世代を超えてたくさんのファンを持つ“小林家伝来の肉じゃが”。その秘訣とは? 新刊『伝説の家庭料理家 小林カツ代のロジック』から抜粋します。
膨大なカツ代レシピのなかでも、時代を超え、世代を超えてたくさんのファンを持つ“小林家伝来の肉じゃが”。だし汁を使わず、関西風のすき焼きのように牛肉にダイレクトに調味料をまぶして作るのがミソ。
「最初に強めの中火で玉ねぎを炒め、玉ねぎが熱々になったら、玉ねぎを鍋の周囲に寄せて真ん中に肉をどーんと置きます。肉めがけて砂糖、みりん、しょうゆの順で加えます。関西風のすき焼きと同じ手順です。肉をそっとほぐしながら調味料をからめたら、煮立つのを待つ」
混ぜたくなっても、ぐっと我慢。
「混ぜすぎると、肉からアクが出てくるので、いじらない。肉を広げるときも、やさしく、やさしく。肉がおいしそうな色に煮えてきたら、大きくひと口大に切ったじゃが芋を入れ、ひたひたの水を注いでふたをし、強めの中火で一気にガーッと約10分煮ます」
火加減は、強めといっても、鍋底の外側まで炎が飛び出すのは危険。家庭では火事、ヤケドのもとです。

「肉じゃがには少々脂身のある肉が合います。薄切り肉は煮過ぎると、うま味が煮汁に溶け出して、だしがらのようになってしまいがちですが、この煮方なら大丈夫。肉のうま味を逃さずじゃが芋にもほっくり火が通ります。じゃが芋には、大別してごろんと丸い男爵とやや細長のメイクイーンがあり、どちらでも好みのもので構いませんが、私は男爵派」
男爵はでんぷんが多く、加熱するとホクホクした食感になるため、粉ふき芋やコロッケにも向きます。メイクイーンは男爵よりもでんぷんが少ないため煮くずれしにくく、シチューや炒め物にも向きます。最近、目にするキタアカリは男爵の仲間。
「男爵を使った肉じゃがは、翌日温め直すとちょっと煮くずれてきますが、煮汁の中でほろほろと煮くずれてきたじゃが芋は前日の作りたてとはまた別のおいしさです」
小林カツ代、本田明子著/日本経済新聞出版/1760円(税込み)
