その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日経BP(編)の『 日経テクノロジー展望2024 世界を変える100の技術 』です。
【はじめに】
世界を変えるのはAIだけではない
今、注目されているテクノロジーと言えば何と言っても生成AIでしょう。米オープンAIが2022年11月に公開した「ChatGPT」はわずか2カ月で利用者数が1億人を超えました。
Web、SNS、テレビ、新聞、雑誌、書籍、セミナー、学会誌、あらゆるメディアが生成AIについて賛否両論を語り、報じ続けています。特定の技術がこれだけ騒がれた例は記憶にありません。
なぜここまで盛り上がっているのかと言えば、あっと言う間に文章やプログラム、画像をつくってくれるという分かりやすさと、その威力をスマートフォンやPCを通じて誰でも簡単に体験できるからでしょう。入退室がしっかり管理された研究所や実験施設あるいは工場まで行かないと見られない技術ではないのです。
生成AIのインパクトは広範囲に及びます。ワークスタイル、ライフスタイル、さらには人類の将来にまで影響していくでしょう。しかも、テクノロジーが起こす世の中の変化をリアルタイムで、自分自身で体感できるわけです。
毎年発行している本シリーズは、電機・自動車・ロボット、IT・ニューメディア、建築・土木、医療・健康・バイオテクといった専門分野を追う日経BPのWebサイトや雑誌の編集長、総合研究所のラボ所長らが選んだ「2030年に向けて世界を変える技術」を100件掲載しています。今回、100件のうち14件がAI関連になりました。それ以外にもAIが絡んでいる技術があります。
一方、まだかなり先の話になりますが、エネルギーにおいてインパクトがある技術と言えば核融合でしょう。実現すれば世界の政治、産業、生活、あらゆることのバランスが大きく変わります。
取り上げた100の技術について、ビジネスパーソン800人にアンケート調査を実施し、結果を「テクノロジー期待度ランキング」として掲載しています。「2030年に重要性が高い」テクノロジーのランキングで核融合は第4位に入りました。
核融合のほかにも、いわゆるカーボンニュートラルを目指したエネルギー関連の技術が上位にランクインしています。世界を変える技術はAIだけではないのです。
生成AIにせよ、核融合にせよ、テクノロジーによってどこに連れていかれるか分からない、と不安を感じる方がおられるかもしれません。ぜひ、色々な技術に関心を持ち、ウオッチしていただければと思います。技術の専門家だけではなく、多くの社会人がテクノロジーについて知り、市民として意見を言っていくことが大事です。
自分の専門領域以外のテクノロジーを展望したい専門家の方から、今後有望な産業や事業分野を知りたい就活生の方まで、多くの方に役立つ、技術の図鑑として本書をまとめました。「こんなテクノロジーがあるのか」と楽しんでいただければ幸いです。
日経BP 常務取締役 技術メディア統括 望月洋介
【目次】



