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日ごとに注目度が増す『テクノロジカル・リパブリック』

 2026年3月末に発売された、『テクノロジカル・リパブリック 国家、軍事力、テクノロジーの未来』が売れ行き好調です。現在7刷目に達し、発行部数は2万部を突破。日を追うごとに注目度が増しています。

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 本書は、アメリカの国防・情報機関にAIと情報解析ソフトウエアを提供する米国のIT企業「パランティア・テクノロジーズ」の共同創業者、アレクサンダー・C・カープとニコラス・W・ザミスカが、国家、軍事力、テクノロジーの未来を語った書籍。技術や国家のあり方について、また現代社会が直面する政治・文化の危機的な状況について、著者二人が10年近くにわたって交わしてきた会話から生まれました。

 シリコンバレーへの批判から始まり、既存のテック企業がアプリやSNSなどの利益を上げやすい消費者向けプロダクトに力を注ぎ、公共的・国家的な重要課題から逃げていると指摘します。そしてテック業界は政府との関係を再構築し、エリート技術者たちは国家プロジェクトに関与すべきであると主張します。

 2025年2月に米国で初版が発売されると、米ニューヨーク・タイムズ紙No.1ベストセラー、英サンデー・タイムズ紙ベストセラー、バーンズ&ノーブルが選ぶ「ビジネスブック・オブ・ザ・イヤー」、NPR(米公共ラジオ)のスタッフが選ぶ2025年ベスト書など、数々のタイトルを獲得。多くの賛辞を集める話題の書籍の邦訳です。

本書の要約で賛否も、国内外で議論が白熱

 米国の著名人や各新聞社からは多くの賛辞が贈られている本書ですが、実はパランティアのあり方や本書には批判的な意見も目立っています。

 というのも、日本版の発売と同時期に、パランティアのX公式アカウントが本書の要約として過激な内容を発信したのです。これには世界中から多くの批判が集まりました。

 この騒ぎに対し、哲学者でZEN大学教授の東浩紀さんは、長時間にわたるYouTube動画をアップ。「決してXのポストの要約だけで読み取れるような本ではない」「文系の思想書」「学術的な文脈を持つ本」「公益性のある内容」と肯定的な発言をしています。そして、あえての批判を覚悟でリスクを取るカープの姿勢にも共感を示しました。

 哲学者で東京大学大学院准教授の斎藤幸平さんも自身のXアカウントで紹介。「興味深いのは、現在のシリコンバレーが本当の難題に立ち向かうのをやめ、楽に稼げる消費者向けアプリの開発に勤しんでいることへの批判である」と、感想をポストしています。

 このように、国内の識者や著名人の間でも話題になっており、ビジネス書や教養書を厳選して要約する月刊誌『TOPPOINT』の5月号の巻頭でも紹介されました。本書を重点的に展開する書店も続出。丸善 丸の内本店では、特設コーナーも設置されました。

 不安定な社会情勢とAIの躍進といった先の見えない状況が続いています。今のこの時代を理解する手助けにもなる1冊。ITに携わるビジネスパーソンはもちろん、時代の流れを読めるようになりたい人、将来を見通せるようになりたい人、多角的な視点を持ちたい人は、ぜひ一度手に取ってみてください。

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構成・文/磯部麻衣