社員130万人の巨大企業になっても、AWS、アレクサ、アマゾンゴーなど次々と「発明」を続けるアマゾン。その文化と組織を生んだ秘密を記した新刊 『ジェフ・ベゾスー発明と急成長をくりかえすアマゾンをいかに生み育てたのか』 について、決算資料から国内外の企業の実力やビジネスモデルを鋭く分析する「決算が読めるようになるノート」で人気のシバタナオキ氏がいち早く読み解いた。
アマゾンという会社に対して皆さんはどのようなイメージをお持ちだろうか。アマゾンは発明(Invention)をし続ける会社だ。既に確立した技術などを応用し、新しい活用法を見つける「イノベーション」を起こす会社は多々あるが、従来には存在しなかった新しいものをゼロから作りだす「発明(Invention)」を得意とするアマゾンは稀有(けう)な存在だ。
本書は、前作『ジェフ・ベゾス 果てなき野望』以降、アマゾンが発明をし続ける会社であることを証明するストーリーが数多く掲載された一冊だ。
本当の意味でゼロから事業を作り出す発明の様子を知りたい読者は第I部から、既存事業の周辺拡張の中での発明を学びたい読者は第II部から、アマゾンに降りかかる危機を知りたい読者は第III部から読むことで、発明会社であるアマゾンという会社を多角的に理解できるようになる。
世界最大級の企業に成長しても「発明」を止めないアマゾンという会社の仕組みを理解するには、本書以上のものは現時点では存在しないと断言できる一冊だ。
<評者> シバタナオキ
元・楽天株式会社執行役員、東京大学工学系研究科助教、スタンフォード大学客員研究員。東京大学工学系研究科博士課程修了(工学博士、技術経営学専攻)。スタートアップ(AppGrooves / SearchMan)を経営する傍ら「決算が読めるようになるノート」(https://irnote.com/)を連載中。経営者やビジネスパーソン、技術者などに向けて決算分析の独自ノウハウを伝授している。2017年7月に書籍『MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣』を発刊。