疲れがたまり、朝に目が覚めても体が重い。休みの日はゴロゴロしてばかりいる……。「休み下手」だと生産性も落ちるばかり。令和のビジネスパーソンに必要なのは、戦略的に休んで心身を整えるスキルです。現役医師にしてベンチャー経営者が、自身も実践する効果的な休息法をまとめた『休養ベスト100』(加藤浩晃著、日経BP)から一部を抜粋してお届けします。今回は、「ゆる断食」で仕事のパフォーマンスを上げる方法について。

 「断食」と聞いただけで、「自分にはとても無理」、「かえって体に悪いんじゃないのか」と思う人もいるでしょう。でも、そこまで本格的な断食でなくても意味があります。

 IT 企業のCEO が取り入れたことで注目を集めた「間欠的断食」ならば、大きな無理なく進められます。単なるダイエット法にとどまらず、脳機能の向上やビジネスでのパフォーマンスの向上も見込めるといわれています。

 ただし、やせている女性や持病がある人には向かないので注意してください。

実践しやすい「ゆる断食」がおすすめ

 間欠的断食というのは、普段の生活の中で、たまに断食的な要素を取り入れるものです。いわば、「ゆる断食」といっていいでしょう。

 最も実践しやすいのが「16:8法」です。16時間の断食時間と8時間の食事可能時間を設けるもので、朝食を抜くだけで実践できます。

 もう1つのおすすめは、「5:2法」です。週に5日間は通常の食事をし、残りの2日間(連続しない2日)は大幅にカロリーを減らします。男性で600キロカロリー、女性で500キロカロリー程度の摂取を目安にしてください。休日や在宅勤務の日に組み込むと実践しやすいでしょう。

 断食を効果的に行うポイントとしては、水分補給が非常に重要です。水やお茶など、カロリーのない飲み物は積極的に飲みましょう。これによって空腹感を和らげるとともに、頭痛や集中力の低下を防ぎます。

(イラスト=髙柳 浩太郎)
(イラスト=髙柳 浩太郎)

断食で集中力の向上も期待できる

 初めて断食を行う人は、体を適応させるため、徐々に時間を延ばしていくようにしましょう。断食期間を終えた後の食事では、良質なたんぱく質や野菜、健康的な脂質をバランスよくとることで、エネルギーの安定供給と満腹感の持続につながります。

 断食が脳にもたらすメカニズムも、だんだんと明らかになってきました。注目なのは「ケトン体」です。通常、脳はブドウ糖をエネルギー源としていますが、断食状態が続くと体内の糖質が不足し、代わりに肝臓が脂肪酸を分解してケトン体という物質を合成します。ケトン体は脳のエネルギー源となり、集中力や記憶力の向上に寄与する可能性があることが報告されています。

 また、体内に貯め込まれた余分な脂肪を分解することで、高血圧や肥満を改善して、心血管疾患の発症リスクを抑えることが期待できるともいわれています。

 さまざまな効果がある「ゆる断食」ですが、人によっては有害になるので要注意。子どもや、低体重、妊娠中、1型糖尿病、極度の高血圧の人などには禁物です。

(写真:KMPZZZ/stock.adobe.com)
(写真:KMPZZZ/stock.adobe.com)

日経ビジネス電子版 2025年6月26日付の記事を転載]

“休むこと”は、立派な「投資」です。長時間働けば評価される時代ではなくなり、限られた時間で効率よく成果をあげることが求められています。20代であればムチャな働き方も可能かもしれませんが、30代、40代になると、上手に休むことでパフォーマンスを上げていかなければなりません。現役医師が実践し、多くのビジネスパーソンが効果を実感した休養を、余すことなく紹介します。

加藤 浩晃著/日経BP/1780円(税込み)