その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は戸田久実さんの 『怒りの扱い方大全』 です。
【はじめに】
数多くある感情のなかでも、とくに扱いに困ってしまうのが「怒り」の感情ではないでしょうか――。
わたしは、約30年間、組織の研修・講演の講師やコンサルタント業を通して、人材育成に携わってきました。
これまでにさまざまな相談を受けてきましたが、昨今は研修や講演、1on1でのセッションなどで、アンガーマネジメントをテーマにしたご依頼が激増しており、「怒りの感情をどうにかしたい」「どうしてこんなにイライラするのか」と言われることも多くなってきています。
話を聞いていると、
「どうしたら、怒らなくなれるのでしょうか?」
「怒らないように我慢していると、ストレスがたまります……」
という悩みを吐露する人も少なくないのですが、そもそもアンガーマネジメントは怒らなくなることを目指すものではありません。
「怒らない人になろう」ということではなく、「怒りと上手に付き合えるようになろう」というものです。
怒りはわたしたち人間にとって自然な感情であり、なくすことはできません。
ただ、「うれしい」「楽しい」「悲しい」というほかの感情と比べるとエネルギーが強いため、どうしても振りまわされやすいのです。
イライラする自分に対して、自己嫌悪に陥ってしまう。
「あのときあんな怒り方をしなければよかった……」と後悔する。
フツフツとわき起こる怒りで集中力を失う。
どうにもならない相手への怒りが募る。
つい相手の怒りに巻き込まれてしまう……。
日常生活のなかで、こんな思いをすることはありませんか?
アンガーマネジメントは、怒りと上手に付き合うための心理トレーニングです。
怒りがどのような感情なのかを正しく理解し、アンガーマネジメントができるようになれば、怒りに振りまわされることはなくなります。これは、誰でも取り組めることなのです。
本書は、日々わたしのところに寄せられる、さまざまな相談事例をもとに構成しました。仕事やプライベートでわいてくる他人への怒りから、自分に対する怒りまで網羅しています。また、怒りにはレベルがあり、その場で解消できる軽いものから、恨みまでわいてしまうような根深いものまでさまざま。
怒りの度合いによって、考え方や対処法も変わってくるので、具体的にどうすれば解消するかという実例も交えながら、解説しています。
現在、変化の激しい時代を迎えています。そんななか、ストレスを感じる機会が非常に多くなり、イライラしやすくなったという声も増えています。
だからこそ、怒りの感情とうまく付き合えるということは、自分の人生をよりよく生きることにつながるのです。
「アンガーマネジメントができるようになったことで、本当に生きやすくなった」
という声を多数いただいています。
本書を通じて、より多くの人がそうなることを願っています。
本書の執筆にあたっては、日経BP日本経済新聞出版本部の細谷和彦さんにお世話になりました。
2020年に出版して以来、おかげさまで増刷を続けている『アンガーマネジメント』(日経文庫)に続いて再び執筆をご依頼いただき、今作も打ち合わせ時から楽しく進められました。
また、わたしの出版のパートナーである株式会社サイラスコンサルティングの星野友絵さん。出逢いからちょうど11年目にあたる節目の年に、こうして新たな本づくりを一緒にできたことをうれしく思います。
お二人には本当にお世話になりました。ありがとうございました。
そして、今回の出版の話も喜び、応援してくれた日本アンガーマネジメント協会の代表理事、安藤俊介さん。いつもありがとうございます。
最後に、大切な家族である夫と息子に。今回もサポートしてくれて、ありがとう。
2021年7月 戸田久実
【目次】