年間150〜300もの作品に触れ、率直な感想やおすすめを発信して、多くのフォロワーから信頼されている人気インフルエンサー3人におすすめの本を聞きました。

小説を中心に年間250冊読むれんげさん

れんげさん
れんげさん

れんげさんのホームページ

●1年間の読書量
約250冊

●いつ・どこで・何で読む?
朝、仕事前のコーヒータイムが読書タイム。「今は仕事で海外にいるので電子版で読みます」。

●好きなジャンル
ファンタジー、ミステリー、恋愛や青春など人との関わり合いを題材とした小説。

●読書に目覚めたきっかけ本
『凍りのくじら』 辻村深月 著/講談社文庫
「大学生のとき、この本と出合いました。視野が広がり、自分の生き方について考えさせられるという初体験をしたことがきっかけとなり本好きに」

●何度も読み返すマイバイブル
『家守綺譚』 梨木香歩 著/新潮文庫
「この本の世界観に触れると、日常のささやかな1コマに感動したり、感謝したり、うれしくなったりと感受性が高まる気がします」

●2022年のマイベスト本
『汝、星のごとく』 凪良ゆう 著/講談社
「手に入れたい自由、手放せない不自由。当たり前の常識や周りの人の普通に打ちのめされそうになったとき、この物語を思い出したいと強く思いました」

キャリアを積んだ人にこそ響くリアルな本音と弱音、そして初心

『ワーキングガール・ウォーズ』
『ワーキングガール・ウォーズ』
柴田よしき 著/新潮文庫

 37歳、未婚、大手企業の企画部部長。仕事に疲れ、ある日ふと思い立ってオーストラリア旅行へ。その旅先で、日本を離れオーストラリアで働く日本人女性と出会う。「違う環境で生きる2人の女性のリアルな本音と弱音。20代で読んでも分からなかったであろうジレンマに共感し、今の自分を省みる1冊」。


15職種。働く女性たちの人知れぬ闘いに励まされる

『絶対泣かない』
『絶対泣かない』
山本文緒 著/角川文庫

 看護師、営業、銀行員…さまざまな職種と年齢、自立と夢を追い求める女性たちの人知れぬ心の闘いを描いた短編集。「仕事をする女性たちの十人十色の悩みや葛藤。それでも前を向こうとする生き様がリアルに描かれていて、1編読み終わるごとに『私も頑張ろう』と前向きな気持ちが立ち上がります」。


3人の女性の異なる働き方・生き方が、「自分は?」を考えるきっかけに

『トリニティ』
『トリニティ』
窪 美澄 著/新潮文庫

 1960年代、出版社で出会った3人の女性たち。変わりゆく時代のなかで、彼女たちが選択し、それぞれに得たもの、失ったもの、そして未来につなぐもの。「『仕事、結婚、男、子供……すべて求めるのは罪ですか?』と本の帯にあるように、人生の選択に正解はないからこそ、『あなたは?』と問われる作品です」。

本業は部長職、年300冊読むやまてつさん

やまてつさん
やまてつさん

やまてつさんのInstagram

●1年間の読書量
約300冊

●いつ・どこで・何で読む?
仕事から帰宅後「30分」と決め集中して読む。休日はカフェなどの出先で。7割は紙の本。

●好きなジャンル
「部長職なのでマネジメントやコミュニケーションなど、組織づくりの本をよく読みます」

●読書に目覚めたきっかけ本
『最高の自分を引き出すイチロー思考』 児玉光雄 著/知的生きかた文庫
中学時代、読書嫌いのスポーツ少年が、読書の面白さに開眼した本。「イチロー選手のプロとしてのマインドが心に響きました。そのときの自分にとって必要な本でした」。

●何度も読み返すマイバイブル
『7つの習慣』 スティーブン・R・コヴィー 著/キングベアー出版
「約200年分の成功法則を分析・集約した本だけあって、その本質性の高さは、数多ある啓蒙書のなかでも群を抜いていると思います。時折思い返しては開く1冊です」

●2022年のマイベスト本
『史上最強の哲学入門』 飲茶 著/河出文庫
「高名な哲学者たちのさまざまな考え方を1冊で知ることができ、サービス精神旺盛な著者の筆致で、哲学という難しいテーマを分かりやすく理解できます」

仕事を断るのが苦手な人、働きすぎて疲れている人へ

『エッセンシャル思考』
『エッセンシャル思考』
グレッグ・マキューン 著、高橋璃子 訳/かんき出版

 Apple、Google、Facebook、Twitterのアドバイザーを務める著者による、これからの時代の「より少なく、しかしより良く」を追求する生き方論。「手一杯になると本書の内容を思い出します。仕事ができる人ほど頼られ、引き受けてしまいがち。そんな人にこそ読んで、肩の荷を下ろしてほしい」。


忙しさに追われ、失った色彩が鮮やかによみがえる

『カラフル』
『カラフル』
森 絵都 著/文春文庫

 「おめでとうございます。抽選に当たりました!」。死んだはずの“ぼく”の魂が危篤状態の少年の体にホームステイして、もう一度、下界で修行を積むことに。「忙しさに追われ、周囲の世界の色彩を失っているときに読みたい青春小説です。表現にまわりくどさがないので、普段、小説を読まない方も読みやすいと思います」。


誰からも教わらなかった、恋愛という課題について

『愛とためらいの哲学』
『愛とためらいの哲学』
岸見一郎 著/PHP新書

 アドラー心理学研究の第一人者であり、『嫌われる勇気』で有名な著者による恋愛論。アドラーやフロムなど、多くの賢人たちの知恵を手がかりに、幸福な愛の実現方法を解く。「一見、恋愛に関する本のようですが、すべての人間関係は愛で成り立っています。あらゆる人間関係に役立つ本としておすすめします」。

自己啓発書を含め年300冊読むKOZUEさん

KOZUEさん
KOZUEさん

KOZUEさんのInstagram

●1年間の読書量
約300冊

●いつ・どこで・何で読む?
平日は出勤前、休日はカフェで。ホテルに“読書ステイ”することも。すべて紙の書籍で読む。

●好きなジャンル
実用書、自己啓発、ビジネス書。「他にも韓国エッセイは言葉が温かく、安心して読めます」。

●読書に目覚めた きっかけ本
『センス入門』 松浦弥太郎 著/筑摩書房
高校3年で部活を引退し、心にぽっかり穴が開いたときに出合った本。「読書は小学生の頃の課題図書ぶり。未来を明るく照らすメッセージが詰まっていて感動しました」。

●何度も読み返す マイバイブル
『立ち直る力』 辻 仁成 著/光文社
「大切な人に語りかけるようにつづられたメッセージ集。「開けば、必ず安心できるメッセージに触れられ、心が温まります。私の人生に欠かせない常備薬です」。

●2022年の マイベスト本
『限りある時間の使い方』 オリバー・バークマン 著/かんき出版
「読み進めるほどに時間の見方、感じ方が変わっていく読書体験そのものに『時間とは何か』を教わり、時間に対する焦りや不安が消えました」

ひとりじゃない。自分の内と外に頼れる味方を

『ほんとうの味方のつくりかた』
『ほんとうの味方のつくりかた』
松浦弥太郎 著/ちくま文庫

 人はひとりでは生きられないから、人生に味方を。「自分の内側(=長所)と外側(=人間関係)に心強い味方を見つけ、育てる方法が丁寧に書かれています。表紙を表にして部屋に飾れば、本書の内容と相まって、見るたびに癒やされます。ひとりで頑張りすぎてしまう人にとって頼れる1冊であり、私自身、何度も読み返している本です」。


他人に奪われる時間を手放し、自分の時間を生きる方法

『我慢して生きるほど人生は長くない』
『我慢して生きるほど人生は長くない』
鈴木裕介 著/アスコム

 心療内科医が教える、もっとラクに生きるための28のコツ。「著者自身も医者になる過程で評価にさらされ、競争に身を投じ、その生きづらさに悩んだ当事者。心穏やかに生きるヒントを説く言葉たちには、実体験からくる切実な思いが込もっていて、読む人の心にさまざまな角度から寄り添ってくれます


ウェブテストで「強み」を見える化。本で「強み」の生かし方を徹底強化

『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版』
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版』
トム・ラス 著、古屋博子 訳/日本経済新聞出版

 本書には才能診断ツール「ストレングス・ファインダー2.0」のアクセスコードが記載されている。「ウェブ上で177の質問に回答すると(所要時間は約35分)、自分の強み・長所・特性・個性に関する診断レポートが受け取れます。さらに本書でその強みの生かし方をより深く学び、長所を一生の武器に」。

※今回紹介している本には、新刊では手に入らないものもあります

取材・文/宇佐見明日香

日経WOMAN 2023年1月号より転載]