に直面し、思わぬ出費を必要とするからです。
特に、地元を離れて会社員生活を送ってきた人には重くのしかかる問題です。
- 老親など親族の介護
- 実家の処分
- 葬儀
- お墓に関するいろいろ
ひとりっ子の私はこのすべてを経験しました。かなりの貯金が飛んでいきました。
学生時代、首都圏に出てきて根を下ろし、故郷の老親を顧みず生きてきたのですから、それはもう人生設計が甘いと責められても仕方ありません。
なかでも両親の介護時期、約5年間はほとんど仕事が手につきませんでした。
小さな会社を経営している身ですので、まだ柔軟に時間を使えましたが、やはりいくつかの仕事の案件は辞退せざるを得ません。
だんだん経済的に困窮していくのがわかり、最終的には、自宅(マンション)も売り払う羽目になりました。
私が経験してきたことはレアケースとは思えません。
多くの皆さんにも降りかかることではないでしょうか。
やはり、少しでもフロー収入を確保する手段を持ち、できたらゆとりある財政状態にしておきたいものです。
介護生活のリアルと出費
介護生活で私がわかったことは、「自由な時間がなくなる」ということです。そして、何かとお金が出ていきます。
そんな中、助けになるのは家でできる「年金に月プラス10万円を得る(「年金プラ10」)ための仕事」です。
ネットに接続したノートパソコンとスマートフォンさえあれば、介護の合間に少しでも収入を得られます(介護で気力・体力を使い果たしますので、なかなか難しいのですが)。
実家の「かくれ資産」を売却して親と分配
地方から都会に出てきて、そこで生活基盤を固めた人には「実家の処分」という課題も出てきます。
実家に帰省するたび、「どうしてこんなに荷物が増えてるの!」と感じたことはないでしょうか。それを親に言ってもなかなか片付けてくれません。
昔の人はモノを大事にする習慣があるからですが、それだけではなく「手がつけられなくなって全部後回し」にしているのが実情でしょう。
そうした不用品は、実家を処分する際、よけいな手間を増やすもとになります。
そうであれば、親に「これらをお金に換えよう!」と提案して、できるだけ売りさばくのが、片付けと小さな収入の一挙両得というものです。
メルカリや楽天ラクマなどのフリマサイトを使ったり、買い取り店に持ち込んだりして換金し、親と楽しく分配しましょう。
なお、買い取り業者のなかには、悪質なところもあるので要注意です。
「押し買い」(訪問で強引に貴金属などを売らせる手口)や闇バイトによる犯罪の入り口(家に上がり込む口実)などのこともあります。
会社名・所在地・古物商許可などの実態が確認できない業者は避けましょう。
フリマを「小さなお金」をいただく入り口に
フリーマーケット(フリマ)は、小さなお金をいただくきっかけとして「年金プラ10」のための仕事の入り口になります。
ただし、退職した人は何の問題もないですが、副業禁止の会社では注意が必要でしょう。
以前、副業に詳しい社会保険労務士に質問したところ、定期的に古物を収集して販売することになると、古物商許可が必要になり、そうなると副業と見なされても仕方がないとのことでした。
副業禁止のしばりのない定年退職者の方は、「せどり」(商品を安く仕入れて、それよりも高く販売することで利益を得るビジネスモデル)を検討してもいいかもしれません。
なお、取扱品目や税務面、返品対応などの実務は事前に確認が必要です。
「墓じまい」という難関
老親に関わる課題はまだまだ続きます。
地方から都会に出てきて、そこで生活基盤を固めた人間に次に訪れるのは、「墓じまい」「墓探し」という難関です。夫婦の場合には、それぞれの実家で起こり得る問題です。
墓石の撤去や役所での手続き、お寺・墓地運営者とのやり取りなど、やることはたくさんあります。
お墓の情報サイト「いいお墓」(株式会社鎌倉新書が運営)の2024年調査によると、墓じまいに要した費用は31万~70万円が多いようです。150万円以上かかったという答えもあり、国民生活センターからは墓じまいに関するトラブルの注意喚起が出されています。
檀家をやめるときに寺へのお礼として慣習的に支払う、いわゆる「離檀(りだん)料」で数百万円を要求されたという事例もあり、注意したいものです。
今後の管理をどう考えるか
親が眠る場所、つまりお墓探しも都会ではひと苦労です。
場所探しが大変ですし、大きな費用もかかります。
仮に確保できたとしても、私のように子どものいない人間は、そのお墓をどうやって管理すればいいのでしょうか?
私の場合は東京・築地本願寺の「合同墓」を選びました。
冥加金(みょうがきん)30万円(目安)でお骨を永代管理してもらえ、年間の管理費も必要ありません。
私に何かあったとしても、築地本願寺で父母は安らかに眠り続けるでしょう。
築地本願寺の宣伝をするわけではありませんが、私に限らず合同墓や樹木葬、散骨など、従来の墓地スタイルにこだわらない人が増えてきているようです。
ただし、一般の墓より樹木葬などはローコストですが、それなりのお金はかかります。
スタイルは変わっても葬儀費用は必要
老親の介護生活が終わると、親を見送らなくてはなりません。
かつて葬儀は大きなイベントで、かかるお金も大きいものでした。
しかし近年、とくに都会では家族葬が中心となっています。
葬儀相談依頼サイト「いい葬儀」(鎌倉新書が運営)の2024年調査によると、家族葬を選んだ人が50%、一般葬は約30%となっていて、完全に家族葬が中心です。
かかった費用は家族葬では平均105.7万円、一般葬は平均161.3万円となっています。
家族葬でも何だかんだ100万円程度のお金が必要になります。
介護から始まり、葬儀、お墓といろいろお金がかかることを説明しました。
これらの出費を親の財産でまかなえるなら問題ありませんが、親とのコミュニケーションが不十分な場合や、親の資産が限られている場合は自力でお金を準備する必要があります。
一番お金のないときに出費はやってくる
副業評論家の私が、どうしてここまで介護やお墓のことなどを述べてきたのか?
それは、家族に関する思わぬ出費というものは、なぜか一番お金のないときにやってくるからです。
特に定年退職後で年金オンリーの生活になった際、会社に勤めていても50代半ばで役職定年になったり再雇用になったりした際などの、収入がダウンしたときに限って、介護などに出費が必要になってきます。
やってられないですよね。
でも、泣き言を言っても仕方ありません。
会社に勤めながらセカンドライフに入ることを決め、自分の人生を自分主体で切り開いていくようにシフトチェンジしませんか。
なにせ、このあと「自分自身の介護」「自分自身の葬儀やお墓」という問題もそんなに遠くない時期にやってくるのです。
※副業・複業・創業に当たっては、必ず所属組織の規定などを確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。
『 副業・複業・ひとり社長で年金に月プラス10万円を得る方法 』
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藤木俊明著/日本経済新聞出版/990円(税込み)

