その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は中北朋宏さんの『 コンプレックスは営業の最高の武器である。 』です。
【はじめに】
2020年は、新型コロナウイルスの影響で営業職の働き方が大きく変わりました。
今までは、顧客先を訪問し対面で商談をすることが当たり前でしたが、新型コロナウイルスの影響で、顧客先を以前のように易々と訪問することができなくなりました。顧客に「足繁く通うこと」が重要だとされていた会社もあったと思いますが、もはや目的もなく訪問しに来る営業職を顧客は露骨に嫌がります。それは、顧客先もリモートで働くことが当たり前になっている会社が多くなっているからです。
今後の営業は、皆さんも実感している通り、オンラインとオフラインの2つを織り交ぜた営業スタイルが求められています。ただ、初めての営業スタイルでもあるため数多くのお客様から話を伺う中で、より課題が明確になってきました。
-
▼ オンラインについて
- 信頼関係の築き方が分からない
- 提案が相手に伝わっているかが分かりにくい
- 相手を惹きつけ続けることができない
-
▼ オフラインについて
- 今までのように気軽に会ってくれず訪問までのハードルが高くなった
- 今まで通りのアイスブレイクが通用しない
- 最後の決め手に欠け受注までいかない
この声は、本当によく耳にします。ただ、上司・先輩もどのように指導するべきなのか分からず、また企業としても各社が解決策を模索している状態です。
これらの課題を解決するために、まず押さえるべきは、オンラインとオフラインでは目的と必要になるスキルが異なるということです。
具体的には、オンラインの目的は、顧客からいかに情報を引き出し、信頼を獲得するかが重要視されています。
オフラインの目的は、さらに深い信頼を獲得し、オンラインで引き出した情報をもとに「決める営業」が求められます。つまり、今までは何度かオフラインの中で会い、徐々に深めていけばよかったはずの信頼関係を今後は貴重な一回、二回のオフラインの場で一気に距離を縮める必要があるということです。言うまでもなく非常に難しくなっています。
時代とともに変わるリーダー像
また時代の流れとともに理想のリーダー像も変わってきています。
- 今までのリーダー像 旗をたてて巻き込んでいく
- これからのリーダー像 旗をたてて助けてもらう
今まではカリスマのような人がおり、周囲を巻き込みながら進んでいくリーダー像が正しいとされてきました。弱音を吐いたり人に助けを求めること自体が悪いことのように思われてきました。
しかし今後のあまりに変化が激しいなかで生き残っていくためには、一人の力では限界があり、いかに人に助けてもらうかが重要になっています。「信頼関係を築くこと」や「助けてもらう」ためには、自己開示をし「共感」を得る必要があります。
この「共感」を得るために必要な最強の武器が「コンプレックス」です。本書では、この「コンプレックス」を使った営業スキルやコミュニケーションスキルについてお伝えします。
弊社が提供しているこの営業スキルやコミュニケーションスキルを使えば、今後の新しい時代に立ちはだかる「信頼関係を築く」ことや「助けてもらう」ことを達成することが可能です。すでに大手からベンチャーまで約250社の方々が受講され、新しいスキルを身につけていただいております。
さて、そろそろ自己紹介させてください。「お前、誰なんだ?」と不審に思われている方もいらっしゃるかと思います。
申し遅れました。私は、「株式会社俺」という少々攻めすぎた名前の会社を経営しております。事業は2つあります。
①笑いの力で組織を変える※「コメディケーション」
②お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」
なぜ私が、このような事業を展開しているかというと、私の経歴に関係しています。それは、私が浅井企画という芸能事務所でお笑い芸人として6年間活動後、人事のコンサルタントになり営業成績ナンバーワンを達成し、ベンチャー企業での人事責任者を経て、2社から出資をうけて現在の会社を経営しているという不思議な経歴の持ち主だからです。
本書では前述の課題を解決するために営業ノウハウをお伝えします。ただお伝えするだけではなく、皆様により生き生きとした活用イメージを持っていただくためにストーリーの中で分かりやすく解説していきます。
登場人物は、営業部所属としております。ご紹介するノウハウは営業ノウハウだけではなく、新しい時代のリーダー像やチームづくりまであります。経営者の方でも、またはどちらの部門に所属している方でも、お使いいただけるものですのでご安心ください。
また、ストーリーのなかで詳しくご紹介できない部分に関しては、より分かりやすく解説パートを用意しております。
主人公は営業部所属のさえない営業「中本陽太(なかもとひなた)」。彼が生きる世界でも、新型コロナウイルスのような謎のウイルスが蔓延し、オンラインとオフラインを活用した営業スタイルへと変化が起こっています。そんな環境の変化についていけず、日々悩んでいるが、努力もせず、改善もしない。大学の同級生が転職をしているからという理由で「会社、辞めようかな……」と簡単に口に出してしまう。でも、なんだか憎めないキャラクター設定にしています。皆様の会社にも一人はいる「あぁ~、○○さんのことね」と近くの誰かと重ねたり、「自分と似ているかもしれない」とイメージしていただけると読みやすいと思います。
また、今回ストーリーに出てくる会社は、弊社で担当した企業5社で浮き彫りになった課題を混ぜて作っております。5社すべてビジネスモデルは異なりますが、営業職が抱える課題は非常に近くなっています。
主人公の「中本陽太」はどのようにこの時代の変化に合わせ成長しながら、成果を上げていくのか。ぜひ、ご自身の置かれている状況や課題とも照らし合わせてお楽しみいただけますと幸いです。
株式会社俺 代表取締役 中北朋宏
【目次】