その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は菱田雅生さん、大口克人さんの『 日経マネーと正直FPが教える 一生迷わないお金の選択 』です。

【はじめに】

 10年くらい前に、ある記事で読んだ話です。

「ある調査によると、世の中の約7割の人は投資やお金に関心がない。さらにその7割は、投資やお金のことを学ぶのを嫌だと回答している」。

 つまり7×7=49で世の中の約半数が、お金の情報から積極的に身を遠ざけたいと考えている、というのです。

 これは私には衝撃的な話でした。私はお年玉を預けている郵便局の定額貯金の利子が、複利で今いくらに増えているのかを電卓で計算するのが好きな小学生でしたし、中学時代には秋葉原で安く買ったカセットテープを学校で売りさばいて先生に大目玉をくらい、高校生になったら楽器を買うお金が欲しくてスキー場の住み込みやダスキンの配達など、アルバイトばかりしていた子供でした。なので、お金の知識を得たくない人が世の中に半分もいるなんて信じられないわけです。第一、お金を増やしたくて真剣に株の銘柄選びや業界研究をしても、相場次第で含み損が出たりするのが投資の世界です。なのにお金の知識から逃げ回っていたのでは、一生お金が貯まるわけがないじゃないですか。


 そこで企画されたのがこの本です。

 実はお金の知識は一から網羅的に学ばなくても、「Aか、Bか」という選択で正しい答えを出せれば、だいたいうまくいくようになっています。

 長期・分散・積立をするか、しないかがその好例で、「する」を選んで始めてしまえば、よほど変な商品を選ばない限り20~30年後には一定の資産ができています。でもここで「投資は怖い」と言って行動しない方を選べば、インフレに負け、長期で購買力をなくしていくだけの人生になります。大きな方向を間違わないのが大事だということです。

 また世間では意見が割れていることでも、長い間資産形成に関わっている業界人の間では「これはBで決まりだよね」という暗黙の了解もあります。私自身、33年も仕事でお金のことを考えてきましたので、この「業界の知恵」というか「今のお金の常識」を皆さんにお伝えしたいという気持ちがありました。もちろん中には白黒付かず「立場によってどちらも正しい」ということもあります。「自分の考えとは違うな」と感じることもあるでしょう。

 でもそれはチャンスで、その都度お金に対するあなたの考え方が複眼的になり、一歩前進するからです。大事なのは「こっちが正しい」と人を論破することではなく、物事を多角的にとらえ、どんな厳しい局面が来ても正しい判断をして生き抜いていけることなのです。

 それでは、我々と一緒に「お金をめぐる究極の選択」を考えていきましょう。

2024年夏 日経マネー編集委員 大口克人

画像のクリックで拡大表示

【目次】

画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示
画像のクリックで拡大表示