2025年はトランプ米大統領の第2期政権がスタートし、関税問題に世界が振り回されました。日本では初の女性首相が誕生。日経平均株価が5万円を超え市場が活況を呈する一方で、円安とインフレが深刻化するなど、世界と日本の情勢が大きな曲がり角を迎えていることを実感させられる1年でした。2026年、そして次の10年はどうなるのか。これからの世の中を先取りするために読んでおきたい「日経の本」を、書籍部門の部長を務める赤木裕介が紹介します。
経済記者、専門誌編集長の視点を身につける
日本経済新聞のベテラン記者たちが、2026年を読み解くための論点を解説するのが『 これからの日本の論点2026 日経大予測 』です。政治、経済、産業と企業の動向、国際情勢など22の論点について専門記者ならではの見立てを紹介します。
今年の巻頭では「世界は同時戦争を防げるか」「AIエージェントが雇用を直撃」「『令和の米騒動』常態化のリスク」の3本を取り上げています。このほかにも、「日経平均株価はこれからどうなる?」「『賃上げ格差』の時代がやってくる」「2026年秋の米中間選挙でトランプ政権はどうなる?」「ウクライナ情勢の行方は?」といった、ビジネスに影響を与える論点が網羅されています。日本と世界の見方が変わる一冊です。
日経BPの専門誌編集長とラボ所長50人が、期待の技術を厳選し、解説するのが『 日経テクノロジー展望2026 未来をつくる100の技術 』です。
毎年公表している5年後のテクノロジー期待度ランキングの上位には、今年は「光量子コンピューター」「全固体電池」「核融合」などが入っています。また注目のAI(人工知能)に関わるテクノロジーとして、AIエージェント、AGI(汎用人工知能)、ディープフェイク対策などが紹介されています。
これらの先端技術は、さまざまな業界や仕事を変える可能性があります。これからのビジネスを考えるためにも読んでおきたい情報が満載です。
■もっと知りたい>> 【日経トレンディ編集長が聞く ここが知りたい「100の技術」】
トップコンサル/エコノミストはここを見ている
ボストン コンサルティング グループの現役コンサルタントたちの知見を結集し、実践につながるインサイトを提供するのが『 BCGが読む経営の論点2026 』です。経営者やビジネスリーダーが押さえておくべき10の論点を解説します。
ここでもやはり「AI」は大きく注目されており、実際にBCGがAIでどのように業務を進化させたのかについて書かれた項目は、非常にリアルで参考になります。他にもサプライチェーン変革、データセンターと電力不足対策、同意なき買収リスクへの対応、食料安全保障とビジネスチャンス、金利上昇時に必要な財務面の対応など、話題のテーマをどのようにとらえればいいのかを教えてくれます。
■もっと知りたい>> 『BCGが読む経営の論点2026』関連記事
同じくグローバルに展開する戦略コンサルティングファームのA.T.カーニーのコンサルタントたちが、産業ごとに重要な経営課題を解説するのが『 A.T. カーニー 業界別 経営アジェンダ 2026 』です。
自動車、防衛、生成AI、メディア、エンタメ、宇宙、不動産などの業界についてデータを用いながら分析。それぞれの産業で日本企業がとるべき戦略や経営課題を提示します。
今年度版では、地政学やインドの動向、サプライチェーン経営など、各業界を横断するグローバルなテーマについて拡充。いずれのテーマについても、先端動向を分析しながら、経営層が考えておくべき論点を明らかにしていきます。競合他社に先んじるために欠かせない一冊です。
■もっと知りたい>> 『A.T. カーニー 業界別 経営アジェンダ 2026』関連記事
大和総研の選りすぐりのエコノミストたち15名が経済の核心をズバリ解説するのが、『 この一冊でわかる世界経済の新常識2026 』です。
「景気後退局面に入った米国、世界へのインパクトは?」「不動産不況にあえぐ中国、成長は維持できるか?」「『Gゼロ』世界でグローバルサウスはどこまで伸びるか」「欧州財政拡大への期待と不安」など、国境を越えて複雑に絡み合う問題を解きほぐしてくれます。
さらに、グローバル経済が歴史的な転換点を迎える中、2040年度に向けた日本経済の成長戦略についても描いています。長期的な視野を養うためにも押さえておきたい内容です。
株式市場と資産運用のこれからを知る
取材歴40年のベテラン証券記者が、等身大の金融・資本市場を解き明かすのが『 株式投資2026 不確実な時代に最高値の日経平均を緊急点検(日経プレミアシリーズ) 』です。
日経平均が5万円を超え、ROE10%が常態化、そして「サナエノミクス」への期待によって株高を見込む投資家が増えています。2026年はシニア層をターゲットにした「プラチナNISA」も創設予定。「世界のプロ投資家にとって、日本株はまだまだ割安」という意見もあり、株式市場の活況が予測されます。その一方で、世界経済の景気減速の気配も濃厚になっています。等身大の金融・資本市場を理解し、これからの資産形成を考えるために、本書で相場の知識をアップデートしてください。
メディアで人気のマネックス証券のストラテジストが、これからの時代の資産運用の考え方を解説するのが『 資産運用の論点2026 』です。
生成AI、オルカン、金(ゴールド)、地政学リスクといった、資産運用に大きな影響を与える時事テーマを解説しています。おもしろいのは、「未来は予測できないのだから、どんな市場環境になっても耐えられる、強い投資方針をつくろう」という著者の主張です。自分の資産運用の目的を再確認したうえで、時事テーマで相場環境を理解し、ポートフォリオを見直していく。プロならではの資産運用の視点をこの一冊で学ぶことができます。
これからのテクノロジーと産業動向を理解する
さて、ここまで2026年に注目すべき論点を解説する本を紹介してきましたが、ここからはもう少し先まで見通すための書籍を紹介していきましょう。
AIの松尾豊氏、構造生物学の濡木理氏、宇宙論の野村泰紀氏ほか、第一線で活躍する東大教授11名が、最先端の研究にもとづいて未来を語りつくすのが『 東大教授の超未来予測 』です。
「タイムマシンはもう実現している」「パラレルワールドは存在する」「不老長寿はまもなく現実のものとなる」「テレポーテーションはすでに可能」など、ノーベル賞級の研究にもとづき、きたるべき世界を語りつくします。科学読み物としても抜群に面白い本書ですが、これからのビジネスチャンスをとらえるためにも読んでおきたい一冊です。
■もっと知りたい>> 『東大教授の超未来予測』関連記事
ここまで紹介してきた多くの予測本で「AIエージェントが本格化する」「生成AIの次に注目すべきはAIエージェントだ」と記されています。そもそも、AIエージェントとは何か。どういう世界がやってくるのか。テクノロジーに疎い一般読者にもわかりやすく解説したのが『 AIエージェント(日経文庫) 』です。
遠くない将来に経理や営業などをサポートする「専門職AI」がオフィスに本格導入され、あなた専用の執事として活躍してくれるようになる。さらには、CEOエージェントが活躍する「AI株式会社」が現実のものとなる、といった驚きの未来を教えてくれます。そうした世の中で、われわれはどのようにAIをフル活用してキャリアを描けばいいのか。すべてのビジネスパーソンに求められる内容です。
自動車業界で「CASE革命」が話題になってから10年、世界の自動車の勢力図は大きく様変わりしました。EVシフトは、当初の想定よりは遅れているものの着実に進行し、強力なエコシステムを築く中国EVに席巻されつつあります。日産やホンダなどは、すでに中国BYDの後塵(こうじん)を拝している状況です。人気の自動車アナリストが、グローバルな勢力争いの行方を読み解くのが『 トヨタ対中国EV 熾烈な競争が最強メーカーを生む 』です。
EVはこれまで「ガソリン車と異なる電気自動車という車体をどうつくるか」に主眼が置かれてきました。しかし、ゲームのルールは変わり、AIなどの「頭脳」を巡る争いにシフトしてきました。BYDを追撃する新興中国自動車メーカー、そして盟主トヨタをはじめとする日本メーカーの反転攻勢の戦略などを交えながら、自動車業界の合従連衡のようすを立体的に描き出します。
トランプ2.0に揺れる世界の先行きは?
ブッシュ(父)政権で大統領経済諮問委員会(CEA)シニア・エコノミストとして日米間の貿易交渉を担当したリチャード・ボールドウィン氏の最新作が『 トランプの貿易戦争はなぜ失敗するのか それでも保護主義は常態化する 』です。
トランプ政権誕生から1年、その関税政策は多くの国に衝撃を与えました。「自分たちの富が奪われている」という米国民に潜在的に鬱積していた不満をすくい上げ、アメリカ第一主義に走るトランプの政策ははたしてうまくいくのか。著者は、関税による効果は限定的で、貿易赤字を解消するには至らない、と予測します。とはいえ、世界的な保護主義への流れは止まりません。日本の多くの企業がグローバル戦略をとる現在、必読の一冊といえるでしょう。
同じく、アメリカの経済戦略について解説した書籍をもう一冊。米国防総省で統合参謀本部議長のアドバイザー、米財務省ではテロおよび金融情報担当次官補の特別補佐官を務めた経験を持つエドワード・フィッシュマンが書いた『 チョークポイント アメリカが仕掛ける世界経済戦争の内幕 』です。
チョークポイントとは「相手の経済活動を締め上げ、息の根を止める急所」のこと。アメリカであれば巨大な消費市場、インターネットや銀行間決済システム、半導体技術など世界経済の要衝を押さえており、「テロ支援国家への資金供給を断つことで核開発を阻止する」といった使われ方をしてきました。一方、他の国々も自国の強みを生かして反撃、アメリカはさらに対抗措置を強める、とその争いは激しさを増しています。いま世界で起きている「チョークポイント」を巡る争いの内幕を描いた力作です。












