人生後半で趣味に取り組み、収入を得るためにはどうすればよいのでしょうか。『 55歳から やりたいことを全部やる!時間術 』(日経ビジネス人文庫)の刊行を記念し、著者の臼井由妃さんと、日刊書評メールマガジン「ビジネスブックマラソン」編集長の土井英司さんがトークイベントを行いました(主催は丸善ジュンク堂書店)。その模様をお届けします。第3回は「55歳からの学び直し」について。
「学び直し」で何をやればいいのか
土井英司さん(エリエス・ブック・コンサルティング代表取締役)(以下、土井) 今回のテーマは、55歳からの「学び直し」。今、リスキリング、学び直しが盛んにいわれていますが、「本当にうまくいくのか」というアドバイスも含めて聞かせてください。学び直しというと、資格の勉強系ですか。
臼井 もちろん、何か資格を取りたいという人には勉強がお薦めです。資格を取るのに1年間、2年間ひたすら勉強する…というのもつらいですから、3カ月で取れる資格を目指してみてはどうでしょうか。すでに資格を持っている人は、法改正などもありますので、その資格に関する知識をブラッシュアップしましょう。
ほかには、例えばプレゼンが苦手な人だったら、自分のプレゼンを録音して、欠点があったら直すといいですね。誰かに教わるだけじゃなくて、「将来的には自分がそれを教えられる人になろう」というぐらいの気持ちで学び直しをすると、楽しいですよ。体力づくり、読書、美術館巡り、知らない駅で降りてみる、そこで面白い人に出会うのも立派な学び直しです。
また、あえて「過去に挫折したことをもう一度やってみる」のもいいですね。ダメだったとしても、それは過去の話。今だからこそできることがあるはずです。
これからは遊びが仕事になる時代
臼井 土井さん、趣味はありますか。
土井 僕は旅行ですね。学生時代にギリシャに行ったので、そこから考古学にも興味を持つようになりました。
臼井 なるほど。趣味があるなら、それに本腰を入れて、それでお金を得るという方向も学び直しになりますよ。
土井 そういえば昔、新潮社の「旅」という雑誌があって、そこの編集者の方にギリシャ旅行の話をしたら、「寄稿してください」と言われたんです。それで原稿料6000円をもらいました。金額としては大したことないけれど、めちゃくちゃうれしかったですね。
臼井 趣味でお金をもらうと楽しいですよね。例えば陶芸が趣味なら、作品を作ってネットで売ることもできます。将来的に収入につながらなかったとしても、趣味に本腰を入れている人はイキイキしているから、魅力的ですよね。
土井 イキイキしていて魅力的だったら、人が集まってくるから、最終的に売り先はありますよね。
臼井 実は私も60歳を過ぎてから、趣味の歌に本腰を入れるようになりました。今は真面目にプロモーションビデオを作って、YouTubeに流しています。それで月に8000円ぐらいですが、収益化しています。それがすごく楽しいんです。
土井 趣味を本業にするって、本来自分がお金を使っていたところから、逆にお金をもらうわけだから、それだけでいいですよね。
臼井 今まで仕事だけしか見ていないと、真面目な人ほど「趣味=遊び」「何だか堕落した」ように感じるかもしれないけれど、いやいや、これから先の人生はむしろ遊びが仕事になると思ったほうがいいですよ。
土井 確かに。これからAI(人工知能)やロボットが普及して、仕事が効率化していくと、人間の仕事って、最後は遊びしか残らない気がしますよね。
臼井 本当ですね。それから現実的な話をすると、今は一人暮らしの人も多いですよね。先行きが不安ななか、「孤独解消」がビジネスのキーワードになると思います。例えば、私なら自分の遊びである歌を歌ってあげるとか、運動が得意な人なら一緒に運動するとか、買い物に付き添ってあげるのもいいですね。
収入を増やすためにすべきこと
土井 そうするといろんな視点の孤独解消策があって、みなさんが好きなことでお金を稼げる可能性があると。世界中が都市化に向かっているので、必ず孤独は増えるでしょうしね。
さらに進んで起業を考えたときには、やっぱり「自分の好きなこと」から探したほうがいいですか。
臼井 好きなことがお金になるとは限りません。でも、「好きだから続けられる」という覚悟があるのだったら、お勧めします。細かいことを言うと、時代性だとかニーズだとか考える必要がありますが、いくら時代が求めていても自分が続けられないことは無理ですよね。
土井 家と職場を往復する生活を変えたい、でも収入が心配だ──という人も多いと思います。収入面の不安はどうすればいいですか。
臼井 現在、会社勤めをしている人であれば、「あと5万円あったら助かるな」「7万円あったら楽しいな」と思う額があるはずです。それこそ先ほどの学び直しで、まずは会社員のうちに副業で3万円稼ぐことを目標にしてみてはどうでしょう? オンラインで趣味や得意にしていることを教える、ファッションセンスを褒められる人ならおしゃれのコツを発信したりスタイリストをしたりする、文章を書くことが好きなら何か書いてみる、といったことから始めてみましょう。
そのためには、久しぶりに自分の履歴書を書いてみるといいですよ。自分は何が好きで、何が得意なのかが分かります。そこを深掘りすれば、お金の源泉が見つかるはずです。
「変な人」になる
土井 こうやって話していても臼井さんは前向きだから、周りの人を明るくしますよね。
臼井 55歳から新しい人間関係を築いていくときには、ぜひ「自己紹介のプロ」になってください。私は初対面で挨拶をするとき、「私は臼井由妃です。勇気、元気、臼井由妃です!」と言うんですが、そうすると相手に覚えてもらえるじゃないですか。
みなさんも自分のキャッチフレーズを作って、相手の名前は必ずフルネームで覚え、それで呼んでください。そうした根本的なマナーが身に付くと、「55歳からやりたいことを全部やる」ことにつながっていきます。
土井 そうですね。55歳となると人生の蓄積があるから、どんな人でも魅力的な話ができると思います。だからこそ、伝える技術、初対面での自己紹介が大事になってきますよね。
臼井 それからぜひ、「変な人」になってください。変な人というのは、魅力的な人のことです。「前例がないから、やらない」「もう年だからやらない」ではなく、「やってやろうじゃない」「55歳だから、今だからやるんだ」という人になってください。
私の知人が50歳のときに、「司法試験を受ける」と宣言しました。「合格したら、新米であっても、見た目はもうベテランに見えるから」って。そういう考え方は素敵ですよね。彼は本当に弁護士になりました。
私も「一日一生」。今日1日でさえも、やり残したことがないようにしたいと思って生きています。私たちは死という最期に向かって懸命に生きています。そのことを忘れず、1秒、1分、1時間と色濃く生きていきましょう。
構成・文/三浦香代子
『 55歳から やりたいことを全部やる!時間術 』
ベストセラーシリーズ最新刊! 大人の時間術は「効率」よりも「密度(質)」が大事。カギは、「捨てる、始める、大事にする」こと。仕事は「60歳で5時間、70歳で3時間」/「友達」は3人いればいい……など仕事、人間関係、学び直しのヒント満載。
臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)


