内容紹介
正解も前例も見当たらない時代に、未来を見据えて“挑戦”という名の海に飛び込み続けた男がいます。その“ファースト・ペンギン”の名は、デジタルガレージ創業者である林郁(はやし・かおる)氏です。本書は林氏自身が、日本のインターネット黎明期からここ数年で急速に立ち上がってきたAI時代までの変遷を描きつつ、自らの40年にわたる挑戦と決断を通じて、「未来」を切り開いてきた様を描き出した実践的な書です。
魅力の1つは、そのリアルな語り口にあります。広告、メディア、音楽、スタートアップ投資、決済、AI、Web3と、時代ごとにその時代の最前線に身を置いてきた著者だからこそ語れる、リアルな意思決定の軌跡が詰まっています。
加えて、単なる成功譚に終わっていない点も大きな魅力です。インターネットという技術がまだ明確な名前さえ持たず、正解も前例もなかった時代に、何を信じ、どこへ踏み出したのか。時代を先取りし過ぎた挑戦や失敗、迷い、仲間との出会いと別れ、そして事業を何度も再定義してきた格闘の模様まで、経営の光と影が率直に描かれています。
帯コメントも本書の本質を的確に表しています。坂本龍一氏は「『TOMIGAYA/富ヶ谷』を見に行ったことを、よく覚えている」と記し、Twitter(現X)の元CTOであるGreg Pass氏は「林さんは常に先駆者であり続ける」と評します。坂村健氏が「『最初に飛び込むこと』だけは代理できない」と語る一方、日本のインターネットの父として知られる村井純氏は、本書を「インターネットという技術がまだ名前を持たず、正解も前例もなかった時代に、何を信じ、どこへ踏み出したのか」を記した書として位置付けています。
新しい時代を見据え、挑戦を続けようとしている“ファースト・ペンギン”足らんとする若き読者には、共感できる部分が多いでしょう。
本書は単なる回顧録ではありません。まだ言葉になる前の未来に賭けた挑戦者の記録です。そして著者自身、今後も挑戦をやめるつもりはありません。「私の役割は終わっていない。自分が飛び込むこと。そして、次のファーストペンギンが飛び込める場所をつくること。私はこれからも、インキュベーターであり続けたい。」と記します。
創業者や経営者はもちろん、新規事業担当者やスタートアップ関係者、変化の激しい時代を生きる全てのビジネスパーソンに示唆を与える一冊です。
<主な内容>
●PROLOGUE ファーストペンギンが語る、起業と人生の原則。
●SEASON 1─BEFORE the Internet あの頃の世界
Chapter 1 国立のグルーヴと70年代文化
Chapter 2 代々木上原のリスタート――壁と原則のあいだで
Chapter 3 ガラスの編集室とタブロイドの夢――STUDENT PRESS の誕生
Chapter 4 富ヶ谷から世界へ――FROM GARAGE の起業
Chapter 5 Yoko OnoとGreening of the World――理想と現実の摩擦
Chapter 6 JOIと微熱のサンフランシスコ――インターネット前夜
Chapter 7 マルチメディア前夜――固定メディアの限界と、新しい体験の設計
Transition 風のあと、回路が生まれる
●SEASON 2─Dawn of the Internet つながりはじめた世界
Chapter 1 DIGITAL GARAGEの設立―正解のない時代に、フルコミットした
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 1─主語をどこに置くか
FOUNDER'S NOTES─CASE 1─主語という最初の原則
Chapter 2 ポータル戦争の大敗北と亀裂――プロダクトではなく、構造に負けた
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 2─構造に負けたあと、何を残すか
FOUNDER'S NOTES─CASE 2─構えを選ぶ
Chapter 3 第二創業とイネーブリング・プラットフォーム――主語を取り戻すための「土台」を探して
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 3─成立条件を握る
FOUNDER'S NOTES─CASE 3─成立条件を握る
Chapter 4 山のような失敗の数々――世界の巨人が勝つ前に、先に本気で負けた市場
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 4─山のような失敗から、何を持ち帰るか
FOUNDER'S NOTES─CASE 4─失敗の構造
Chapter 5 価格.comと食べログ――生活者主語の革命
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 5─意思決定OS
FOUNDER7S NOTES─CASE 5─意思決定OS
Chapter 6 BLOGとSNS――風を測り、風に乗り、そして主語が移動した瞬間
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 6─主語と文化
FOUNDER'S NOTES─CASE 6─主語と文化
Chapter 7 決済から未来をデザインする――FinTech Shift から FinInfra へ
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 7─FinInfraという現在地
FOUNDER'S NOTES─CASE 7─FinInfraという現在地
Chapter 8 スタートアップとサンフランシスコ DG717――風のはじまる場所
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 8─風と往復運動
FOUNDER'S NOTES─CASE 8─風と往復運動
Chapter 9 もう一つの風―資本市場という海――企業は、どの時間軸で未来を選ぶのか
次なるファーストペンギンへの学び─Chapter 9─企業の時間軸
FOUNDER'S NOTES─CASE 9─企業の時間軸
Season 2|Closing つながりの先で、主語を問う
●FOUNDER'S NOTES 判断の原点に戻るための記録
PART 1 起業と人生のためのケーススタディ 9つの判断の記録
CASE 1|Infoseek 主語という最初の原則
CASE 2|ポータル戦争 構えを学ぶ
CASE 3|イネーブリング・プラットフォーム 成立条件を握る
CASE 4|WebNation 失敗の構造
CASE 5|山のような失敗 失敗は構造のフィードバックである
CASE 6|価格.com/食べログ 意思決定OS
CASE 7|Technorati/Twitter 主語と文化
CASE 8|ONlab/DG717/DG Lab 2.0 風と往復運動
CASE 9|資本市場 企業の時間軸
PART 1からPART 2へ ケースから、星座へ
PART 2 意思決定の星座 迷ったとき、空を見上げるための8つの原則
原則1 常識を疑い、違和感を信じろ
原則2 遠くを見る
原則3 問いから始め、問いに還れ
原則4 失敗から学べ
原則5 一人の声を聴け、多数のノイズに飲まれるな
原則6 地球と対話しろ、テクノロジーだけを信じるな
原則7 風をつくれ
原則8 ファーストペンギンであれ
●SEASON 3─The Future First Penguin 代理される未来を引き受ける
Prologue 静かな夜明け
Chapter 1 端末は、どこまで代理できるのか
――決める前に、決まっている日常(判断・決済・生活が溶け合う)
ショートショート『取り出さない』
Chapter 2 欲望は、どこまで代理できるのか
――欲しいと思う前に、届いてしまう日常(AIに欲望が管理される)
ショートショート『欲望ログ』
Chapter 3 責任は、どこまで代理できるのか
――引き受ける人が、いなくなる(実印から、AIが署名する世界)
ショートショート『実印の記憶』
Chapter 4 信用は、どこまで代理できるのか
――ニュースのバブルに包まれる世界
ショートショート『影武者ニュース』
Chapter 5 時間は、どこまで代理できるのか
――空いたはずの時間は、誰のものになったのか
ショートショート『予定通り』
Chapter 6 学びは、どこまで代理できるのか
――答えが、先にある時代に
ショートショート『名前のない学問』
Chapter 7 計算は、どこまで代理できるのか
――正解を出し切らない文明
ショートショート『だいたい』
NOTE 映像版「だいたい」について
Season 3 クロージング――足りているという場所へ(人新世の只中で)
●EPILOGUE 小舟の上で
