疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、デスクワークが多い人が悩む「腰痛」への対処法について。
体に痛みがあると、肉体的にも精神的にも大きなストレスがかかってしまいます。痛みのケアは、健康維持はもちろん、仕事のパフォーマンスを向上させるために不可欠といってよいでしょう。
体の痛みで多いのが腰痛ですが、大半の場合は病院で検査をしても原因が特定できません。大切なのは、普段から腰に負担のかからない生活をすること。デスクワークでは、ときどき姿勢を変えることを心がけましょう。
30分に1回は姿勢を変えて筋肉をほぐす
日本整形外科学会によれば、腰痛を抱える日本人は約3000万人。40~60代に限ってみると、2人に1人が腰痛持ちといわれています。
ところが、腰痛を訴える人が病院で検査をしても、原因が特定できるのは15%ほど。ほとんどのケースでは原因を厳密に特定できないのです。
MRIなどの画像検査で原因が分かるのは、主に椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症です。その場合は、医師の診断に従って治療を進めることが大切です。重症の場合は手術が必要になることもありますが、椎間板ヘルニアの9割は自然に治るといわれており、湿布薬を貼って様子を見ているうちに痛みが消えることもよくあります。
では、原因不明の腰痛にはどう対処すればよいのでしょうか。多くの場合、下半身の筋肉の緊張やこわばりによる血行不良がもとで、こりや痛みが発生していると考えられます。ですから、同じ姿勢のとりすぎを避けるようにするのが大切です。
PCで作業をしていると、つい何時間も同じ姿勢をとりがちです。少なくとも30分に1回は休憩をとり、椅子から立ち上がって歩いたり伸びをしたりして、筋肉をほぐしてください。そうした余裕がなければ、せめて姿勢を変えることを心がけましょう。

軽い運動でストレスを解消するのが効果的
精神的なストレスも腰痛と大きく関係しています。近年になって、そのメカニズムが解明されてきました。
通常の状態ならば、腰に多少の無理がかかっても、痛みの感覚を抑えるオピオイドという脳内物質が分泌されることで、痛みを感じにくくなります。ところが、精神的なストレスがかかると体内のホルモンのバランスが崩れて、オピオイドが分泌されにくくなり、腰の痛みが感じられるようになるのです。
そのほかにも、精神的ストレスは筋肉をこわばらせ、腰痛を悪化させる原因になります。腰が痛いことそのものがストレスになってしまうこともあります。
ですから、腰痛がひどい状態でなければ、散歩やウォーキング程度の軽い運動をしてストレスを解消することがすすめられます。腰が痛いからといってじっとしていると、痛みに意識が集中して、かえってストレスが高まってしまうからです。
[日経ビジネス電子版 2025年6月24日付の記事を転載]
加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)
