その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は中村俊也さんの『 ChatGPT Work 新世代仕事術 』です。

【はじめに】

 2022年11月に「ChatGPT」が一般公開されて以来、数年で世の中は大きく様変わりしました。ChatGPTをはじめとする「生成AI」の能力は世界中の人々に衝撃を与えるとともに、その利便性が大きく評価され、またたく間に普及したのです。今や生成AIは、仕事や生活に欠かせないサービスとして、誰もが活用する時代になったといえます。

 そして、このChatGPTがもたらした社会変革は、2026年に新たなステージに入りました。皆さんも「AIエージェント」という言葉を耳にしたことはあるでしょう。生成AIに続く次の大変革は、AIエージェントの普及によって始まります。その具体的なツールの1つとして登場したのが、2026年7月に公開された「ChatGPT Work」です。これによりChatGPTは、あなたの仕事の相棒となるAIエージェントへと、大きな進化を遂げたのです。

 これまでのChatGPTは、ユーザーが質問を入力すると、それに答えてくれる“チャット型のAI”として使われることが中心でした。わからないことを調べてもらう、文章を書いてもらう、資料の要約や修正をしてもらう、画像やExcelファイルを作ってもらう──こうした使い方だけでも、ChatGPTは私たちの仕事や生活を大きく変えてきました。

 しかし2026年以降、チャット型のAIは、よりパワフルな“エージェント型のAI”へと進化しました。文章の作成やリサーチ(調査)にとどまらず、「毎朝、業務に関連するニュースを収集して資料にまとめ、関係者に通知する」「会議の録音から議事録を作成してタスクの一覧を作り、担当者に割り振る」といった一連の作業を遂行し、目的を達成するまで自律的に働いてくれるのです。まさに「エージェント(代理人)」として、あなたの代わりにさまざまな仕事をこなしてくれるAIです。一般に「エージェンティックAI」「AIエージェント」などと呼ばれます。両者を区別する場合もありますが、本書ではシンプルに「AIエージェント」と呼びます。

 このAIエージェントの仕組みを備えたChatGPTの新機能がChatGPT Workです。ChatGPT Workは、高度な作業を細かなタスクに分解し、計画を立てて実行します。資料作成などでは、一度で作業を終えるのではなく、自分でミスを見つけては修正を繰り返し、成果物の品質を高めていきます。パソコン内のフォルダーや資料を処理したり、ブラウザーやアプリを操作したりすることも可能です。スケジュールを設定し、自動で実行させることもできます。GmailやOutlookなどのメール、カレンダー、Googleドライブ、Slackといった、日常の業務ツールとつないで活用することもできます。

 さらに、「スキル」と呼ばれる機能を使うと、仕事の手順や必要なツールをあらかじめ登録できます。毎回同じような指示をしなくても、まるでベテラン社員のように、「いつも通りよろしく」と指示するだけで働いてくれるイメージです。メール、議事録、業務システム、自社のデータベースと接続すれば、そのデータを活用して動くようになるため、非常にパワフルで高度な活用が可能になるのです。

 このように、ChatGPT Workは単なるチャット型のAIから、「あなたの代わりに働くAIエージェント」あるいは「一緒に働く同僚」へと進化しています。もはやAIは単なるITツールではなく、労働力の1つと見なせるレベルに達しているのです。まさに“AI社員”という言葉がふさわしいでしょう。

 このAI社員を使いこなせると、仕事の進め方そのものが変わります。これまで数時間かかっていた資料作成やリサーチが、指示するだけで進むようになります。夜のうちに作業を任せておけば、翌朝には成果物が仕上がっていることもあります。定型的な作業をAIに任せた分、あなたは企画を練る、お客様と向き合うといった、人にしかできない仕事に時間を使えるようになります。「人手が足りない」と悩む職場やチームでも、こなせる仕事の量と質が着実に上がっていくのです。

 ここまで読んで、「なんだか難しそう…」と感じた人もいるかもしれません。でも大丈夫です。確かに2024年から2025年に登場したAIエージェントのツールは、プログラムを扱うエンジニア向けのものが主流で、一般のユーザーにはハードルが高いものでした。しかしChatGPT Workは、最初からビジネスパーソン向けに設計されたAIエージェントです。専門知識がなくても、日本語で指示するだけで使い始められます。

 そこで本書では、新しく登場したChatGPT Workの基礎から、仕事で役立つ活用法までをステップ・バイ・ステップで解説します。より多くのビジネスパーソンに有益と考えられる実践例も多数紹介しています。AIエージェント時代のChatGPT活用法を、実際に手を動かしながら身につけていきましょう。本書で紹介する実例を1つ試すたびに、「この作業、もう自分でやらなくていいんだ」という実感が積み重なっていくはずです。

本書の読み方

 本書は3つの章で構成しています。第1章では、AIエージェントとは何か、ChatGPT Workで何ができるのかという全体像をつかみます。第2章では、インストールから基本操作、スキル作成や自動化まで、実際に画面を操作しながら一歩ずつ体験していきます。そして第3章では、ファイル整理、資料作成、定期実行、アプリ作成など、仕事にそのまま使える実例をたくさん紹介します。順番に読み進めれば、初めての方でも迷わずにステップアップできる構成です。

 なお、ChatGPT Workには「Webブラウザー版」と「デスクトップアプリ版」の2つがあります。本書はデスクトップアプリ版を中心に、Windows 11を搭載したパソコンでの使用を想定して解説します。併せて、「チャット型のChatGPT」や、開発者向けのエージェントである「Codex」との違いも説明します。

 ChatGPT Workは、本書執筆時点では無料でも試すことができます。思い立った今日から、気軽に始められるのです。まずは無料で試して、慣れてきたら有料プランに申し込んで、さらに使い込んでみてください。

 本書が、皆さんのAIエージェント活用のヒント、業務効率化の一歩となれば幸いです。ChatGPTに仕事を任せる第一歩を、ここから踏み出しましょう。


【目次】

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