自分はこのままでいいのかと悩むことは、我慢するのが当たり前だった人生から、自分で開拓していく人生に転換するための第一歩です。勝間和代さんの書籍『 40歳からの「仕事の壁」を越える勝間式思考 』から、2011年から始めた勝間塾で実践してきた「5年後、なりたい自分になるために必要な考え方」を伝えるとともに、40歳から直面する具体的な働き方、生き方の悩みをロジカルに解決するアドバイスとおすすめの一冊をお届けします。
製造業・Yさん(45歳)
組み合わせれば市場に通用する強みになる
自分の強みが分からない……なるほど。勝間さん、強みって誰にでもあるのでしょうか?
勝間 強みがない人などいません。たとえ他人と比べて秀でた強みはなくても、自分の中で相対的に強いことは必ずあります。それをいくつか組み合わせれば、「他人に負けない強み=市場で通用する強み」になり得ます。
先日一緒にすき焼きを食べた友達の中に、投資ですごくもうけている人がいたんですね。すごくもうけているけど、損もしている。それでも続けられるのは、株価チャートを読む力や勝負勘だけではなく、リスクテイクができるから。「損をしながら徐々にもうけを増やしていけばいい」と考えられる忍耐強さがあるからです。せっかちな私には絶対できません。損してもいいけど3万円ぐらいまでって感じです(笑)。我慢強くリスクを取れる友達は、自分の中の相対的な強みを組み合わせて、他者に負けない強みにした好例だと思います。
ただ問題は、強みは自分では気付きにくい点です。本人にとっては、当たり前にできることだから気付きにくい。まるで息を吸って吐くようにできて、一生懸命やらなくても成果が上がることが強みです。人から褒められたり評価されたりすることが繰り返されないと、なかなか気付けません。
気付きにくいことに気付くには、どうすれば?
どの部署で成果が上がったか、棚卸しをしてみる
勝間 まず、キャリアの棚卸しをしてみましょう。いろんな部署を転々としてきた人の場合、A部署ではなかなか成果が上がらなかったけど、B部署では割と簡単に成果が上がったな、という違いがあるはずです。その場合、B部署でしていたことが強みを生かせる仕事だったということ。そうやって振り返ることで、自分の何を活用してうまくいったかが見えてきます。
やってみます! 棚卸しの他にも、何か良い方法はありますか?
勝間 強み探しツールとして、米ギャラップ社が開発した「ストレングス・ファインダー」という才能診断ツールが有名ですよね。ギャラップ社の公式サイトでアクセスコードを購入するとウェブ診断が受けられます。人の才能を学習欲や適応性、活発性、公平性など、34個の資質に分類して、どれが「上位の資質=強み」かを分析してくれる。
自己診断なので客観性にやや欠けますが、「自分はこういうことが好きなんだ」ということが分かります。好きなことは、何度やっても苦にならないし、往々にして強みになっています。
(ジム・クリフトン、ギャラップ著、古屋博子訳、日本経済新聞出版)
勝間 他にも米ハーバード大学教授のハワード・ガードナー博士が提唱した「マルチプルインテリジェンス(多重知能理論)」のテストでは、言語的知能や空間的知能など8つ(※9分類の診断もある)に分類された知能に関する質問から、得意分野と不得意分野が分かります。マルチプルインテリジェンスのテストは、ネット上で診断可能です。
強みが分かったからといって、強みを生かせる仕事に就けるとは限りませんが、今の仕事でも力を発揮しやすいほうに寄せていけます。
右利きの人は右手を使ったほうがうまくいく
自分の弱みを頑張って克服しよう、とは考えなくていいんでしょうか?
勝間 ストレングス・ファインダーの認定コーチが口をそろえて言うのは、「自分の強みに気付いて伸ばすのと同時に、弱みは捨てよ」ということ。生きていれば弱いところや苦手な分野に直面するものですが、弱みは強みを使ってカバーする。これは、右利きの人ができるだけ左手を使わないで、右手を使ったほうがラクなのと同じことです。
弱みを克服しようというのは日本的な考え方のようですが、グローバルでは強みをより重視します。だから、強みを知るためのいろんなテストが開発された、と。ちなみに私のストレングス・ファインダーの結果は、圧倒的に『学習欲』と『着想』が強かったですね。新しいことを考えるのが得意。私にとっては当たり前のことなので、言われてみればそうかなという感じでした。
多様性の時代 どんなニーズがあるかは分からない
周りの人に「私の強みってなんだと思う?」と聞いてみるのはどうでしょう?
勝間 それもアリですね。ただ仲のいい人に聞くと、自分と似たような価値観の人たちの判断になるので、あえてあまり親しくない人に聞きましょう。SNSに過去の成功事例や特技をアップして、広く反応を見るのもお勧めです。
自分の強みは世の中の役に立ちそうにないと考えるのは早計です。多様性の時代ですから、いつ、どこに、どんなニーズがあるかは誰も想像し得ない。最近、ある人事担当者に聞いた話で、心底なるほど! と思ったのは、人事のトレンドとして、「多少能力が劣ったとしても、その組織にとって新たな多様性をもたらす人材を雇え」という話です。そうすることで組織が活性化して、組織全体にとって有益な結果になる。
SNSを使って強みアピールの練習をする
多様性ですか! 意外なところにハマる可能性があるってことですね。あ、でもSNSはちょっと苦手かも……。
勝間 苦手だと思っても忘備録として蓄積していくと、日々の思考の整理ができて目指すべき方向がクリアになっていきます。あとで振り返るときの材料にもなるので、ぜひ積極的に活用してみてください。誹謗(ひぼう)中傷する人が出てきたら、ブロックすれば済む話です。圧倒的多数はまともな人で、その中から仕事のチャンスにつながることも十分あります。
InstagramでもFacebookでもnoteでも何でもいいから、自分の強みを発信していくうちにいろいろな情報を集められるし、それを生かす場やチャンスをつかみやすくなりますよ。強みをアピールする練習ができるのもメリット。自分の強みを生かして仕事をしたいと考えているなら、アピールする練習は必須です。
いっそのこと、勝間和代がSNSをやらないとヤバイと言っていたからやる、と私のせいにしてくださって構いません。人は自発的には動きにくい生き物ですが、人に言われたらやるし、頑張りが利きますからね。何を隠そう、私が4年半前にYouTubeを始めたのも、たまたまYouTube日本代表の仲條亮子さんにお会いして直接、勧められたからでした。さすがに代表に言われてしないわけにはいきません(苦笑)。
そのおかげで、私の著書は読んだことないし、経済評論家としても知らないけど、ユーチューバーとしては認識している、という若い人が増えてきた。人に言われたからやるって、案外大事なことなんです。
自分の強みを伸ばし、弱みは捨てる
勝間和代著、日経BP、1870円(税込み)
編集協力/茅島奈緒深、磯部麻衣 編集/竹下順子、大屋奈緒子(日経クロスウーマン編集部)

