「バズる」という言葉に、どういったイメージを抱くだろうか? インフルエンサーや、フォロワー数の多い芸能人が一気にドカンと広めていくイメージを持っているのではないだろうか? 実際は、情報が身近な、近い人の関係性からチェーンのようにつながって伝播(でんぱ)していった結果、バズが起きていることが多いという。書籍『 SNSマーケティング7つの鉄則 』(飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著)から抜粋、再構成してお届けする。

身近なつながりのTwitter

 Twitter(現・X)がほぼ身近なつながりで使われていることを裏付けるデータを紹介します。

 次の図表は、Twitterのユーザーがどんな人にメンション(コメント)を送っているかをFrom・To分析(Twitterの高度な検索機能の1つである「from検索」と「to検索」のデータを分析すること)という方法で分析した結果です。

 地域情報は、そのアカウントのプロフィールや投稿内容に基づいています。例えば、東京の人はどういう人たちとメンションを飛ばし合っているのでしょうか。1位は東京、2位は埼玉、3位以下は神奈川、千葉、山梨という結果が出ています。基本的に、会話は近隣の人たちで行われているということが分かります。

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 その他の地域では、例えば北海道は、1位は北海道、2位は青森、3位以下は秋田、宮城、福井。大阪は、1位は大阪、2位は奈良、3位以下は和歌山、兵庫、京都という結果になっています。

 基本的にSNS(交流サイト)では、近い関係性の人同士で会話が成り立っています。全国津々浦々で話題になっているときも、まずは近隣同士の会話から始まっているのです。

 このデータが示す事実は、Twitterは物理的に近い距離の人同士がつながっているということです。言い換えれば、Twitterが、地域を越えることはあまり多くない、ということです。

 基本的にプライベートグラフやソーシャルグラフで使われるため、東京の人は東京近辺の人とよく会って飲み会をする。メンションするぐらいの仲の人は、基本的には近い地域に住んでいる。

 こういう関係性だからこそ、拡散の構造やFrom・To分析、メンションのやり取りも見えてくる、ということになります。

 ここから導き出せることとして、Twitter上で全国的な話題になるためには、全国津々浦々に情報が届いていたり、各地からクチコミがポコポコと発露されていたりする状態が必要、ということです。

拡散はチェーンのようにつながる

 多くの人は、大きな拡散やバズは、インフルエンサーやフォロワー数の多い芸能人が一気にドカンと広めていくイメージを持っていると思います。しかし実際は、情報がチェーンのようにつながって伝播していった結果、バズが起きていることが多いのです。

 例えば、3年A組の人の会話がB組へ、その隣のC組へ伝わり、C組のサッカー部から他校のサッカー部の3年N組につながる……こういう身近な交友関係から広がっていくのです。

 バズはフォロワー数の多い人からつながるケースもありますが、チェーンのようにつながっていくのが一般的です。ゆえに、フォロワーが30人しかいない人たちが発信元でも拡散は起こるのです。

 狭い関係性で、情報が太くつながっていく。そう考えると、フォロワー数の多い人たちに発信してもらうインフルエンサーマーケティング的なアプローチがある一方、フォロワー数が30人しかいなくてもパワーを持つ発信者を無視するのはもったいないことです。

 人間関係というチェーンをつなげた後に、質の高い公式投稿や良いUGC(User Generated Contentの略で、ユーザーによって生み出されるコンテンツのこと。クチコミ)などが生まれると、そのチェーンに乗って情報が流れていくという構図です。

バズは、チェーンのようにつながっていくのが一般的(写真/Shutterstock)
バズは、チェーンのようにつながっていくのが一般的(写真/Shutterstock)
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 拡散のチェーンを作ること、良いコンテンツを作ること、この2つが必要になります。言い換えるなら、「バズの高速道路網を作る」ということです。シェアしたくなるコンテンツがスーパーカーだとすると、全国津々浦々に高速道路網のように走りやすい(拡散されやすい)経路を作るわけです。

 事例を紹介します。洋菓子メーカーのシャトレーゼでは、アレルギー対応のクリスマスケーキを販売しています。

 「シャトレーゼのアレルギー対応のケーキがお手頃でしかも通販可。もっと広まれ!」という内容の投稿が、2000回以上リツイートされるような話題になったことがあります。

 シャトレーゼのホームページに掲載されていた、アレルギー持ちの子どもでも食べられるケーキの商品画像に感動した方がツイートしたものでした。発信時点ではこの方のフォロワー数は80人ぐらいしかいなかったにもかかわらず、日本中にクチコミが広がりました。

 同じようにアレルギー持ちのお子さんを育てているママアカウントや、子ども時代にケーキが食べられなかった人たちの間であっという間に拡散されたのです。

 このように、バズは必ずしもフォロワー数が多い人の投稿だけが発信源ではありません。リツイートとフォロー・フォロワー関係から、チェーンのように話題がつながっていくこともあります。

「中の人」頼みは、もう通用しない。

自社アカウントがバズっても売り上げにつながらない!? クチコミのつくり方から、成果につながる運用体制の構築まで、なぜそうなるのか? どうやって実現するのか? を徹底解説。

飯髙悠太、室谷良平、鈴木脩平著/日本経済新聞出版/2420円(税込み)