日々戦争の光景が報道されているウクライナ。戦禍にみまわれる以前のウクライナは、どんなところだったのでしょうか? 2016年に発足したウクライナを知るためのプロジェクトの成果である写真集 『美しきウクライナ 愛しき人々・うるわしの文化・大いなる自然』 では、戦争以前の本来のウクライナの姿を伝えています。ここに収録された平和な写真を、東京カメラ部の塚崎秀雄社長が読み解きます。
「写真のチカラ」ここにありという一冊です。写真が好きな人はもちろん、東欧文化、自然、ウクライナが好きな人に加えて、世界情勢について理解を深めたい人にとっても必見の一冊だと思います。
この本には目を背けたくなるような悲劇は一枚も掲載されていません。ウクライナを愛する600人以上のボランティアが取材し、撮影した、戦禍が及ぶ前の、ただただ、美しく、優しく、愛おしい、そんな人々と、暮らしと、文化と、町並みと、それを育んできた自然。それらが、これぞ日経ナショナル ジオグラフィックというクオリティーの写真として収められています。子供にも安心して見せることができる本です。
しかし、大人が、この本を読み込んでいけば、今起きている惨劇を読み取ることができる写真や記述も掲載されています。ハルキウ、スロヴヤンシク、マリウポリ、これらの都市で何が起きたか知っている私たちが、その都市の美しい姿や、そこで生きる人々の暮らしぶりを見れば、そこに何かを感じ取ることができるのは当然でしょう。
私は本書を拝読して情勢が落ち着いたら必ずウクライナを訪問して、人々とふれあい、文化を学び、自然を堪能する撮影旅行にでかけたいと強く思うようになりました。
ぜひ、この本を手に取り、写真のチカラを感じてみてください。
※本書の売り上げの一部はウクライナ支援のために寄付されるようです。