作家になれる人は、どのような個性を持っているのだろうか? 韓国で30年の現場経験を持つドラマプロデューサー兼脚本家、そして脚本術の先生であるパク・ソンスが、「作家になれる人には、内蔵されたDNAのようなものがある」という。新刊『韓国式 ストーリーのつくりかた』から抜粋して紹介する。
継続できる性格だ
「この台本はいつから書いていたのですか?」「5、6年前からだと思います」。淡々と語る60代後半の作家の前で、当時ミニシリーズ担当のドラマ副局長だった私は姿勢を正した。忍耐力は作家として生まれた人の強力な武器だ。
彼らは価値あるものを得るには長い時間が必要であることを知っている。作家になろうと決心してから5年、新人賞で作品が選ばれてからさらに5年、そうして10年かけてようやくデビューのきっかけを手にすることもある。
失敗した、つらいなどと言って簡単に諦めない。むしろ、失敗や困難を経て成長する。そうして歯を食いしばりながら無理に耐えるのではない。今日を「二度と来ない一日」と捉え、慎重に粘り強く、創作を愛する心を守り抜く。根気は信じることと同義だ。粘り強く耐えた人にだけ機会は訪れる。
健康である
作家の能力は、精神力ではなく体力から出るもの。文章は体で書くものだ。そして体と心はひとつ。いいコンディションを維持することは、いい文章を書くための基本条件だ。だから体力や栄養状態をいつも管理する。
文章がうまく書けず、気持ちが不安定なときほど、椅子を蹴って席を立ち、外に出る。そして走る。
無邪気な子どもだ
空にかかる虹を見ると心が弾む子ども、それが作家だ。5、6歳の子どもの目線でオブジェを見るピカソが作家だ。どんなことでも、まるで生まれて初めて見たもののように感嘆する子どもが作家だ。
判断する前に見て、分別する前に受け入れる。子どもである作家は、何もかもが目新しくて、すべてがまっさらだ。毎日迎える朝も、毎日見る空も、新しく驚きに満ちている。物わかりのよい大人ではいけない。
孤独を楽しめる
孤独は作家の宿命だ。文章とは、人知れず孤独に書くものだ。自分だけの時間と空間でひとつひとつ考え、一文字一文字記してゆくだけだ。文章は、他人の目を気にしないで、自分自身の目も気にしないで、初めてうまく書ける。想像力と表現力を最大限発揮し、感情をどこまでも探求しようとするならば、ひとりでいなければならない。
少なくとも、執筆する時間だけは自分を孤独にしておく必要がある。人、SNS、YouTubeと断絶された自分だけの時間と空間で、ひとり作業をしなければならない。そうすれば作業の生産性が上がり、進度も速くなる。作業中は、金曜日の夜にクラフトビールを一杯やろうという友人の誘いも断らなければならない。
ひとりぽつんと残って文章を書くなんて、孤独だ。しかし一方で、孤独の中で幸福感が花開く。作家にとっては、文章を書く没入の瞬間こそ、ドーパミンが分泌される幸せな時間だ。孤独は楽しい。
自分自身を信頼する
作家は、自分の人生、自分の視線を信頼する。自分が書く物語を信頼し、何よりも自分自身に信頼を置く。だからこそ世の中に物語を放つことができるのだ。
作家はこのような気持ちでこの世に存在している。私は世界の中心だ。私がいなければ、この世も存在しない。私は創造者として、自分の人生を営んでいる。だからこそ私は自分自身を愛し、みずからを尊重する。
あなたはここまで見てきた作家のDNAのうち、いくつを備えていただろうか? 「あぁ、私はどう見ても作家として生まれてきたみたいだ!」と確信を得ただろうか? 半分以上当てはまった方、おめでとう。では、次の段階である実践的なストーリーのつくりかたに進もう。気になった人は本書をぜひ読んでほしい。
パク・ソンス著、松原佳澄訳、日経BP、2200円(税込み)

