クレア・ヒューズ・ジョンソン氏は、GoogleでYouTubeやGmailなどを急成長させ、オンライン決済のStripeでCOO(最高執行責任者)を務めた。そのスゴ腕マネジャーが、チームをつくる中で直面する課題とそれを乗り越える方法を実践的にまとめたのが、新刊『 スケーリング・ピープル 人に寄り添い、チームを強くするマネジメント戦略 』(二木夢子訳、日経BP)だ。最新テック動向やスタートアップに詳しく、人気ポッドキャスト「Off Topic」を配信する宮武徹郎さんと草野美木さんが、本書の魅力を解説する。
今では、AIなどテクノロジーの進化によってこれまでの比にならないくらい少数精鋭チームで会社を大きくすることが可能になってきた。作業はより効率化し、実現できるインパクトも大きい。
“なんのために働いているのだろう?”
効率化の先で人間は、自分がその場所にいる意味やAIにはない"有限な時間"をどこに捧(ささ)げるべきなのか、より一層考えてしまう。
だからこそ何を目指し、誰とその道へ突き進むか、本書でも引用されている『スター・ウォーズ』シリーズのドラマ『マンダロリアン』の作中に登場する“This is the way”(日本語版:“我らの道”)が重要になってくる。
私たち(宮武徹郎+草野美木)が発信している「Off Topicポッドキャスト」は、米国のテックニュースやスタートアップ情報を発信し、その後会社化し、今もほぼ2人体制で運営している。マネジメントという概念もまだあまり存在しないが、本書はそんな人にこそおすすめしたい。なぜまだチームがない人にも読んでほしいのかというと、著者が述べているように「オペレーティング・システムは思ったより早く必要になる」からだ。
著者のクレア・ヒューズ・ジョンソン氏は、決済プラットフォームのStripeの執行役員兼顧問で、StripeのCOOとして、従業員数200人未満だった会社を7000人以上の規模にまで成長させた。私たちも昨年(2024年)、サンフランシスコで行われたStripeが開催するカンファレンス「Stripe Sessions」に参加した。そこで感じたのは、多岐にわたるプロダクトがありながら、明快でクリアな企業理念があること。人もサービスも、強い一貫性を感じさせる。
また、本書で興味深いたとえだなと思ったのが、スポーツの試合が面白いのはルールがあって、勝つ方法があるからで、システムがない企業はルールが一切ない競技場のようなものである、ということ。そうなれば、誰かがケガをしたり、勝つ方法すら分からないままになってしまう。
そして、本書で面白いのが、“自己認識を高める”という考え方。自分のワークスタイルを分析し、自分のケイパビリティとスキルを知ることができる。自己理解から始まり、採用のアプローチの仕方やチーム育成など具体的なTIPSもありながら、誰かと一緒に働くことの楽しさをどうスケールさせるか、そして組織だけではなく個の才能をもスケールさせる必読の一冊だろう。
