人材が成長する組織とは? 人材が成長する会社には、優秀な人が集まってくるのも事実だ。ディー・エヌ・エー(DeNA)の創業者であり、26年に社長に復帰した南場智子氏が、「とにかくギリギリの仕事を任せること」で組織に起きる変化について語る。南場氏の著書『不格好経営 チームDeNAの挑戦』(日本経済新聞出版)から抜粋して再構成。
成長曲線は「階段型」
会社は学校でも親でもないので、人材育成が究極の目的ではないが、人材の成長を重視していない会社はない。組織の成長は人材の成長によってもたらされるからだ。また、人材が成長する会社には、優秀な人が集まってくる。
DeNAはまだまだな点も多くあるが、人材の成長という観点ではかなり高いレベルではないかと思っている。新卒入社2年目の社員に、役に立っているか、仕事はできるようになったかと聞くと、たいてい「まだまだです」と小さくなるが、大学の同期と比べて自分が一番成長していると感じるか、と尋ねると、それだけは自信があると皆胸を張る。
なぜ育つか、というと、これまた単純な話で恐縮だが、任せる、という一言に尽きる。人は、人によって育てられるのではなく、仕事で育つ。しかも成功体験でジャンプする。それも簡単な成功ではなく、失敗を重ね、のたうちまわって七転八倒したあげくの成功なら大きなジャンプとなる。
人の成長はグラフで表せるものではないが、もしあえてグラフにするならコンスタントな右肩上がりのカーブを描くことは珍しく、多くは階段型だ。しばらく何も身動きできない苦しい時期がある。ところがそれを乗り越え小さくても成功したときはグンッと階段を上がるようにジャンプする。おそらく、自信がつくからだろう。だからDeNAでは、その人物が精いっぱい頑張ってできるかできないか 、ギリギリの仕事を思い切って任せることにしている。
本人は成長の意識はほどほどに
ギリギリな仕事を任せれば当然、失敗するリスクもある。でも、不思議と人は顕在化している能力の数倍の能力を有していて、本人も驚くような大仕事をやってのけるものである。万が一できなければチームが寄ってたかって助ける。まれにそれでもカバーしきれず、穴があくこともある。そのリスクはとろう、でも人が育たないリスクはとらない。DeNAはそういう選択をしているつもりだ 。
自分の「成長」への意識はしかし、ほどほどなほうがよいと考える。学生が自分の成長を重要なポイントとして就職先を選ぶことはうなずけるが、入社してからも「成長オタク」のように成長、成長と言う人は少し変だ。成長はあくまで結果である。給料をとりながらプロとして職場についた以上、自分の成長に意識を集中するのではなく、仕事と向き合ってほしい。それが社会人の責任だ。
そして皮肉にも、自分の成長だへちまだなどと言う余裕がなくなるくらい必死になって仕事と相撲をとっている社員ほど、結果が出せる人材へと、驚くようなスピードで成長するのである。
南場智子著/日本経済新聞出版/1760円(税込み)

