その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は都築辰弥さんの『 人生後半の働き方戦略 幸福年収700万円を続けるために 』です。
【はじめに】
あなたは、何歳まで働きたいですか?
定年後の働き方について、どんなイメージを持っていますか?
「人生100年時代」といわれる今、会社を辞めてからの時間はかなり長い、と考える必要があります。
もちろん価値観はさまざまですから、定年後再雇用が終わる65歳からはもう働かない、という選択があってもいいと思います。また、趣味を極めるのもすばらしいことですし、お孫さんの世話をするのもいいでしょう。ただ、65歳まで積み上げてきた経験や身につけてきた知識、スキルを活かす仕事が突然断ち切られてしまうのは、なんとももったいないような気がします。
「人生後半も、収入と働きがいを両立できる充実した職業人生にしたい」
本書は、そんな意欲のある40~50代のビジネスパーソンに特に読んでいただきたいと考えています。自分が選ぶべき働き方と、その選択を充実したものにするための実現手順が具体的にわかり、読み終えたその日から一歩踏み出すことができる。そんな戦略絵図を手に入れることができる内容に仕立てました。
とはいえ、本来どのような働き方を選ぶべきかは人それぞれですから、唯一の正解を示すことはできません。ですから、キャリアに関して多くの人に有意義なことを語ろうとすれば、どうしても「こういう考え方が重要だ」という概念的なキャリア論やマインドセットといった抽象度の高いテーマを扱うか、あるいは「職務経歴書の書き方」などのワンテーマに特化した具体的なマニュアルを目指すか、のどちらかになりがちです。しかし、両者の間には、大きな隔たりがあると思うのです。
「人生後半のキャリア形成についての心構えはわかった。職務経歴書も書けそうだ。それで、果たして自分は転職すべきなのだろうか?」
多くの方が、そのように自問自答するはずです。ここを明確にするための、いわば「中間の情報」が欠落していることに、私は問題意識を持っていました。ここが埋まらなければ一歩を踏み出すことはできません。
そこで本書は、「それは人それぞれです」という大前提は重々承知の上で、あえて一定の解を提案することに挑戦します。人それぞれのテーマに一定の解を提案するという大いなる矛盾……。それを乗り越え、地に足のついた議論を展開するために考えたのが、「年収700万円が続く」というコンセプトです。充実した人生後半を過ごすために必要な収入はいくらか。働きがいのある仕事とは何か。こうした「人それぞれ」を大胆にもショートカットし、ズバリ年収700万円という数字を仮定したのです。なぜ700万円なのかは序章で説明させてください。
年収700万円という共通の目標ができれば、具体的な議論が可能になります。
どのような働き方をいつ選択すべきなのかを明確に提示すると同時に、選んだ働き方で収入と働きがいを両立するためのアクションステップを詰め込みました。読んで終わりではなく、確かな一歩を踏み出していただくことにこだわる1冊です。
本書で扱う具体的な行動ステップなどのノウハウは、私が代表を務める45歳からの実践型キャリアスクール「ライフシフトラボ」で使用している講義資料がベースとなっています。ライフシフトラボでは、人生後半も充実したキャリアにしたいと考える40~50代のビジネスパーソンに対し、転職・複業・起業支援のパーソナルトレーニングを行っています。
私が制作したカリキュラムのみならず、ライフシフトラボに所属し、ミドルシニアのキャリア形成に精通する200名以上のプロフェッショナルそれぞれの活きた知見を結集し、2022年の開講以来、累計5000人以上を支援してきました。
そんな現場叩き上げの人生後半のキャリア開発ノウハウを余す所なくお伝えします。その一部は、日本経済新聞社が運営するリスキリング専門メディア「NIKKEIリスキリング」の連載でも公開していますので、本書と併せてご覧ください。
本書の構成についてご説明しましょう。
序章では、「年収700万円」を提案する理由を、海外の幸福研究・調査も踏まえて詳説します。続く第1章は、「人生後半の働き方戦略」の概論として「雇用」「複業」「起業」という3つの働き方を、ライフステージで選び分けることを提案します。
第2章は実践編です。キャリア後半戦に年収700万円を続けるための「複業」から「大人の起業」までの流れを具体的に解説し、自分の強みに基づき、「売り」となる「じぶんコンテンツ」の開発を提案します。
第3章は、じぶんコンテンツを活かした複業デビューのノウハウをまとめました。複業に対して、本業の充実ももちろん重要です。そこで第4章では、転職知識のアップデートを含む「40~50代の転職攻略法」を伝授します。
終章では、3つの働き方に共通する成功への基本的な考え方を紹介しています。章末には、敬愛する経営学者の入山章栄先生へのインタビューを収録しました。時代が激変する今、立ち止まっていては何も得られないことが強く感じられるでしょう。
本書があなたの仕事人生に何らかのプラスをもたらし、新しい行動に踏み出すきっかけになれば幸いです。
では、本論に入っていきましょう。
2025年3月
都築 辰弥
【目次】




