仕事が忙しくて新しいことに挑戦できない、子育てに追われて自分の時間がない……「時間」に悩む人への特効薬がある。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし、難関の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」になるヒント。今回は「悩むばかりでなかなか決断できない」人へ。日経ビジネス人文庫『やりたいことを全部やる!時間術』(臼井由妃著)から抜粋・再構成してお届けする。
時間と成果は比例しない
私たちは、ときどき「時間の錯覚」に襲われることがあります。
それは、短時間で仕上げた仕事よりも、時間をかけた仕事のほうが優れていると感じてしまうことです。
これは、1000円払って食べる料理より5000円払って食べる料理のほうが、実は同じ料理であってもおいしく感じるのと、同じ感覚かもしれません。
もちろんこれは錯覚です。そして、時間をかければいい仕事になるというのも錯覚です。実際には適切な時間内で仕上げた仕事のほうが、長くかかりすぎた仕事より質が高いのです。
かけた時間と成果は比例しません。
たとえそれが「考える」という大事な作業であろうとです。
「考える時間は15分」と決める
私は、何かを考えるときには15分と時間を決めています。
まだ考えの整理がついていなくても、新しいアイデアが浮かんでいなくても、15分以上長考することはしません。これは私が仕事をする上で、もっとも重視しているルールです。
15分という時間を長いととるか短いととるかは、人により異なるでしょう。
私にとっては、この15分という長さは、物事を集中して考えられるちょうどいい長さなのです。
これ以上長く考えても、集中力は切れるしストレスも増えていくから、いい結果が出る可能性は小さい。つまり時間の無駄になるのです。
だから、考えるのは15分でやめて、そこで仕切り直すのです。
何事につけ、何時間でもかけて考え抜いてから決断する人がいます。
人によりけりかもしれませんが、私が経営者として15年間、実体験で学んだ結論からいうと、それは時間の浪費に終わることが多いようです。
経験則ではありますが、こねくりまわして下した決断よりも、インスピレーションを得てパッと下した決断のほうが、何倍も成果が出るものなのです。
だから私は、原稿の執筆をするときにも、ノッてる日にはパパパパッと一気呵成(かせい)で書き上げてしまいますが、15分経過しても筆が進まないようであれば、パッと作業を中断してしまいます。
もともと「ノリでさっさとできる日」と「全然ノらない日」の差が激しい性格なので、たとえ書くテーマが決まっていても、ダメな日はダメなのです。
うんうんうなって、その間に意欲をかき立てるといったことは私にはできません。
そんなことをするのは本当に時間の無駄なのです。
2種類の質問で「短時間思考」する
「15分で決断できれば世話はないよ。できないから長い時間をかけているんじゃないか」という方もいるはずです。
もっともなご意見ですので、私が実践している短時間思考術、短時間決断術についても紹介しておきましょう。
用意するのは、クローズド・クエスチョンとオープン・クエスチョンという2種類の質問です。
これをクローズド → オープンという順に自分自身にぶつけ、自問自答するという単純な方法です。
クローズド・クエスチョンとは、
「あなたはこの企画がやりたいですか?」
「商品開発のための予算は十分用意されていますか?」
といった、答えはYESかNOかのどちらかになる質問です。
オープン・クエスチョンとは、
「この企画でどんなターゲットを狙いますか? コンセプトは何ですか?」
「商品開発のための初期費用はいくらですか? 広告宣伝費はどの程度ですか?」
「運転資金はどうするのですか?」
といった質問です。これは、自分の考えや抱えている問題点などを、ある程度理解していなければ答えられません。
オープン・クエスチョンは成功へのカギ
私が何かを考えたり決断をしたりする場合には、初めにクローズド・クエスチョンで自分に問いかけます。YESかNOかは即座に出るはずだからです。もしこの段階で迷っているなら、それはやめたほうがいいでしょう。
無理にYESと答えても、次のオープン・クエスチョンですぐに答えに詰まるからです。
ビジネスの交渉では、有能な人ほどオープン・クエスチョンを相手にたたみかけてくるものです。そういった状況を想像して、自分にオープン・クエスチョンをぶつけてみてください。
そうすれば、自分の決断がどの程度のものか、ミスはないかが理解できます。
オープン・クエスチョンは決断を完璧なものにし、成功を導く足がかりとなるものです。
「即行動」も習慣化する
整理すると、こういうプロセスということになります。
(2)15分をリミットに、自分にオープン・クエスチョンを出し続ける
そして15分後、もしYESであれば、オープン・クエスチョンで浮き彫りになった問題点を改善するために、即行動を起こします。すぐに行動することを習慣にしておかないと、せっかくの15分の決断も効果が半減です。
仮にNOとなれば、現状で決断してもうまくいく確率はきわめて低いと解釈し、頭を切り替えて次の仕事に臨めばいいのです。
難問になればなるほど、決断に手間取ったり先延ばしにしたりしがちですが、いつまでも心にモヤモヤを留めておくことはまったくプラスになりません。
難問であっても、YESかNOかをスパッと決断し、なぜそれを決断したのか論理的に自問自答していく。このほうが、最善の決断が見つけやすく、決断後の仕事も楽になるのです。
「決断は15分でする」ことを習慣にすれば、ビジネスパーソンとして致命傷にもなる優柔不断を直す効果もあると同時に、集中力がつきます。さらに15分という時間で、いかに多くの仕事ができるかということにも驚くはずです。
椅子に座り、産みの苦しみを味わうように考え込むだけが、決断ではありません。
かけた時間に満足することは、自分の時間を殺していることになるのです。
10万部突破のベストセラー。経営者、コンサルタント、著述家、講演家と一人何役も軽々とこなし複数の国家資格も取得。そんな時間管理の達人が教える「時間リッチ」のヒント集。会議は「1発言1分」が基本、イヤなことは朝イチに……時間と心とお金に余裕ができる!
臼井由妃著/日本経済新聞出版/880円(税込み)

