疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、睡眠の質を高める「疲れない運動」について。

 休養というと、体を休めたり睡眠をとったりすることがすぐに思い浮かびます。しかし、デスクワークで頭を酷使していると、いざ寝ようと思っても心身ともになかなか休まらず、睡眠も浅くなってしまいがちです。

 むしろ、普段から疲れない程度の運動をほどほどにすることで、休養の質を高めることができるのです。

活性酸素を過剰に発生させない程度の運動がいい

 運動はハードなほうが効果的だと思いがちですが、必ずしもそうではありません。確かに、筋肉隆々(りゅうりゅう)の体をつくったり、競技スポーツで活躍したいのであれば、体をいじめ抜くようなハードなトレーニングをする必要があるかもしれません。しかし、休養の質を高めるのが目的ならば、疲れない運動を週に2~3回するので十分です。

 疲れるほど運動をすると、体内に「活性酸素」が過剰に発生してしまいます。活性酸素の過剰発生は、細胞や組織を傷つけることで老化や病気の原因となる可能性があります。

ウォーキングなど疲れない程度の運動を日常的にすると、睡眠の質が高まる(イラスト=髙柳 浩太郎)
ウォーキングなど疲れない程度の運動を日常的にすると、睡眠の質が高まる(イラスト=髙柳 浩太郎)

 では、どのくらいの運動がいいのでしょうか。私が実践しているのは、有酸素運動と軽い筋トレです。有酸素運動といっても難しいことをするのではなく、30分から1時間かけて1~5km ほどウォーキングをするのがおすすめ。体の末梢で循環する血液の量が増加したりすることで、病気の予防効果があるとされています。

 1日のうちに有酸素運動と筋トレの両方を行う場合は、3時間以上空けると効果的です。

 毎日でなくてもいいので、こうした「疲れない」運動を継続していくと、細胞内でミトコンドリアが増殖します。ミトコンドリアは生命活動のエネルギーを生み出す働きをするので、疲れにくい体をつくることにつながります。つまり、疲れない程度の運動を続けることで、疲れにくい体をつくる好循環が生まれるのです。

日常生活でこまめに体を動かすことを意識する

 ウォーキングがいいとは分かっていても、仕事が忙しいとなかなか継続できない人も多いでしょう。実を言うと、私もその1人です。30分のウォーキングの時間を週に2~3回確保するのは簡単ではなく、貴重な休日の時間も家族のために使うことが多いのです。

 それでも、日常生活の中で意識的に体を動かすことで、運動に近い効果が得られます。例えば、次のような感じです。

・ビルや駅ではエレベーターやエスカレーターではなく、階段を使う
・車で移動するときは、駐車場の中で少し遠めのスペースを選んで歩く距離を伸ばす
・仕事の合間に簡単なストレッチをする
・オフィスではコピーやお茶入れなどのためにこまめに席を立つ
・あえて階段を上り下りして別のフロアのトイレを利用する
・自宅では家事で積極的に体を動かす

 こうした小さな活動を積み重ねると、そこそこの運動量になります。日常生活で体を動かす習慣を身に付けることが大切です。

(写真:真由 野田/stock.adobe.com)
(写真:真由 野田/stock.adobe.com)

日経ビジネス電子版 2025年6月18日付の記事を転載]

“休むこと”は、立派な「投資」です。長時間働けば評価される時代ではなくなり、限られた時間で効率よく成果をあげることが求められています。20代であればムチャな働き方も可能かもしれませんが、30代、40代になると、上手に休むことでパフォーマンスを上げていかなければなりません。現役医師が実践し、多くのビジネスパーソンが効果を実感した休養を、余すことなく紹介します。

加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)