リーダーシップにも様々なスタイルがあり、直面する状況とスタイルが一致するほど大きな成果を上げます。『
30の名著とたどる リーダー論の3000年史
』(日経ビジネス人文庫)の著者で、ビジネス戦略コンサルタントの鈴木博毅さんが、本書にも登場するリーダーシップの名著を11冊紹介。リーダーが直面する課題を解決し、成果を高めるために役立つ本を、マネジメント層向けか若手向けか、かつ読みやすいか難解かで整理します。
前編「
仕事への姿勢を整えてくれる『リーダーシップ』の名著12冊
」
■マネジメント層向けの名著
『 アムンセンとスコット 』(本多勝一著/朝日文庫)
人類初の南極点への到達は、1911年にアムンセンによって成し遂げられました。本書がなぜ実務にきくかと言えば、2人の人物のリーダーシップの差は、そのまま困難を乗り越えられるリーダーか否かの境界線となっているからです。極限の中ほど、リーダーの力量が成否を分けることには異論がないと思います。アムンセンは目標達成への準備に際立った手腕を発揮しており、それは現代のリーダーにも十二分に通じるものになっています。
『 プロフェッショナルマネジャー 』(ハロルド・ジェニーン、アルヴィン・モスコー著/田中融二訳/プレジデント社)
本書は、ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長が「私の最高の教科書」と呼んだことでも有名ですが、目標達成力をさらに伸ばしたいリーダーに必読の1冊となっています。著者のジェニーンは、通信事業会社ITTで18年間CEO(最高経営責任者)を務め、その期間に同社の売上高を40倍近くまで伸ばした伝説の経営者です。ゴールの設定から始めて、逆算して計画を立てるなど、リーダーの実務にそのまま生かせる提言が満載の名著です。
『 How Google Works 私たちの働き方とマネジメント 』(エリック・シュミット他著/土方奈美訳/日経ビジネス人文庫)
成長は、現代のあらゆる企業のリーダーに求められる成果だと思います。反対に言えば、停滞していたり、後退していたりする企業組織がいかに多いかも物語っています。停滞は、リーダーの思考の枠組みが古いことが理由である、と明確に教えてくれるのが本書です。検索エンジンを提供するグーグルの急成長期を率いた人物が、同社の成功の秘密を開示しています。
本書の提言は、2023年の現在でも十分通用する上に、企業組織内で実践しやすいポイントが複数あるため、即効性を求めるリーダーにも向いています。
『 支配の社会学 』(マックス・ウェーバー著/世良晃志郎訳/創文社[現在は講談社より「創文社オンデマンド叢書」として発売])
支配と統治の規模が拡大すれば、大量の問題に効率的な処理、すなわち官僚制度が求められます。管理(支配)が巨大なサイズに膨れ上がると、特定の機能を大量に果たすため、その機能に特化して、同一基準で実務処理に優れた組織を作り出す必要があり、それが官僚制組織の必要性に結び付いていくのです。これは、国家や行政組織に限らず、大企業にも当てはまります。
機能や役割に特化した組織は、その役割が今日も明日もあることを前提に設計され、運営されているがゆえに、その役割が明日なくなるという事態への対処が苦手です。ウェーバーは、官僚制組織がひとたび完成されると、排除を許さない極めて強固な存在になってしまうと述べています。
『ウィニング 勝利の経営』(ジャック・ウェルチ、スージー・ウェルチ著/斎藤聖美訳/日本経済新聞出版)

ジャック・ウェルチは、巨大組織ゼネラル・エレクトリック(GE)を変革して、同社を再び世界的な高収益企業に復活させた経営者です。彼は、あらゆる分野にビジネスを拡大していたGEに、事業の選別という視点を持ち込んで、再び活気を取り戻し、成長路線に乗せました。具体的に、経営者として巨大組織を変革させた事例を学べる1冊です。
『 チェンジ・リーダーの条件 』(P・F・ドラッカー著/上田惇生編訳/ダイヤモンド社)
経営哲学者として著名なドラッカーの書で、昨日の現実に最適化された巨大組織が、いかに明日のビジネスを創り上げる組織に変わるべきかを説いています。ここで、巨大組織を変えるのが「リーダー」という言葉で表現される人々であることは、再認識されてもよいと思います。
■若手向けの名著
『 最高のリーダー、マネジャーがいつも考えているたったひとつのこと 』(マーカス・バッキンガム著/加賀山卓朗訳/日本経済新聞出版)
膨大な調査を基に優れたリーダーと優れたマネジャーを区分し、それぞれの正しい役割を考察した1冊です。リーダーもマネジャーも、組織の中では実行力、完遂力が共に必要な主軸となる役割で、それぞれの役割がどう違うのかを正しく知ることは、組織内での実行力を高める効果があります。
『 君主論 新版 』(マキアヴェリ著/池田廉訳/中公文庫)
リーダーのための指南書として世に出て以降、500年間読み継がれている古典です。現在も世界中のリーダー、支配的な立場にある人たちが愛読している理由はいったい何でしょうか。
その1つに、どんな良い計画や理想を持っていても、その人に権力がなければ実現はほぼ不可能であることが挙げられます。地位や権力を持っているか否かは、「組織や集団の中でその人が何をできるか」を大きく変えてしまうのです。したがって、理想を持つリーダーほど、地位を失わない方法を学ぶ必要があります。もう1つは、きれいごとだけではない、現実のリーダーの処世術が描かれていることです。
『 ビジョナリー・カンパニー 』(ジム・コリンズ、ジェリー・ポラス著/山岡洋一訳/日経BP)
繁栄を続けている企業とそうでない企業を比較・研究したところ、従来のビジネス・スクールで提唱されていたこととはまったく違う要素が浮かび上がり、世界中のビジネスパーソンを驚かせることになりました。本書は永続している企業とそのリーダーは何が違うのか、そのヒントが学べる1冊です。
『 知識創造企業 』(野中郁次郎、竹内弘高著/梅本勝博訳/東洋経済新報社)
どんなに優れた組織にも、新しい成功法(知識)が必要なときが必ず訪れます。当たり前ですが、新たな知識(成功法)を創り出す集団が勝ち残るためです。古い知識から離れ、新たな知識を創り出すために、リーダーはどんなことをすべきなのでしょうか。日本が誇る世界的な経営学者による「新たな成功を生み出す方法」について示唆が得られる名著です。
『 [新訳]科学的管理法 』(フレデリック・W・テイラー著/有賀裕子訳/ダイヤモンド社)
約100年前に工場労働者の行動分析を行って生産性革命を起こしたフレデリック・テイラー。作業構想を事前に決め、生産性を高めるという「科学的管理法を経営に持ち込んだ」意義と、課業管理の重要性が学べる1冊です。
『 30の名著とたどる リーダー論の3000年史 』
孫子、プラトンからマキャベリ、ドラッカーまで、名著と共にリーダーシップ論の変遷をたどる。古今東西の偉人の著作を歴史順に読み解きながら、どのように発展してきたのか探る「知的冒険の書」。
鈴木博毅著/日本経済新聞出版/1100円(税込み)










![『[新訳]科学的管理法』 『[新訳]科学的管理法』](https://cdn-bookplus.nikkei.com/atcl/column/041500053/111600238/11.jpg?__scale=w:600,h:450&_sh=08c03d0c90)
