その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は宮島忠文さん、小島明子さんの『 定年がなくなる時代のシニア雇用の設計図 』。「まえがき」をお届けします。
【まえがき】
高齢者雇用安定法の改正に伴い、2025年4月1日からは、すべての企業に65歳までの雇用確保が義務付けられました。すでに、70歳までの雇用についても努力義務となっています。
今や45歳以上の就労者は全体の6割を超えています。本書では、ミドル・シニアについて、社内での役割の変化も加味し、概ね40歳から50歳代をミドル、そして60歳以降をシニアという意味で使っていますが、少子高齢化に伴い、ミドル・シニアの就労者の比率は今後も上昇していくことが予想されます。そうしたなかこれからは、ミドル・シニア人材に対して、法律で決まっているから「雇ってあげる」ではなく、「稼いでもらう」という姿勢を持った企業であることが求められています。
しかしながら、現場で働くミドル・シニアに目を向けると、モチベーションが低い、活躍してもらうための仕事が見つからないなど、多くの問題が顕在化しています。
実際、高いポテンシャルを持ちながら、自身の能力を自覚できず、あるいはそれを表現することができないため、社内外問わずその能力を発揮する機会を獲得できていない人があまりに多いのが実態です。その背景として、キャリアマネジメント(仕事を通じてありたい自分を実現させていく行動)を重要と考えてきたミドル・シニアが極めて少ないことが挙げられます。一方で、企業の人材開発担当者も、キャリアマネジメントの重要性を従業員に伝えることに非常に苦労をされています。筆者らは、こうしたミドル・シニア個人と企業の認識との間にある大きなギャップを日々感じてまいりました。
キャリアマネジメントは、資格のようにわかりやすい結果を生むものではありません。しかし、個々の「人生の戦略」として重要なものです。職場や周囲に振り回されることなく、自分のために戦略を立てることは、限られた時間のなかで自分の能力を活かした働きがいや生きがいのある人生につながると考えます。もちろん、65歳まで働くことが当たり前になったのはつい最近のことですから、個人や企業、社会としてもどのように対応していくべきか模索しているのが現状です。これをどう乗り越えていくかは、大きな課題といえます。
筆者である宮島はこれまでミドル・シニアの活躍促進を事業として行い、小島はミドル・シニアのキャリアに関する調査研究に携わってきました。そのような経験を活かし、本書では、“泥臭い”キャリア形成支援の現場で得られた知見に加えて、調査データ等を踏まえたミドル・シニアのキャリア意識の現状、社会構造的な視点までを交え、個人、企業、社会、それぞれの視点からミドル・シニアの活躍を実現していくためのヒントを示してまいります。
本書の内容は以下のようになっております。
第1章では「ミドル・シニアの働き方の問題が解決されないのはなぜか」をテーマに、活躍を阻害する要因について、ミドル・シニア本人、それを取り巻く企業・社会の現状を踏まえ、分析・考察します。
第2章では「“なぜか働き続けてほしい人”の10の理由」として、実際に様々なケースから得られた知見を基に、活躍しているミドル・シニアの特長を取り上げ、将来も活躍し続けられる人材になるためのポイントを示します。
第3章は「“働き続けてほしい人”は組織の中で増やせるのか」として、活躍促進のために企業として行うべき人材開発の施策について述べます。
第4章では「超高齢社会の日本に求められること」として、新たに法制化された労働者協同組合法なども紹介し、ミドル・シニアの活躍ができる社会づくりを行うための提言をいたします。
本書を通じて、ミドル・シニアの方々がさらに活躍でき、より活力のある社会づくりの一助になれば幸いです。
2025年4月
宮島忠文 小島明子
【目次】








