2021年末まで新体操日本代表(フェアリージャパンPOLA)を17年間指導していた山崎浩子さんの新刊『筋トレより軸トレ!運動のトリセツ』が発売されました。山崎さんが「もっと早く知っていれば……」と悔やみ、「選手のみなさん、申し訳ございません!」と心の中で謝罪したという「4スタンス理論」。からだの軸に着目するこの理論は、スポーツをする人に役立つだけでなく、立つ、座る、歩くといった日常の動作にも大きく関わるといいます。
「(上)新体操・山崎浩子 実は運動嫌い 選手の皆さんにおわび」でご紹介した「4スタンス理論」は、「軸」に着眼点を置いています。「からだを楽に動かせるようにするために必要なのは、軸。筋肉を鍛えることよりも、まずは軸に乗って動くことが重要です」と山崎浩子さんは言います。
からだの軸をつくる5ポイントとは?
では、いったい軸とは何なのでしょうか。
「4スタンス理論には、5つの重要なポイントがあります。首の付け根、みぞおち、股関節、膝、土踏まず(足底)。このからだの5ポイントが、軸を形成する要素=軸の正体です」
そしてこの「軸の乗り方」には、血液型のように4つのタイプがあります。
書籍 『筋トレより軸トレ!運動のトリセツ』 でも、この4つのタイプのからだの動かし方について、山崎さんは具体的に解説しています。
正しいからだの動かし方 4タイプ
「下のイラストのように、重心を置く場所によって、A1、A2、B1、B2の4タイプにわかれます。A1、A2、B1、B2では、立ち方、歩き方、座り方などにも違いが出ます。つまり『正しいからだの動かし方』の正解は1つではなく、4つあるのです」
軸に乗れば、身のこなしが軽やかになる
「4スタンス理論」を実践するメリットは3つあります。
メリット1/疲れづらい(運動が楽になる)
例えば、片足を上げた時。不安定な状態だったら、からだを安定させるために多くのエネルギーを使うため、パワーが出しづらくなります。一方、4スタンス理論を実践して軸にしっかり乗れていれば、からだが安定します。パワーが出しやすくなり、軽い力で運動をすることができるようになる。つまり、力を効率的に使うことができるようになるのです。
メリット2/故障しづらい
4スタンス理論の実践は、「歯車をはめる作業」のようなものです。最初に歯車が合わなければ、永遠に不具合が続きます。からだを動かすときも、最初に歯車がズレると無理な動きになり、からだの故障につながっていきます。タイプ別の初動(動き出し)やタイプに合ったからだの動かし方を知れば、歯車がカチッと合い、故障もしづらくなるはずです。
メリット3/若く見える
4スタンス理論を実践するメリットは、日常生活にも見いだせます。立つ、歩く、座る……どんな時でも軸にさえ乗れていれば、姿勢がよくなり、身のこなしが軽やかになる。周りから若々しく見られるはずです。ただ「自分のタイプの軸を意識して動く」だけ。たとえあなたが運動をしていなかったとしても、大きな変化を感じることができるでしょう。
さらに、もしあなたが指導者なら、自分と指導する選手のタイプを知ることで「なんでこの選手はできないんだろう」「選手に理解してもらえない」という思いが払拭され、指導のミスマッチが解消できるはず。4つのタイプに合った動きを理解すれば、選手に備わった能力を最大限に引き出せるのです。
4スタンス理論を知り、「からだの軸を意識する」だけで、これらのメリットを享受でき、誰もが日常生活を楽に過ごせるようになるはずです。タイプチェックや4スタンス理論の詳細は、ぜひ本を手に取って確認してみてください。
■軸に重点を置いたメソッド「4スタンス理論」とは?
■無駄な筋トレはいらない。重要なのは軸に乗る“軸トレ”
■正しいからだの動かし方は血液型のように4タイプある
■部活指導者、スポーツ指導者必読。「選手と指導者のミスマッチ」という不幸をなくす運動理論
山崎浩子著、日経BP、1870円(税込み)
構成/日経xwoman編集部 写真/洞澤佐智子
[日経xwoman 2022年8月1日付の記事を転載]