小児科クリニック「Sunnyキッズクリニック」および「病児保育室Sunny」を運営している、医療法人社団Sunny理事長の若林大樹さん。2024年にはさらに2つの分院の開院を予定している。進学校ではない小中高一貫校から慶應義塾大学医学部に入学し、小児科医・経営者として活躍する若林さんに「その先の人生にもつながる、医学部受験で大切なこと」について聞いた。日経ムック『医学部受験を考えたらまず読む本 2024年版』から抜粋・再構成。
医師を志したのは整形外科医との出会い
私は現在、年中無休で診療を行う「Sunnyキッズクリニック」を含む2つの小児科クリニックと「病児保育室Sunny」を含む2つの病児保育室を運営しています。365日、毎日診療を行うのは「子どもが安心して大人になれる社会に 大人が安心して子どもを育てられる社会に」というビジョンの実現をめざしているためです。
そんな私が医師をめざすきっかけになったのは、ある整形外科医との出会いです。もともと父が設計関連の自営業をしていたこともあり、将来は父と同じ仕事に就くことを考えていました。身内には医療関係者はおらず、私にとって医師とは、まったく接点がなく遠い存在でした。
しかし、中学3年生のとき、バスケ部の練習中に骨折をした際に主治医となった整形外科医との出会いでその印象は大きく変わりました。その先生は気さくに話しかけてくれる“なんでも話せる兄貴”のような存在だったのです。
先生との関わりを通して「こんな人間らしくて冗談を言う医者もいるんだ。自分も病気だけでなく、人の気持ちや生活環境にも影響を与えられる存在になりたい」と思うようになり、医師を志しました。
医学部合格よりなりたい医師像を目標に
医師を志し、中学3年生から大学受験を意識して塾に通い始め、高校1年生からは医学部生の家庭教師についてもらいました。メンターのような立ち位置から助言をいただき、今も印象に残っているのが「医学部合格を目的にするのではなく、“どのような医師になりたいのか”を考えることが大切」という助言です。
“どのような医師になって、どんな患者を治療し、どのように世間に貢献していくのか”を踏まえて勉強をしたほうが、取り組んでいることの意味を見いだしやすく、勉強のモチベーションも向上します。
そのほか何事も「自己責任で決めること」は非常に重要です。自分で計画を立て、コツコツと勉強をして結果を出せれば、“チャレンジし続ける限り失敗ではない”というマインドで、粘り強く物事に取り組める土台が構築されます。
医師
病気の子どもの回復した姿から小児科へ
進学校ではない小中高一貫校から慶應義塾大学医学部に入学したのですが、もともとスポーツが好きだったこともあり、当初はスポーツドクターをめざしていました。
しかし、大学5年生のとき、研修でさまざまな診療科を回る中で、救急外来で生死をさまようほどの重症の子どもが運ばれてきました。その子が無事元気になって退院していく姿に心が動かされ、小児科に興味が強く向くようになりましたね。
大学卒業後、研修医として小児科で実際に働いてみても小児科の魅力は変わることなく、そのまま小児科医として勤務することになりました。
小児科医として少子化問題にも貢献
小児科医として働くうえで、30~40代のうちに開業したいという思いが強くなっていきました。その理由は、医師としてちょうど10年くらいが体力面や経験の面でもバランスのとれた時期だと思ったからです。
また、開業して地域に密着して、子どもたちが健康に育つことをサポートしたいという気持ちも強くありました。
小児科医としてちょうど10年目を迎え、埼玉県川口市にSunnyキッズクリニックを開業してからは毎日、質の高い一次診療を提供して、子どもやご家族が安心できる環境を整えています。企業理念を共有しているスタッフと共に協力しながら、少子化問題の解決に少しでも貢献していければと思います。
勉強以外の経験も必ず仕事に生きてくる
医学部に合格するためには「とにかく勉強!」というイメージがあるかもしれません。しかし、勉強以外の部活や趣味などに全力を尽くすからこそ、受験勉強もがんばれるものだと思います。
実際に私も、高校2年生まではスキー部の活動に没頭しながら、勉強にも力を注いでいました。そうした学校生活でのさまざま経験が、医師になったあとに出会う多様な人々との関わりにも生きています。
私自身、「医者になれるのかな」と不安を抱えていた受験生でした。しかし幸い、今はスタッフの力を借りつつ、小児科医・経営者として子どもやご家族の笑顔を見ながら楽しく働けています。
受験生の皆さんには「自分には無理だ」と思わず、ぜひ目標を持って一度挑戦してほしいですね。
取材・文/庄子歩六 写真/竹田宗司
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