内容紹介

住宅や建築物が人にけがを負わせたり、病気などを誘発したりするようなケースは少なくありません。こうしたトラブルが生じる背景には、設計や施工、維持管理が適切ではないケースが潜んでいます。
本書では、身近な建築物で生じた、転倒や墜落、落下物との衝突など身近な事故事例を紹介します。そして、こうした事故が発生する原因と事故を防止するための具体策を人気建築漫画「一級建築士矩子の設計思考」(鬼ノ仁/日本文芸社)のキャラクターによる分析イラストを交えながら、わかりやすく解説します。

<目次>
第1話 滑り・つまずき
交通事故の3倍の死者が出る平面上の事故
 地裁は損害賠償を認める/滑りやすさに数値基準を
同じフロア内でまさかのつまずき
 看板を置いてもリスク回避できず
 トイレ入り口の段差で賠償命令

第2話 外壁落下
裁判事案の1割弱占めるタイルのトラブル
 完成後3年もたたずにタイルが落下/南や東で目立った浮き
 引張強度試験では異常なし/今後は近隣にも「伝えて」
 近年は接着剤利用が増加/定期報告をリスク露見の材料に
 裁判で採用された「浮き率」の衝撃

第3話 開口部落下
窓開けで加害者になるリスク
 半年で4度も窓が落ちる
 7割弱の学校で外れ止めの不備
 予算の都合で追加調査を限定
 専門家の点検では全校に課題
 その後も立て続けに窓が落下
省エネ改修時のリスクにも注意
 共有されないトラブル事例
 複層化のリスクを指摘する声も
 定期報告制度の活用を
 仕様統一も解決の一案に
 報道後に動き出した専門団体

第4話 開口部からの転落
窓からの子どもの転落がなくならない
 6年に3度も幼児が窓から落ちた団地/開放感を重視して柵を設けず
 法令頼りの限界/窓は一番危険な場所と思え
窓からの転落が学校で続出
 なぜ千葉の高校で転落が多発したのか/効率の追求がもたらしたリスク
 近隣都県に比べて事故が多発/アパホテルの責任問う判決も

第5話 水平開口部からの転落
上に乗れる「見えない」窓が危ない
 割れるガラスをアルミに変更/建築基準法には反していない
 安全設計の第三者確認を求める/天窓に潜む転落リスクを理解する
教訓生かせぬ管理者に賠償命じる
 被害者へ2000万円弱を支払え/7割の過失相殺と判断

第6話 挟まれ・ぶつかり
4年で500件超、子どもと高齢者が危ない
 骨折は60歳以上に集中/万能でないセンサー
 ドア開閉時の死角が悲劇を生む
 点検しない建物所有者

第7話 反射光害
まさかの反射光害で近隣トラブル
 ガラスのファサードが反射もたらす/「クレームは全くの想定外」
 違法性の追及が困難な反射光害/トラブル防止術その1[形]
 トラブル防止術その2[時間]/トラブル防止術その3[周辺]
 トラブル防止術その4[建材]/トラブル防止術その5[色]
火災も招く反射光害
 10秒で発煙に至る収れんの力

第8話 糞尿被害
完成後間もなく糞害に遭う
 逆こう配だから大丈夫と油断
 15年も「糞害」に悩む
構造物にも糞尿が悪影響
 糞で崩落した天井パネルで4人負傷
 水管橋崩落事故やドローン墜落でも鳥に注目

第9話 シックハウス
頭打ちのシックハウストラブル
 健康異常が出ても見つからぬ原因物質
 水性塗料内の成分が空気中に
 「機械換気だけでは限界」
 代替物質には未知のリスクも
 カビもシックハウスのリスクに

第10話 注意すべき4つのデザイン
深層を探らねば事故は繰り返す
 「誘うデザイン」というリスク
 リスクまで「消すデザイン」の罪
 見落とされる「維持管理のデザイン」
 「初期段階のデザイン」のレベルアップを