その本の「はじめに」には、著者の「伝えたいこと」がギュッと詰め込まれています。この連載では毎日、おすすめ本の「はじめに」と「目次」をご紹介します。今日は日経PC21(編)の『 ChatGPT&Windows Copilot実践PC仕事術 』です。
【はじめに】
2023年前半、世界は「ChatGPT(チャットジーピーティー)」の話題で持ち切りとなりました。ChatGPTは、ユーザーが入力した質問や要望を解釈して、その答えを返すAI(人工知能)のサービスです。チャットで対話するような形で利用できることから、「チャットAI」や「対話型AI」などと呼ばれます。米国のベンチャーOpenAIが開発し、2022年11月末に公開しました。
チャットができるAIは以前から存在しましたが、ChatGPTのクオリティーは“革命的”とさえ評されます。質問に対して自然な文章で回答できるだけではありません。情報の検索から文章の翻訳・要約、文書作成や物語の執筆、プログラミングまで、その多彩な能力には本当に驚かされます(図1)。
知らない言葉や物事を調べるとき、多くの人はGoogleで検索すると思います。ネットで何かを調べることを俗に「ググる」といい、「グーグル先生に聞く」などと表現する人もいます。しかし今後は、「ChatGPT 先生に聞く」のが当たり前になるかもしれません。グーグル自身、そのような状況を予見したのか、2023年2月に急遽、同様のチャットAI「Bard(バード)」を対抗馬として発表・公開しました。情報の検索だけでなく、翻訳やデータ処理、文章やプログラムの生成まで可能であるチャットAIの将来性を考えれば、IT分野の勢力図がガラリと変わる可能性すらあります。グーグルが焦りを感じるのも当然といえるでしょう。
マイクロソフトも本腰、「Windows Copilot」を投入
そして2023年2月には、マイクロソフトも「新しいBing(ビング)」としてチャットAIのサービスを開始。同社はOpenAIに巨額の出資をしていますので、その技術を自社サービスに取り込むことで覇権を狙っています。
その際たるものが、「Windows Copilot(コパイロット)」と呼ばれるWindows 11の新機能です。OSが標準でチャットAIを搭載し、ユーザーがパソコンを操作したり、情報を検索したり、さらには業務を効率化したり、課題を解決したりすることを支援してくれます(図2)。
多くの人々が利用しているWindows にチャットAIが標準搭載されれば、誰もが気軽にチャットAIを利用でき、身近な存在として頼れるようになるでしょう。そうなれば、私たちのパソコンやインターネットの使い方も激変するはずです。調べ物があればチャットAIに聞く。文書やメールを書くときはチャットAIに下書きをお願いする。悩み事もチャットAIに相談。市場調査やデータ分析もチャットAIに依頼する。そんな“AIまかせ”が当たり前になり、仕事の進め方や働き方も大きく変わることでしょう。
一方で、そんなチャットAIの限界や課題も見えてきています。何でも知っているように思えるチャットAIですが、「求めた答えを得られない」といった不満や、「平気で嘘をつく」といった悪評も少なくありません。しかし、だからといって「チャットAIは使い物にならない」と判断するのは早計です。期待通りの回答にならない原因は、あなたの質問の仕方にあるのかもしれません。チャットAIにもわかるように質問をすれば、適切な答えが返ってくる確率が高まります。チャットAIの答えが不正確な場合があることも事実ですが、その実情を踏まえたうえで上手に付き合えば、チャットAIは“超優秀なアシスタント”になり得ます。
今後はビジネスにおいてもプライベートにおいても、チャットAIが当たり前の存在になっていくでしょう。だからこそ、チャットAIの賢い使い方、頼り方を身に付けると同時に、注意点や限界を理解しておく必要があるのです。本書が、その一助になれば幸いです。
日経PC21編集長 田村規雄
【目次】





