その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は井戸美枝さんの『 一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください! 増補改訂版 』です。

【はじめに】

 お金のことを考えるときはいつも深呼吸をして、心を落ち着かせてから始めています。お金との付き合いには、これから自分がどうありたいかという、明確な「意思」が求められると思うからです。

 私は20代の2年半、会社員として働きました。ほんの数カ月ですが専業主婦もしました。やがてお金や社会保険制度の仕事の面白さに目覚め、社会保険労務士になりました。自分の個人事務所を開いた日を「独立記念日」と名付け、毎年、過去・現在・未来にわたるお金との付き合い方を考える特別な日にしています。私の独立記念日は7月1日、33回目を迎えました。

 この間に実感した、お金についての大事な基本が2つあります。

「何でも自分でやってみる」「数字はウソをつかない」

 例えば、老後のお金の不安はどうしたら解消されるのか。誰にでも当てはまる正解はなく、その人それぞれの生き方・意思にマッチした「特注品の答え」があるのだと思います。そしてその「特注品の答え」に出合うためには、何でも自分でやってみることが大事なのです。「老後」は、定年や引退などによってある日突然始まるものではありません。若いときから連綿と続く毎日の中で、様々な経験を積み重ねた先に定年後の生活がつくり出されるからです。

 さらに、会計の仕組みを理解し、知恵を身に付けることはとても大事です。難しく考える必要はありません。毎月の収支は赤字ではないか。資産をコツコツ増やせているのか。現状を整理し、計算してみてください。数字はウソをつきません。数字が示す「私のお金の問題点」を素直に受け入れ、改善策を考え、実行していきましょう。

 この本では、数多くの計算事例を通じて、読者の皆さんが「特注品の答え」に出合えるよう工夫しました。これからどんな人生をつくりたい? 家計の現状は? 将来の受け取れる年金額は? それが足りないならば、今すべきことは? 本書をお供にぜひ「特注品の答え」探しを試してみてください。

 なお、年金をはじめ公的制度は常に改正されることが前提となっています。そのため最新の改訂版をお手に取っていただければ幸いです。

 最後に、お世話になった関係者の皆様に深甚なる感謝の意を述べさせていた だきます。

2022年5月吉日   井戸美枝

【目次】

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