同じ「金利5%」で100万円を運用しても、利息のつき方の違いで、10年で10万円以上の差が付いてしまうことを知っていますか? 資産運用でより高い利益を得るため、また、借金をより早く返済するためには、金利の知識は必須です。お金を増やすために最低限知っておくべき「金利の仕組み」を、『 「お金の増やし方のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。 』(日経BP)の著者の1人、藤吉豊さんが、100冊の書籍に書かれてあった内容を基に解説します。

お金の増え方が劇的に変わる「複利の力」

 マネー本の著者の多くは「複利の力」を使うことの重要性を訴えています。

「複利の力を利用できれば、莫大なリターンに頼らなくても資産を増やせる」

(モーガン・ハウセル『サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット』/ダイヤモンド社)


「投資の意思決定を行う上で、『複利』の意味することの重要性を十分理解している人は、ほとんどいないと言ってもいい」

(バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』/日本経済新聞出版)


 複利は、利息の計算方法の一種です。複利について詳しく説明する前に、利息にまつわる言葉を整理しておきます。

 銀行にお金を預けると(預金をすると)、「利息」がついてきます。利息はお金を貸した側が受け取る「お礼」のようなもので、「1000円に10円の利息がついた」のように、金額そのものをあらわします。

 元本(預けたお金)に対してどのくらいの利息を支払うか、割合を示したものを「利率」といいます。

利息=元本×利率
例)元本1000円×利率5%=利息50円

 「金利」は、元本に対する利息の割合で、「利率」とほぼ同じ意味で使われます。多くの場合、1年間の利息の割合(年利)を示します。

 投資で使う「利回り」は、投資元本に対するある一定期間の利益を割合で示した指標のこと。利回りは投資の成績を示すので、投資が終わるまでわかりません。投資の元本が100万円、1年で得た利益が5万円の場合、利回りは5%となります。

利回り=利益÷元本
例)利益5万円÷元本100万円=利回り5%

なぜ同じ金利・投資金額で結果が変わるのか?

 金利のつき方には「単利」と「複利」があります。

 元国税専門官でフリーライターの小林義崇さんは、著書『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)で、次のように説明しています。

単利……「毎年同額の金利が上乗せされる金利のつき方」。
複利……「もともとあるお金、すなわち元金についた金利を、次期の元金に組み入れる金利のつき方」。

 例として100万円の元本を預け、金利5%(年利)で運用した場合の利息を考えてみます。

 1年後は、受け取る利息は単利でも複利でも5万円(税金は考慮せず)です。

 単利では、2年後も3年後も受け取る利息は同じで、5万円ずつ上乗せされます。10年間運用で、利息は、

5万円×10年=50万円

です。

 複利では、2年後は、元本100万円に1年目の利息5万円を足したものに5%の利息がつきます。2年後の利息は、

(100万円+5万円)×5%=5万2500円

です。3年後は、元本100万円に1年目の利息5万円と2年目の利息5万2500円を足したものに5%の利息がつきます。

 3年後の利息は、

(100万円+5万円+5万2500円)×5%=5万5125円

です。10年後に受け取る利息は累計で「約63万円」です。

 単利と複利の利息の差は10年間で、

約63万円-50万円=約13万円

となります。

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 複利では、預ける年数が長いほど、利息の増えるスピードが加速します。多くのマネー本では、「複利効果を期待できることが投資のメリット」と主張しています。

◆複利の効果を高めるポイント
  • 配当を受け取らずに再投資すると複利効果が得られる。
  • 複利の効果はすぐには出ないので、焦らずに時間をかけてお金を育てる。
  • 預ける期間が長いほど利息の増えるスピードは加速するので、できるだけ早く投資を始める。

 『史上最強の投資家 バフェットの教訓』(メアリー・バフェット、デビッド・クラーク/徳間書店)には次のように記されています。

「投資の世界では、若くして天職とめぐりあえた者に絶大なるチャンスがもたらされる。『複利』という名の魔法は、時間が長ければ長いほど、より高い効果を発揮しうるからだ」


「元本が倍になるタイミング」の簡単な計算法

 マネー本で複利での資産運用が語られるときにしばしば出てくるのが、「72の法則」です。

 イタリアの数学者ルカ・パチョーリ(1445~1517)の著書『スムマ』で記述されており、少なくとも15世紀から受け継がれています。

 『年収300万円FIRE』(山口貴大【ライオン兄さん】/KADOKAWA)では、「72の法則」について次のように説明しています。

「ある金融商品に投資して複利運用した場合、元本を倍にするまでの概算の期間は『72÷その金融商品の年間利回り』で求められるというものです」


 ひとことでいえば、

 72÷金利=元本が2倍になるまでの年数

となります(「金利」は複利であることが前提。また、結果は大まかな数字で必ずしも正確ではない。なお、「72÷利率」と書かれているマネー本もありましたが、本記事では複数の証券会社のウェブページにあった「金利」を採用しています)。

 仮に6%の金利で金融商品を運用していたとすれば、

 72÷6=12(年)

 となり、「12年で倍」になります。もし、1000万円を6%の金利で運用していた場合、12年で2000万円になるということです。

 「72の法則」を使うと、自分の資産を倍にするには、だいたい何年かかるかの目安になります。

借金の返済も、金利が高いところから

 多くのマネー本がお金の増やし方だけでなく、借金やローンについても触れていました。

 「借金」というと、一般的にあまりいいイメージはありません。しかし、複数のマネー本は、「していい借金(いい借金)」と「してはいけない借金(悪い借金)」がある、と分けて記しています。

◆していい借金
・住宅ローン
・不動産投資

◆してはいけない借金
・銀行系カードローン、消費者金融やリボ払い(29位参照)など高い金利の借金
・お金を生まない贅沢品(高級車など)

 「していい借金」として取り上げられていたのは、住宅ローンです。住宅ローンのおもな特徴は、「低金利」でお金を借りられることです。2023年5月現在、0.32%で借りられる金融機関もあります。この低金利を利用して資産形成をする、というのがマネー本の著者たちの主張です。

「僕の投資法なら20年というスパンで見れば、平均して6%以上の金利が期待できると話したよね。住宅を買える分の現金は投資に回し、住宅購入費はローンを組む。すると住宅ローンと投資分の金利の差額は利益になるんだ! 住宅ローンが仮に1%だとしたら、僕の投資法で考えると差分の5%が投資で得られる利益になる」

(厚切りジェイソン『ジェイソン流お金の増やし方』/ぴあ)


 また、借金がお金を生んでくれることになるから、不動産投資であれば、借金をしてもいいという意見もありました。

「1億円の不動産物件をローンを組んで買い、家賃収入が月100万円で、返済が毎月50万円だとすれば、細かい計算は別にして、手元に50万円残ることになる。(略)
借金をしてでも買うとは、こういうことなのだ」

(泉正人『お金の大事な話』/WAVE出版)


 どのような借金もしないほうがいい、という反対の声もありました。「借金は、たとえ少ないとしても、金利を払うことに変わりはないから」です。金利を払わずに、その分、運用したほうが得という意見です。

 もし、複数の金融機関から借金がある場合は、消費者金融など、金利の高いところから先に返済します。高い金利のところから返さないと、雪ダルマ式に借金が増えていくことになります。

「消費者ローンの金利は一番高いため、72の法則に従えば、どの借金よりもすぐに2倍に膨れ上がります。危機として取り扱う必要があります。10~20パーセントもの金利のある借金を抱えている間は、投資や貯蓄のことなど考えてはいけません」

(クリスティー・シェン、ブライス・リャン『FIRE 最強の早期リタイア術』/ダイヤモンド社)


 「72の法則」を踏まえて考えると、もし、金利18%でお金を借りた場合、

 72÷18=4

 で、4年で借り入れの額が倍になる計算です。

 金利、とくに複利の正しい理解が、適切な資産運用につながります。

(写真:Shutterstock)
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