『ずぼらヨガ』『すごいストレッチ』などの作品で知られる、イラストレーターで漫画家の崎田ミナさん。うつを経験した崎田さんが初めて「心」をテーマに取り組んだのが7作目『やすらぎスイッチ』です。本書を通して、伝えたかったこととは?
『ずぼらヨガ』で描かれているように、ヨガ通いでうつを改善した崎田ミナさん。とはいえ「今でも疲れるとパニック障害のなごりで、息苦しくなってしまうことがあります」と話す。
これまでの著書では、ヨガやストレッチなど体をテーマにしていたが、『やすらぎスイッチ』では初めて、「心やストレス」に正面から取り組んだ。
「ヨガやウオーキングで体を動かしていれば、ストレスがあってもある程度やり過ごせると思っていました。ですが、肩を痛めて思うように体を動かしたりヨガができなかったりすると、つらくなってしまって…。そんなときでもできる方法はないかと考えるようになりました。そこで、ストレスや心のしくみをテーマに、約3年半で心療内科医、公認心理師、精神科医など9人の心の専門家を取材しました」
『やすらぎスイッチ』では、行動や考え方からのアプローチと、カラダからのアプローチの2部構成で、ストレスとは何か、体の中で何が起きるのかなど心と体の関係をロジカルに“見える化”。そして、全11種類のメソッド、まさに「心がやすらげるスイッチ」を紹介している。
「どのメソッドも、心とストレスケアの専門家に取材した確かな方法ばかり。何度も試して、これなら心が疲れたときでもできそうと思える内容にまとめたつもりです」。次のページから紹介する5つは、崎田さん自身が特によく実践しているという方法だ。
ストレスを生みやすい心の癖に気づくヒント
読んで心が軽くなる
【考え方の癖】を知る
物事の捉え方は人それぞれ。そうした「認知の歪み=考え方の癖」は、その人の経験によってつくられます。しかし、それが過剰に強くなり、ハマってしまうと、ストレスが増幅されて、心や体の調子を崩してしまうことがあります。まず自分の考え方の癖を知り、気づけるようになると、心の暴走を避けることができます。
【自分ライン】を育てる
他者と自分の間には、見えない心の「境界線」があります。コミュニケーションで不快感を感じるときは、〈ラインオーバー(境界線を侵害)〉されているかもしれません。ラインオーバーをされると不快な刺激がストレスを生み、それが続くことで心と体に不調をきたします。境界線を自分で引き、守ることでストレスは減らせます。
ストレスで緊張した体が芯からゆるむテニック
カラダから心が軽くなる
心が鎮まる【呼吸筋ストレッチ】
緊張や興奮、怒りを感じているとき、呼吸は浅く、速くなります。呼吸には、心の動きや感情によってリズムが変化するしくみがあることがわかってきました。呼吸をするときに働く呼吸筋の中でも、特に心の動きと関係する肋間筋を柔らかくするストレッチは、心の安定へとつながります。
ストンと眠れる【自律訓練法】
不安や緊張でいっぱいになると、痛みが出たり、眠れなくなったり、体に不調が出ることがあります。そんなとき、ある言葉のフレーズを唱えながら体の状態をイメージすることで、心がリラックスして整うメソッドがあります。続けると、ストレスに対抗する力も上がります。
秒でゆるむ【筋弛緩法】
心の緊張から肩や首がこわばって、どうにもならない。そんなときは、いったんわざと力を入れてから、脱力することでリラックスに導く「筋弛緩法」を。肩、手首、足首、顔…あるリズムで、順番に力を入れては脱力するのを繰り返すことで、ふ~っと心も緩みます。
「ストレスがたまったときや心が疲れたときに、心がラクになる解決方法を知っていることは、大切な武器になると思います! 私自身も本の中でご紹介した方法を知っているだけで、『何とかなるな』と思えるようになりました」と崎田さん。誰しも、日常のはざまで何かがあって追い込まれてしまうときはある。落ち込みが激しく、何もできないときもあるだろう。「けれど、少し落ち着いてきたら、頑張ってきた自身の心をラクにする、これらの方法を役立てていただけたら」と崎田さんはいう。
ストレスは、積もり積もってこじれてしまう前にケアをしておきたいもの。「好きなとき、気が向いたときに方法を選べるように構成しています。この本が疲れた心をラクにするヒントになればうれしいです」。
取材・文/西山裕子(編集部) イラスト/崎田ミナ
[日経ヘルス2025秋号より 日経xwoman 2025年12月12日付の記事を転載]
崎田ミナ著/日経BP/1870円(税込み)





