2025年10月27日、日経平均株価はついに5万円を突破しました。2024年3月に初めて4万円台をつけてからわずか1年半あまりでの大台突破で、特に今年4月以降は上昇局面が続いています。株式投資への関心が高まる今、この波にしっかり乗るために、そしてリスクを把握しておくためにも読んでおきたい「日経の本」を、書籍部門で部長を務める赤木裕介が紹介します。(この記事は、2024年8月7日に公開した「“株価乱調”の今こそ読みたい投資の名著 『日経の本』部長厳選9冊」を改題、加筆、修正を行ったものです)

「株価はどうやって動くのか」を理解する

 最初にご紹介するのが、今年創刊40周年を迎えるマネー誌「日経マネー」副編集長による『 成長株・バリュー株投資のきほん(日経文庫) 』です。「株価が上がるのは、企業の業績見通しが明るいから」というのは、実は必ずしもあてはまりません。なぜ株価が上がるのか、お宝銘柄や「10倍株」になり得る企業を発掘するにはどうすればいいのか、基本の基本から教えてくれる入門書です。

『成長株・バリュー株投資のきほん (日経文庫)』(臼田正彦著)
『成長株・バリュー株投資のきほん (日経文庫)』(臼田正彦著)

 お金のことならこの人に聞こう!というわけで、次にお薦めしたいのが、メディアやSNSで大人気の後藤達也さんのベストセラー『 転換の時代を生き抜く投資の教科書 』です。そもそも株価がどのように動くのか、なぜ米国の経済指標が日本の相場に影響を与えるのか、まさに今知りたい疑問に答えてくれる1冊です。

『転換の時代を生き抜く投資の教科書』(後藤達也著)
『転換の時代を生き抜く投資の教科書』(後藤達也著)

相場が上がっても下がっても、道は必ずある

 「株式投資にとって悲観は友、陶酔は敵だ」という名言を残している投資の賢人、ウォーレン・バフェット。その銘柄選びの極意を解説したのが『 億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術 』です。企業が持つ根源的な価値と比較して割安な銘柄を探す、というバフェット流の本質に触れることができます。株価の上昇局面に浮かれず、調整局面でも過度に悲観せず、銘柄の価値を正しく見極めるための必読書です。

『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』(メアリー・バフェット、デビッド・クラーク著、井手正介、中熊靖和訳)
『億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術』(メアリー・バフェット、デビッド・クラーク著、井手正介、中熊靖和訳)

 そんなバフェットが大絶賛するのがハワード・マークス著『 投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識 』です。リスクを理解し、落とし穴を避け、損失を最小限に抑えるにはどうすればいいのか、絶好の投資機会を見つける逆張りの考え方とは、など、好況でも不況でも高い運用成績を残してきた著者の投資哲学が余すところなく紹介されています。

『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』(ハワード・マークス著、貫井佳子訳)
『投資で一番大切な20の教え 賢い投資家になるための隠れた常識』(ハワード・マークス著、貫井佳子訳)

 バークシャー・ハザウェイ元副会長として長年バフェットの相棒を務め、伝説の投資家と言われるチャールズ・T・マンガー。その人生と投資における哲学をまとめたのが『 Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言 』です。経済・金融に限らず、あらゆるジャンルに高い見識を持つマンガーの思考に触れることは、複雑化する世界のとらえ方、そして投資に対する洞察をより深いものにしてくれます。

『Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言』(チャールズ・T・マンガー著、ピーター・D・カウフマン編集、ジョン・コリソン=はしがき、ウォーレン・E・バフェット=はしがき、貫井佳子訳)
『Poor Charlie’s Almanack チャールズ・T・マンガーの金言』(チャールズ・T・マンガー著、ピーター・D・カウフマン編集、ジョン・コリソン=はしがき、ウォーレン・E・バフェット=はしがき、貫井佳子訳)

投資の名著に学ぼう

 変動するマーケットに一喜一憂することなく、じっくりと、長期的に投資計画を見直すべき──こんな投資哲学を教えてくれるのが、チャールズ・エリスの『 敗者のゲーム[原著第8版] 』とバートン・マルキールの『 ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理 』です。いずれも20年以上売れ続けている投資の超定番書です。株式投資を始めてみようと思うけれど大丈夫なんだろうか、といった不安をお持ちの方、この2冊で投資の基本原則に触れてみてください。

『敗者のゲーム[原著第8版]』(チャールズ・エリス著、鹿毛雄二、鹿毛房子訳)
『敗者のゲーム[原著第8版]』(チャールズ・エリス著、鹿毛雄二、鹿毛房子訳)
『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理』(バートン・マルキール著、井手正介訳)
『ウォール街のランダム・ウォーカー<原著第13版> 株式投資の不滅の真理』(バートン・マルキール著、井手正介訳)

 エリスとマルキールという2人のカリスマによる共著『 投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント 』は、エッセンスだけを5つのシンプルなルールとしてまとめています。手っ取り早く結論を知りたい、という方には、こちらがお薦めです。

『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』(バートン・マルキール、チャールズ・エリス著、鹿毛雄二、鹿毛房子訳)
『投資の大原則[第2版] 人生を豊かにするためのヒント』(バートン・マルキール、チャールズ・エリス著、鹿毛雄二、鹿毛房子訳)

 「史上最高の投資書」と高い評価を得ているロングセラーの最新版がジェレミー・シーゲル著『 株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド 』です。30年以上にわたって読み継がれている名著で、ITバブル、リーマン・ショックほか過去のさまざまな経済環境と相場の動きを踏まえた上で、押さえておくべき投資理論を体系的にまとめています。かなりの大著ですが、投資を始めるなら読んでおきたい必読書と言えるでしょう。

『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』(ジェレミー・シーゲル、ジェレミー・シュワルツ著、林康史、藤野隆太監訳、石川由美子、鍋井理沙、宮川修子訳)
『株式投資 第6版 長期投資で成功するための完全ガイド』(ジェレミー・シーゲル、ジェレミー・シュワルツ著、林康史、藤野隆太監訳、石川由美子、鍋井理沙、宮川修子訳)

 ここ半年にわたる株高を牽引(けんいん)してきたのがAI(人工知能)関連銘柄です。この株高はAIに対する期待の表れですが、すでにかつてのITバブルのように高騰しすぎているとの指摘もあります。『 AIバブルの不都合な真実 』では、「期待された性能とのギャップ」「過剰な資金流入」「クリエイターとの摩擦」などの理由から現在の期待値は高すぎる、と指摘し、ブーム崩壊へのシナリオを描いています。今の相場環境を客観的に理解する一助にもなるでしょう。

『AIバブルの不都合な真実』(クロサカタツヤ著)
『AIバブルの不都合な真実』(クロサカタツヤ著)

 本記事で取り上げた『転換の時代を生き抜く投資の教科書』でも紹介されているジョン・テンプルトンの相場格言に「強気相場は悲観のなかで生まれ、懐疑のなかで成長し、楽観のなかで成熟し、陶酔のなかで消えていく」というものがあります。目先の動きにとらわれず、一歩引いた視点を養うためにも、ここでご紹介した投資本を参考にしていただければと思います。

(写真:yoshitaka/stock.adobe.com)
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