自社アカウントがバズった! でも、続かない。売り上げにもつながらない。多くのSNS(交流サイト)担当者が頭を抱える「なぜバズが続かないのか?」という疑問は、バズの波形を分析することで解答が見えてくる。そして「積層型」の施策が求められる理由とは? 書籍『 SNSマーケティング7つの鉄則 』(飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著)から抜粋、再構成してお届けする。
バズの入射角と反射角は等しい
「バズは一過性である」と、よくいわれています。このことはデータからでも説明できます。
例えば、ソーシャルリスニングツール「BuzzSpreader Powered byクチコミ@係長」で「花火」のクチコミ量を調べると、だいたい花火シーズンの7~8月に盛り上がり、その後に下がっていくという波形になります。
また、「ホワイトデー」は3月14日まで伸びていって、3月15日から急速に下がります。花火は山なりに下がりますが、ホワイトデーはもっと急です。
データを見ると、バレンタインデーとホワイトデーはセットで語られており、ホワイトデーは、3月から少しずつ話題が広がっていきます。そして、ホワイトデー当日にクチコミ量は最も多くなり、3月15日になった瞬間に、クチコミ量は急激に減っています。波形も急速に下がっていきます。
「結婚発表」のクチコミの波形をみていきましょう。芸能人の結婚発表のような芸能ニュースは、どーんと上がった後は、どーんと下がっていきます。日本中を一気に駆け巡り、駆け巡り終えると話題のネタとして消費されきったということが、このクチコミ数の波形からも読みとれます。
このように、基本的にバズの入射角と反射角は等しいのです。
「SNSでバズらせて宣伝しよう」という手法がありますが、基本的にバズは一過性の認知としてすぐに戻ってしまうのです。「クリスマス」「ホワイトデー」など一部キーワードは、少し前からジワジワ上がりますが、基本的にはガッと上がってガッと下がります。
繰り返しになりますが、多くのケースでは、クチコミ数は入射角と反射角が等しい波形になります。急激に上がったものは急激に下がり、緩やかに上がったものは緩やかに下がるのです。
我々が「スパイク型」と読んでいる、急激に上がり急激に下がるようなクチコミ数の波形では、一過性の認知に終わるため、マーケティングの投資対効果は低くなります。山の高さ、盛り上がりの高まりがあっても、すぐに落ちていってしまいます。瞬間風速はあっても、持続していきません。
一過性のバズに頼りっぱなしだと、「またバズを起こさなきゃ」と焦りが生まれるかもしれません。しかし、クチコミ数の波形が右肩上がりになるような「積層型」の施策を仕掛けていくほうが、中長期的な成果が出るようになります。投資対効果の面からもおすすめです。
基本は地道にクチコミを出し、積層させていき、評判をストックさせていくことです。いい評判がストックされていれば、どこかでブランドについて見聞きして、気になって、SNS検索してくれた人がその評判に触れてくれるからです。
一過性のバズを狙うのではなく、UGC(User Generated Contentの略で、ユーザーによって生み出されるコンテンツのこと。クチコミ)が積層していく施策を丁寧に設計しましょう。
プランニングにおいて、「これまでUGCを出さなかった人が出してくれるにはどうすればいいか」というアプローチに切り替えるべきです。
一度UGCを出した人に、もう1回・もう2回とクチコミを広げてもらうにはどうすればいいでしょうか。クチコミを丁寧に増やす、クチコミのもとになるネタの数を増やすといったアプローチが重要になります。
ネタは、すぐに消費されていきます。いろいろな話題を投下し、クチコミのネタや、クチコミしたくなるきっかけや口実、文脈を提供して右肩上がりにUGCを増やしていくことが大事なのです。
見えないクチコミ「ダークソーシャル」
SNSマーケティングでは、閲覧するユーザーを制限しない「オープンソーシャル」を前提として語られることが多いです。TwitterやInstagramのタイムライン、公開アカウントや公開ブログなどがそれに当たります。
一方で、「ダークソーシャル」(外部からのアクセスや会話内容のデータが取得できないなど、情報が外部に公開されない限定的なSNSを指す)と呼ばれるプライベートなSNS内でのDM(ダイレクトメール)やチャットでもクチコミは生まれ、拡散し、購買行動に大きな影響を及ぼすようになっています。
個人間のやり取りは、EメールからLINEへ移行しました。昨今の若い世代は、LINEだけでなくInstagramやTwitterのDMも活用しています。
友人とのDMによる「ここの飲食店やカフェ良さそうだから一緒に行こうよ」「この洋服、似合うんじゃない?」などの会話から行動をしたことはないでしょうか? それが見えないクチコミであるダークソーシャルの影響力です。
筆者は、SNSのクローズドな使われ方の実態を把握するため、ダークソーシャルの購買への影響に関する調査を2021年に実施しました。その結果、次のようなことが明らかになりました。
- DMの利用率:Twitterは約32%、Instagramは28%
- DMを送る相手:Twitterは共通の趣味を持つ知人、Instagramは学校の親しい友達が多い傾向に
- DMを利用しているInstagramユーザーの約54%が、DMをきっかけに消費者行動を起こしたことがある
見えないところでもクチコミはされている。これを意識するかしないかで、施策の意義や得られる成果は変わります。
1対nだけでの情報伝播(でんぱ)の発想から、消費者同士のN対nも含めた情報伝播の発想へシフトしていきましょう。
自社アカウントがバズっても売り上げにつながらない!? クチコミのつくり方から、成果につながる運用体制の構築まで、なぜそうなるのか? どうやって実現するのか? を徹底解説。
飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著/日本経済新聞出版/2420円(税込み)




