「営業やマーケティングが劇的に変わる“儲(もう)かるAI”が自分で作れる」と好評を博した前作『Pythonで儲かるAIをつくる』から4年余、ChatGPTに対応してパワーアップした赤石雅典さんの新著『 ChatGPTで儲かるデータ分析 』の読みどころを、データサイエンティストのからあげさんがひもときます。

 昨今のChatGPTをはじめとした生成AIの進化は凄(すさ)まじいですが、それによりビジネスとデータ分析の在り方も大きく変わりつつあります。そんな時代に適した書籍が、赤石雅典氏の新著『ChatGPTで儲かるデータ分析』です。ChatGPTを活用したデータ分析による実際のビジネス課題の解決手法を示した一冊となります。本書は、著者自身が述べているように前作『Pythonで儲かるAIをつくる』 (以下、『儲かるAI』)をChatGPTに対応させた、続編ともいえる位置づけの書籍です。ただし、単なるアップデートではなく、生成AI時代のデータ分析のアプローチ方法、学び方について書かれている、全く違う価値のある本となっています。

 例えば、『儲かるAI』を含めた多くのデータ分析入門書が、導入部としてPythonの学習から始まるのに対して、本書では、ビジネス課題の理解・データ分析アプローチといった、より本質的な部分から学ぶ形に変化しています。実際に『儲かるAI』とページ構成を比較してみると、共通する部分はあるものの、生成AIの力を借りながら、よりスピーディーにデータ分析を学べるように、章立てやページ配分を大きく変えていることが分かります。

 生成AIを活用すれば、そもそもデータ分析の学習すら不要になるのでは?と考える方もいるかもしれません。しかし、現時点では、AIだけでデータ分析を完結させることは困難です。例えば、「Kaggle」のような、整備されたキレイなデータが提供されるデータ分析コンペティションですら、生成AIを使っただけでトップに立つのは困難です。また、実際のビジネスでは、多様なデータを収集したり、意味が分からないデータに関して内容を聞き込んで前処理をしたりなど、生成AIでは難しい泥臭い作業が重要となります。本書のキーワードである「儲かるデータ分析」のためには、ChatGPTを活用してPythonやデータ分析の流れを基礎から理解し、データを泥臭く集めるところまで突きつめていくことが重要というのが、本書の主張であり、赤石氏の豊富なデータ分析プロジェクトの経験がその主張を裏付けています。

 特筆すべきは、AIを活用したデータ分析プロジェクトの進め方や、実践的な活用例が詳しく解説されている9章が、前作では対応する章が9ページだったのに対して、本書では22ページと大幅に加筆されていて、本書の読みどころの一つになっている点です。また、本作は、書籍全体のボリュームも、前作より40ページ増えています。前作にあった寄り道的なコラム(息抜き的に個人的には好きだったのですが)も削(そ)ぎ落とした上でのボリュームであることから、筆者の本書にかける気迫と本気を感じます。

 『ChatGPTで儲かるデータ分析』は、生成AI時代におけるデータ分析の新たな学習法をいち早く示した書籍といえると思います。ChatGPTの登場によってデータ分析の進め方がどう変わるのか、そしてその中で人が「儲かるデータ分析」のためのスキルをどう身につけるべきなのかを解説しています。赤石氏の書籍に共通する魅力として、非常に丁寧な解説と学習の進め方があります。本書でも、データ分析の初心者が迷わないように、サポートサイトが充実しています。実習用のデータやプロンプトも用意されていて、手を動かしながら学ぶことで、より理解が深まる構成になっているので、安心してオススメできます。前作『儲かるAI』を読んだ方にとっても、新たな発見がある一冊となっています。データ分析に興味があり学びたい方、データ分析を仕事に生かしたい方など、幅広く多くの人にぜひ手に取っていただけましたら幸いです。

<評者> からあげ データサイエンティスト
『面倒なことはChatGPTにやらせよう』(講談社)、『人気ブロガーからあげ先生のとにかく楽しいAI自作教室』(日経BP)、『Jetson Nano超入門』(ソーテック社)などを執筆。多数の商業誌・Webメディアにも記事を寄稿。好きな食べ物は、からあげ。