その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は野口真人さんの『 資本コスト経営のすすめ なぜあなたの会社はPBR<1倍なのか 』です。
【はじめに】
2023年3月31日に、「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」(以下 資本コスト経営)が東京証券取引所(以下 東証)から発表され、上場企業はより密接な資本市場との対話を求められることになりました。
これに先立ち発表されていた「上場維持基準の概要」は、各市場の上場維持基準を定量的に示したものなので、誰もが理解できるもの(達成できるかは別として)でした。しかし、この東証の「資本コスト経営」への要請(以下 東証開示要請)の内容は、抽象的かつ概念的なものであり、多くの企業が対応に苦慮しているようです。
そもそも、日本の企業の多くは資本コストを意識せずに経営されてきた歴史もあり、いきなり自社の資本コストを開示しろと言われてもどうしていいのかわからないというのが本音でしょう。「いっそのこと、東証が資本コストの計算式を開示したら楽なのに……」といった怨嗟の声も多く聞こえてきます。
ただ東証開示要請の内容が、概念的にならざるを得ないのには理由があります。具体的に資本コスト算出式などを開示しても、全上場会社に当てはまる単純なメソッドはありえませんので、投資家を混乱させるだけです。また、具体的なマニュアルにすると、企業によっては自社に都合の良い手法をチェリーピックする可能性もあり、投資家の期待にそえないかもしれません。
- ▶資本コストとは何か
- ▶東証開示要請に対し自社はどのように対応するのが最善なのか
- ▶アクティビストを含めた投資家と五分に対話するために必要な知識は何か
このような経営者からの声に応えるべく、本書を書き下ろしました。
本書では、東証開示要請に適切に対応できるための知識やノウハウを、とことん解説していきます。本書は、第1章から第4章までを理論編として、資本コストの概念や算出方法、企業価値に関する理論的な解説をします。コーポレートファイナンス(以下 ファイナンス)の講義の中で、特に経営者が知るべき知識のみをピックアップしました。第5章以降は実践編として、資本コストを意識した経営を実現するためのノウハウ、東証開示要請に具体的にどのように取り組むべきかを解説します。
でははじめに、なぜ資本市場でさまざまな改革が始まったのかについて解説していきましょう。
【目次】






