委託先から納入された商品を受領した半年後、仕様上の不具合が発覚した。あるいは、売れ残ってしまった商品を委託先に引き取ってもらえるように、あらかじめ返品条件付きで契約をした。――このようなとき、商品を返品することはできるのでしょうか? ビジネスパーソンに多大な影響を及ぼす新法「取適法(中小受託取引適正化法)」。その中でも問題になりやすい点のひとつ、「返品の禁止」について解説します。『これだけは知っておきたい 取適法 下請法から中小受託取引適正化法でこう変わる』(長澤哲也著/日本経済新聞出版)から抜粋・再構成し、研修用動画教材『 知らなかったでは許されない 取適法 』(長澤哲也監修)より動画も添えてお届けします。
返品条件付きの契約で発注していたとしても、取適法では返品は認められない。
なぜ返品は禁止されているのか?
中小受託事業者から納入された目的物を受領した後に、それを中小受託事業者に引き取らせることは、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がない限り、返品として取適法で禁止されます。
目的物を返品すると、中小受託事業者は、その代金を受け取れなくなってしまいます。また、取適法が適用される取引の目的物は委託事業者の定める仕様に沿って作成されるものであり、中小受託事業者としては、それが返品されてしまうと、他に転売することが困難であるため、その製造コストや廃棄費用を負担せざるを得なくなってしまいます。
このような事態は、契約を反故にするものであり、中小受託事業者に対し、予期せぬ著しい不利益を及ぼします。そのため、取適法では、返品は、中小受託事業者の利益を不当に害するものとみなされ、中小受託事業者の同意があるかどうかにかかわらず、中小受託事業者の責めに帰すべき理由がない限り、一律に違法とされています。
取適法では「返品条件付き取引」も禁止
小売業者との取引などにおいては、売主と買主の間で事前に定めた返品条件に従って、売れ残った商品などの返品を行うことがしばしば見受けられます。売主としても、買主の店頭で商品を並べてもらうことを重視し、返品によるリスクを十分勘案した上で、返品条件付き取引に積極的に応じることもあるでしょう。
しかし、取適法が適用される取引においては、このような返品条件付き取引は、たとえ当事者間で事前に合意したものであっても、禁止です。返品は、中小受託事業者にとって不利益の程度が大きいことから、実際の意思がどうであったかを問わず、画一的に禁止されることに注意が必要です。
返品できる場合とは?
他方、目的物が発注内容と異なる場合には、中小受託事業者の責めに帰すべき理由があるものとして、基本的には、返品を行うことができます。
ただし、委託事業者が受入検査を省略した場合には、たとえその後に不具合が発見されても、返品は許されません。
受入検査を適切に実施していれば、その時点では発見が困難な不具合が後日に発覚したとしても返品が可能ですが、その場合でも、原則として受領後6カ月を超えると返品が許されなくなります。この返品期限は、委託事業者が目的物を使用した製品について、一般消費者に対して保証期間を定めている場合には、その保証期間に応じて最長1年まで延長されます。
受入検査に関する記録には保存義務がある
委託事業者は、受入検査を実施した場合には、その結果などを記録して2年間保存しておかなければなりません。

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