疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、「いつ食べるか」に着目した「時間栄養学」について。
これまでの栄養学は、もっぱら「何を食べるか」に重きが置かれていました。しかし、同じ食べ物であっても、食べる時間によって体に対する働きが変わってきます。朝食べればパフォーマンスをアップする食べ物も、夜食べると肥満の原因になる、といったことは珍しくありません。
そこで注目されているのが「時間栄養学」です。これは、体内時計と代謝の関係をベースにした学問分野で、その研究成果を日々の生活に取り入れることで疲れにくい体をつくることができます。
体内時計に合わせた食事が健康を左右する
私たちの体には、遺伝子レベルで生理的なリズムを刻む体内時計が存在しており、それが約24時間周期で働くことによって、さまざまな生体反応がスムーズに進んでいきます。
体内時計は代謝やホルモンの分泌にも深く関わっており、食べ物を「いつ食べるか」は、「何を食べるか」に劣らず健康に大きな影響を与えることが分かってきました。
体内時計が刻むリズムに合わせて、必要な栄養を適切なタイミングでとることは、健康維持やパフォーマンスアップを大きく左右します。時間栄養学から見た理想的な朝食、昼食、夕食を紹介しましょう。
朝食:炭水化物とたんぱく質をしっかりとる
朝は、血糖値を下げる働きのあるインスリンの効果が高い時間帯です。炭水化物をとっても血糖値の急上昇が起こりにくいので、1日のエネルギー源になる炭水化物をとりましょう。また、日中にセロトニンを増やすためにも、ここでたんぱく質をしっかりとることも大切です。
さらに、朝食には体内時計をリセットする効果があるので、不規則になりがちな生活を送っている人は、朝食を抜かないことが大切です。
昼食:たんぱく質と食物繊維を意識した食事が理想的
一般に、食後に眠気を催すのは、食後に急上昇した血糖値を下げるために、インスリンが大量に分泌されることが原因です。昼休み後のパフォーマンスを下げないためには、昼食の炭水化物は控えめにして、たんぱく質と食物繊維を意識した食事が理想的です。
夕食:腸内環境を整える発酵食品や野菜を取り入れる
質の高い睡眠をとるために、夕食は寝る3時間前には終わらせるのが理想です。夕食の内容は、消化器系に負担がかからないものとして、腸内環境を整える発酵食品や野菜を多くとりましょう。
また、朝食時間から夕食が食べ終わるまで、可能ならば10時間、長くても12時間以内にすることが大切です。夜食は肥満の原因になるので避けましょう。

完璧を求めすぎないのがコツ
こうした時間栄養学の基本知識を頭に入れておくと、もともと体に備わったパフォーマンスや回復力を最大限に活用することが可能になります。私自身も、夕食を早めにして朝食もしっかりとるようにしたところ、体調が整い、体重もほぼベストの状態に戻りました。太ると疲れやすくなるので、「いつ食べるか」はとても重要です。
ただし、あくまでもこれらは理想であって、完璧を求めすぎてはいけません。忙しいと毎日理想的な食事はできないものです。ときにはその通りにならなくてもいい、と思っておくくらいがちょうどいいと思います。
たまになら、休みの前日に気の置けない仲間と夜遅い時間まで食事をしたっていいでしょう。それが気分転換になり、メンタルによい影響があるはず。食事については、ある程度、柔軟な考えを持っておくことも大切です。
[日経ビジネス電子版 2025年6月16日付の記事を転載]
加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)
