その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は立山秀利さんの『 Pythonライブラリの教科書 』です。

【はじめに】

 スマートフォンなどの顔認証や自動翻訳をはじめ、AI(Artificial Intelligence。人工知能)はすっかり身近な存在となっています。そのAI開発で現在主流となっているプログラミング言語が「Python」(パイソン)です。
 Pythonは現在、AIやデータサイエンスといった最先端分野の現場で多用されています。しかも文法がシンプルでわかりやすいこともあり、プログラミング入門者にもやさしい言語です。人気のプログラミング言語として、世界じゅうで使われています。

 そんなPython人気の大きな理由の1つが、本書のテーマである「ライブラリ」です。

 ライブラリとは、プログラムの“部品”の集まりです。プログラムは複数の機能で構成されますが、よく使われる機能は、ライブラリで「関数」(部品)として提供されています。
 プログラマーは本来、必要な機能を作るためには何行ものコードをゼロからたくさん書かなければなりません。しかしライブラリがあれば、そこから必要な関数を選び、それをプログラムの中で使うためのコードをほんの1~2行書くだけで目的の機能が作れるのです。ちょっとした画像加工や顔認識のプログラムならば、たった数行のコードで済んでしまいます。
 しかも、コードを書く分量を減らせるだけでなく、ライブラリはすでに誤り(専門用語で「バグ」と呼びます)が取り除かれており、かつ、高速で動作するよう最適化されています。そのため、質の高いプログラムを効率的に開発できるのです。
 ライブラリは、ファイルやフォルダー(ディレクトリ)操作などの基本機能からAIなど高度なものまで、ジャンルごとに用意されています。Pythonはほかの言語に比べてライブラリが豊富なのが大きな特徴であり、人気の理由なのです。ライブラリの充実がPythonの強みということは、言い換えれば、Pythonではライブラリをいかに使いこなすかが重要だということです。

 そこで、Pythonの主要なライブラリの基本的な使い方を初心者向けに解説するために企画されたのが本書です。

 本書では、最初にイントロとしてPythonのライブラリの基礎知識を解説します。続けて、プログラムの開発環境を準備します。
 第1~第3章が、本題であるライブラリの解説です。
 第1章では、ファイルやフォルダーの操作、日付・時刻処理、テキストなどの操作といった、基本的なライブラリを取り上げます。
 第2章では、画像処理およびインターネット関連のライブラリを解説します。これら第1~第2章で紹介するライブラリを活用するだけでも、日々の仕事のルーチンワークを自動化するプログラムが作れます。
 第3章では、グラフ作成にはじまり、データ分析・整形、さらには「機械学習」のライブラリも解説します。機械学習は現在のAIの根幹をなす技術であり、高度な処理を必要とします。しかし、ライブラリを使うことで手軽にプログラムを作れます。第3章の最後では、AIでも使われている「線形代数」を中心とする数値計算のライブラリも取り上げます。

 本書の特色は、初心者向けのポイントに絞った解説をしている点です。
 それぞれのライブラリにはさまざまな機能が実装されています。それらすべての機能を初心者が最初から使うのは、非常に難しいです。そこで、基本機能の使い方に絞って解説し、サンプルのプログラムも極力シンプルでわかりやすいものにしています。
 加えて、巻末に講座として、必要最小限で知っておくべきPythonの文法・ルールを解説しました。Pythonプログラミングの未経験者でも、ここで解説している文法・ルールが把握できれば、第1~第3章が理解できるでしょう。

 本書を通じて、Pythonのライブラリを使いこなせるようになりましょう!

2023年1月吉日  立山 秀利


【目次】

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