その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日はアクセンチュア株式会社の『 Google Cloud設計完全ガイド AIを組み込んだ次世代アーキテクチャの考え方 』です。

【はじめに】

 本書は、オンプレミスやクラウドでシステムを構築してきたエンジニアの方々を対象に、Google Cloudの思想を理解したうえで、設計・構築に必要な「アーキテクチャ設計の考え方」を体系的に整理したものです。

 現在のクラウドでは、ネットワーク、コンピューティング、ストレージ、データベース、DevOps、運用監視といった要素が密接に関わり合い、サーバーレスやクラウドネイティブなサービスの活用など、従来の基盤設計とは異なる技術要素と設計判断が求められます。さらに近年では、大量データを活かす「大規模データ活用基盤」や、機械学習・生成AIを業務に組み込む「AI活用基盤」の構築までが、システム設計に求められる標準的な範囲となってきています。

 Google Cloudは、「Google検索」や「Gmail」「YouTube」といったグローバル規模のサービスを支えてきた技術基盤を、エンタープライズ向けに開放したプラットフォームです。大規模データ処理を支える「BigQuery」、コンテナオーケストレーションの標準を生んだ「Kubernetes」、そしてGeminiをはじめとする最新のAIモデルとエージェント開発・運用基盤を提供する「Gemini Enterprise Agent Platform」など、データとAIの領域において特に際立った強みを持ちます。

 また、Google社が提唱した「SRE」(Site Reliability Engineering)の思想は、Google Cloudの運用サービスや設計パターンの随所に組み込まれています。単にオンプレミスのインフラストラクチャをクラウドに移すだけでなく、信頼性の高いシステム設計とモダンな運用までを実現できることが、Google Cloudを選ぶ本質的な価値といえます。

 現在、多くの企業が、長年運用してきたモノリシックなシステムを見直し、クラウドネイティブを前提とした「モダンアーキテクチャ」への転換を進めています。ビジネスの変化に素早く対応するためのスピードと柔軟性、そしてシステムの信頼性とコスト効率の向上が、その主な理由です。マイクロサービス化、コンテナ化、イベントドリブン設計、そしてSREに基づく信頼性設計など、求められる技術と判断軸は、これまで以上に多岐にわたるようになりました。

 さらにAI技術の急速な進化によって、アプリケーション開発・運用自動化・業務効率化のすべての領域でAI活用が現実的な選択肢となっています。もはやクラウド基盤の設計とAI活用基盤の設計は切り離せるものではなく、両者を統合的に考えることが、現代のアーキテクトに求められる視点となっています。

 こうした流れは、Google Cloudにとって追い風です。

 KubernetesやSREは、もともとGoogle社が生み出した概念であり、モダンアーキテクチャへの転換はGoogle Cloudの強みが最も活きる領域でもあります。BigQueryをはじめとしたビッグデータの分析基盤や、Geminiを中核とした生成AI基盤を自社システムに組み込めることも、Google Cloudの大きなアドバンテージだといえるでしょう。

 一方、Google Cloudでは多種多様なサービスが提供されており、とりわけ進化の著しいAI分野をはじめ、新サービスの追加や既存サービスの強化が日々続いています。その選択肢の多さゆえに、「要件を満たすためにどのサービスを選ぶべきか」「どのようにサービスを組み合わせるのが最適か」と迷う場面は少なくありません。

 筆者自身も、現場でアーキテクチャを描く際には数多くの事例や構成パターンを検証し、各領域に最適なGoogle Cloudのサービスを見極め、組み合わせることで、最適解を導き出してきました。Google Cloudは極めて柔軟で強力であるからこそ、「選び、組み合わせる判断力」がシステムの成否を大きく左右します。

 本書はまさに、その判断を支える「道標」となることを目指して書かれています。

 本書では、アーキテクチャ設計の視点を整理するため、「インフラストラクチャ」「移行」「コンテナとマイクロサービス」「データ連携と活用」「開発・DevOps」「Gemini Enterprise Agent Platform」「ハーネスエンジニアリング」「SRE」という8つの領域に体系化し、それぞれの領域において最適なサービス選定と組み合わせのパターンを具体例とともに解説します。特に進化の著しいAI領域については、エンタープライズ向けのエージェント開発運用基盤であるGemini Enterprise Agent Platformを中心に、AIを組み込んだ実践的なシステム構成例を取り上げています。

 Google Cloudを使いはじめたエンジニアの方でも徐々に全体像がつかめるように、基本的なインフラストラクチャ設計からデータ活用基盤・AI活用基盤の構築まで、順を追って解説していきます。加えて、Google Cloudの主要なサービスの一覧と概要もまとめています。アーキテクチャ設計で利用するサービスはその一部にすぎませんが、膨大なサービス群の中から必要な機能を素早く見つけ出したり、似たサービスを比較検討したりする際の"辞書"としても、活用していただけるはずです。

 本書が、Google Cloudの設計スキルを高めたい方、そしてITアーキテクトを目指す読者の皆さまにとって、日々の設計・構築の実践に役立つ1冊となれば幸いです。

2026年9月 執筆者一同


【著者プロフィール】

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【目次】

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