『うかる!FPシリーズ』 に収録している項目をもとに、暮らしに役立つ知識を紹介します。第4回は、「年金の申請」を解説します。年金は受給権が発生しても、請求しないと受給できません。請求し忘れた場合、その年金はどうなるのでしょうか?
年金は請求しないともらえない
老齢基礎年金(国民年金)は、受給資格期間(10年以上)を満たしていると、65歳から受給できるようになります。
老齢厚生年金の場合は、原則、老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしているうえに、厚生年金保険に1年以上加入していると65歳から受給できます。とはいえ、65歳になったら自動的にもらえるわけではありません。
年金は受給権が発生しても、請求しないと受給できません。すべての公的年金は基本的に請求しないともらえない訳ですが、請求し忘れた場合、その年金はどうなるのでしょうか?
国民年金法と厚生年金保険法によると、老齢年金の受給権には時効があります。受給の請求をしないまま5年を過ぎると、時効となって受給権が消滅します。
ただし、やむを得ない事情により、時効成立前に請求をすることができなかった場合は、その理由を書面で申し立てすることにより、基本権(年金を受給する権利)の時効を成立させないことができます。
つまり、5年間受給を請求しなかった場合は、そのことを書面で申し立てることで、基本権による受給権は消滅しないようになっています。
ただし、もらい忘れた年金の請求はいつでもできるものの、過去にさかのぼって受け取ることができる年金は最大でも過去5年分のみであり、5年より前の年金は受給できません。
2022年より75歳まで年金の受け取りを繰り下げて、年金額を最大84%増やすことができますが、請求を忘れないように注意しましょう。
繰り下げた年金を受け取る場合、「老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書」を年金事務所または年金相談センターに提出する必要があります。なお、繰り下げた年金は、請求を行った月の翌月分から支払われます。
「老齢基礎・厚生年金支給繰下げ請求書」は、年金事務所または年金相談センターに用意されています。
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フィナンシャルバンクインスティチュート編/日本経済新聞出版/1980円(税込み)