内容紹介

「これからがデジタル革命の後半戦。飛躍的に能力を拡大していくコンピュータに
人間はますます仕事を奪われる」ーーMITスローン・スクール、デジタル・ビジネス・センターの研究者2人が2011年に自費出版した本書の原書であるRace Against The Machineの未来予測は、アメリカ国内外で大きな反響を呼んだ。

 リーマン・ショック後、世界的な経済危機は脱しても一向に失われた雇用が回復しない状況に、経済学者は頭をひねってきた。代表的なのはポール・クルーグマンが唱える景気循環説。雇用の回復が弱く、需要が不足していると見る。第二の説明は、タイラー・コーエンが提唱する技術革新の停滞説。経済を進歩させる新しい強力な発想が生まれてないからだと見る。
 これに対して、本書の2人は、技術の進歩が速すぎて起きる雇用喪失説の立場をとる。つまり、コンピュータとの競争に人間が負け始めていることこそ、雇用が回復しない真の原因であると主張する。

 チェス盤の64の升目に米粒を一粒、二粒、四粒、八粒と倍にしていったとき、最終的にはエベレスト並みの膨大な数字となる。いまやコンピュータの能力は、グーグルが実験したように、自動車の運転までこなせるようになったが、それはまだチェス盤の半分にさしかかったに過ぎない。未来の技術進化はより激しく、人間固有と思われてきた領域にもどんどん侵食していき、結果として人間はごく一部の知的エリートと、肉体的労働に二極化されるーー。
 
 さて、われわれは、そんな未来にどう対処すればいいのか。